ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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27)微妙な空気

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1
 翌日。

 猫カフェ「ねこまど」に出勤すると、カウンターの上に 小さな紙袋 が置かれていた。

「ん?」

 昭人(あきと)が首をかしげていると、近くにいた琴葉(ことは)が 少し照れくさそうに 口を開いた。

「それね、私から」

「え?」

「昨日のお礼」

「あー……あのこと?」

 琴葉が言っているのは、昨日の出来事だろう。

 彼女の「友達」としてやってきた3人組が、猫への接し方を間違えていたのを、昭人がさりげなくフォローした件。

「いや、別にお礼とかいいのに」

「でも、なんかちゃんとお礼したかったし……」

「へぇ、なになに?」

 そこへ、橘真緒(たちばな まお) が ニヤニヤしながら 近づいてきた。

「え、新人くん、ことはちゃんからプレゼント?」

「ちょ、お前、変な言い方すんな」

「いいじゃんいいじゃん! 開けてみなよ!」

「いや、仕事中だし」

「まぁまぁ、ちょっとくらい」

 昭人が ため息をつきながら 紙袋を開けると、中には 可愛らしい焼き菓子の詰め合わせ が入っていた。

「お、クッキー?」

「うん、私の好きなカフェのやつ」

「へぇ……」

 袋を持ちながら、昭人は 妙な視線 を感じた。

 視線の方向を探ると――

 カウンターの奥で、峰子(ふじい みねこ・店長)がじっとこちらを見ていた。

(……ん?)

2
「……店長?」

「なに?」

「いや、なんか、こっち見てませんでした?」

「別に?」

「……そうっすか」

 峰子は 特に何もなかったかのように コーヒーを淹れている。

 でも、昭人は なんとなく気になった。

 普段なら、峰子は スタッフのやりとりには特に干渉しない。

 なのに、今は こっちの様子を気にしていたように見えた。

(気のせいか?)

 そう思いながらも、妙な モヤモヤ が残った。

3
 休憩時間。

「で、新人くんさ」

 真緒が 相変わらずニヤニヤしながら 言う。

「ことはちゃんにお礼もらって、どうなの?」

「どうなのって……?」

「いや、ほら、ちょっと意識しちゃったりとか?」

「……別に?」

「おっとぉ~~? なんか最近、新人くんって、やたらと店長見てるよね?」

「は?」

「今日もさ、ことはちゃんからお礼もらったとき、なぜか店長のほう見てなかった?」

「え、そうだっけ?」

「そうそう、私も思った!」

 琴葉も 軽く頷く。

「なんか、店長、ちょっと微妙な顔してたよね?」

「……」

 昭人は、急に心臓がドクンと跳ねるのを感じた。

(いやいや、そんなわけねぇだろ)

 でも、もし本当に峰子が 「微妙な顔」 をしていたとしたら――

(……なんで?)

 考えれば考えるほど、妙な気持ちになった。

4
 閉店後。

 昭人は、キャットタワーの上で寝ているボス(茶トラ♂)を撫でながら ぼんやり考えていた。

「なぁ、ボス」

「にゃ?」

「……俺、今日、変だったか?」

「にゃ。(いつも通り)」

「……だよな」

 でも、やっぱり峰子の表情が気になる。

 店長が「琴葉とのやりとりを見て、微妙な顔をしていた」って――

(……いやいや、それって、まさか)

「にゃ。(気づけ)」

「うるせぇ」

 昭人は、ボスの頭をもう一度撫でた。
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