ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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32)引っ付けよう大作戦、始動!

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1
 翌日の朝。

 猫カフェ「ねこまど」の開店準備が始まっていた。

 カウンターでは、橘真緒(たちばな まお)がレジをチェックしながら 昨日の出来事を思い出していた。

(いやぁ、昨日の店長、完全にキュンとしてたよな~)

 ――「こんな時のための男手でしょ?」

 力仕事をあっという間に片付け、ドヤ顔でそう言った昭人(あきと)。

 その瞬間の峰子(みねこ)の 「心を撃ち抜かれた顔」 を、真緒は バッチリ見逃さなかった。

(これはもう、いじるしかないでしょ!)

 そう思いながら、近くで棚の整理をしていた 水野琴葉(みずの ことは) に話しかける。

「ねぇねぇ、琴葉!」

「ん?」

「昨日さ、店長、昭人くんに **完全にキュンとしてたんだよね~!」

「えぇ~!? マジで!?」

「マジマジ!! もう完全に落ちた顔してたし!」

 琴葉は 驚いたように目を丸くする。

「へぇ~、そうなんだ~」

 でも、どこか 残念そうな表情 をしていた。

「……私も狙おうと思ってたんだけどな~」

「えっ!? ちょっと待って、それマジ!?」

「ふふ、冗談だよ」

 琴葉は クスクスと笑いながら、猫たちを撫でる。

 ――が、その笑顔は ほんの少しだけ寂しそう に見えた。

「でも、まぁ……ちょっと気になってたのは本当かな」

「えぇぇ~~!? それ、もっと早く言ってよ!!」

2
 琴葉は 苦笑いしながら、そっとミルク(白猫♀)の背中を撫でる。

「でもさ」

 少し考え込むような表情をして、琴葉は静かに言った。

「昭人くんって、ずっと店長のこと気にしてたじゃん?」

「……まぁね」

「私も、それは前から気づいてたし」

「……」

「それに、店長も昭人くんのこと気にしてるってわかったなら……」

 琴葉は、ふわりと笑う。

「私は潔く応援に回るよ」

「……琴葉」

「だって、そのほうが楽しいでしょ?」

「……」

 真緒は 琴葉の表情をじっと見つめた。

(この子、ほんとにいい子だなぁ)

 ちょっと気になっていた相手を、すぐに応援に回れる強さ。

 そして、何より――

「ふふ、なんか いいねぇ、こういうの!」

 真緒は ニヤリと笑い、琴葉の肩をポンと叩いた。

「よし、決まりだね! こうなったら 『昭人と店長を引っ付けよう大作戦』 始動だよ!!」

3
「さて、それで……どうやって引っ付けよう?」

「うーん……まずは、できるだけ2人きりの時間を作るべきじゃない?」

「おお、それいいね!!」

 真緒と琴葉は 楽しそうに作戦を練り始める。

 そこに――

「にゃあ?」

 ボス(茶トラ♂)が のそのそと2人の足元に近づいてきた。

 すると、他の猫たちも次々と集まってくる。

◆ ミルク(白猫♀)→「にゃん!(頑張る!)」と、琴葉にスリスリする。
◆ もなか(三毛猫♀)→「にゃぁ~(早くしなさいよ)」と大きく伸びをする。
◆ ボス(茶トラ♂)→「にゃ。(ようやくか)」と満足げに目を細める。

「……あれ?」

 琴葉は 猫たちの様子を見て、ふと気づく。

「なんか、みんなもやる気になってない?」

「ほんとだ!」

 真緒は 楽しそうに猫たちを見回す。

「もしかして、猫たちも 『昭人を逃すな』 って思ってるのかな?」

「かもね~」

 琴葉が くすっと笑う。

「だって、昭人くんって、ほんとに猫たちに好かれてるし」

「うんうん、しかも “猫の気持ちがわかる男” だしね~」

「そんな人、そうそういないもんね」

「でしょ~? だから、猫たちも 店長と昭人くんをくっつけようとしてるんだよ、絶対!」

 2人は 猫たちを見渡しながら、確信した。

(猫たちも昭人を逃す気はない……これは、チャンスだね!!)

4
「よし、これはもう、みんなで全力で応援するしかないね!!」

「そうだね!」

「さぁ、まずはどうやって2人をくっつけるか……」

「自然な感じで2人きりにできるようにするのが大事だよね」

「うんうん、じゃあまずは……」

 ――こうして、「昭人と店長を引っ付けよう大作戦」が本格的に動き出した。
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