ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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44)覚悟を見せなさい!

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1
「……私も、昭人くんのこと、好きになってたのかもしれない」

 その言葉が落ちた瞬間、店内は 張り詰めた静寂 に包まれた。

 昭人(あきと)は、一瞬息が止まりそうになる。

(……今、店長、なんて言った……?)

(好きになってた……かもしれない……?)

(いや、かもしれないってなんだ!? それってつまり……!?!?)

 心臓が 爆発しそうなほど高鳴る。

「……店長、今、なんて……」

 昭人が 必死に言葉を紡ごうとした、その時――

「ちょっと待ったぁぁぁ!!!!!」

 峰子の母親が、テーブルをバンッ!と叩いて割り込んできた。

「ええ~~!? まだなんかあるの!?」

 峰子は 頭を抱えながら叫ぶ。

(もう今の流れ、めちゃくちゃいい感じだったのに!!! なんで割り込むのよ!!!)

「もちろんよ! こんな話を聞かされて、『はいそうですか』って簡単に納得するわけないでしょ?」

「……え?」

 母親は 真剣な目で2人を見つめる。

「私はね、2人がどう思っているかを確認しに来たんじゃないのよ」

「……?」

「2人の“覚悟”を試しに来たのよ!」

「……覚悟?」

2
「いい? 恋愛なんてね、最初は“好き”って気持ちだけで突っ走れるものよ」

「……」

「でも、本当に大事なのは、その後よ!」

「……その後?」

「そう!」

 母親は ぐっと峰子を見つめる。

「例えばミネコ、あなたが結婚を考えるとして、この子の学生生活が終わるまで何年かかると思ってるの?」

「え……?」

「まだ20歳でしょ? 大学を卒業するのにあと2年。それから社会に出て、安定するまでさらに数年」

「……」

「その間、あなたはずっとこの子を待ち続けるつもり?」

「それは……」

「そして、昭人くん」

 今度は母親が 昭人をじっと見つめる。

「あなた、今は好きだって言ってるけど、もし社会に出て、もっと若くて素敵な子と出会ったらどうするの?」

「……」

「今の気持ちを続けられる自信はある?」

 その言葉に、昭人は ぐっと拳を握りしめた。

(そんなの……)

(簡単に答えられることじゃねぇ……)

3
 昭人は 静かに息を吸う。

「……たしかに、俺はまだ20歳です」

「……」

「バイトしかしたことなくて、社会のことも何もわかってないかもしれない」

「……」

「でも……だからって、“若い”ってだけで、店長のことを本気じゃないって思われるのは、納得できません」

 母親の目が ピクリと動く。

「俺、店長が好きです」

「……」

「だから、ちゃんと店長と向き合います。時間がかかっても、俺は逃げません」

「……」

「それじゃダメですか?」

 静寂が落ちた。

 母親は じっと昭人の目を見つめる。

(……すごい)

 峰子は 息をのんだ。

(昭人くん、こんな真剣な顔するんだ……)

 いつもはふざけてばかりの昭人が、今はまっすぐに母親を見ている。

 それが、なんだかすごく眩しく見えた。

4
「……ふぅん」

 母親は ふっと微笑む。

「言うじゃない?」

「……!」

「よろしい。じゃあ、2人の覚悟、試させてもらうわ!」

「えっ?」

「えっ?」

 母親は ニヤリと笑う。

「2人に“お試し同棲”をしてもらうわ!!!」

「「はぁぁぁ!?!?!?!?」」

 峰子と昭人、完全に シンクロして叫んだ。

5
「いや、ちょ、ちょっと待って!? なんでそんな話になるの!?」

「だって、2人の本気を確かめるには、それが一番手っ取り早いでしょ?」

「いやいや、何言ってんの!?!?!?」

「一緒に生活して、お互いのダメなところも全部知って、それでも好きでいられるのか試すのよ!」

「いや、それ試すにはハードル高すぎるでしょ!!!」

「え~~、でも同棲って結婚の練習みたいなもんですよね?」

「うんうん、いい案かも?」

「真緒!! 琴葉!!! お前らまで!!??」

 なぜか煽る側に回るバイト2人。

 さらに――

◆ ボス(茶トラ♂):「にゃ。(賛成)」
◆ ミルク(白猫♀):「にゃん!(やるべき!)」
◆ もなか(三毛猫♀):「にゃぁ~(やっちまえ)」

「猫たちも!?!?!?!?」

 完全に 逃げ道なし。

「というわけで、2人で住む準備を始めなさい♪」

「いやいやいやいやいや!!!?」
 
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