ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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46)10年後、20年後のこと

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1
「……じゃあ、考えといて」

「考える?」

「私と、10年後、20年後も一緒にいたいかどうか」

「……!」

 あの時、峰子(みねこ)にそう言われた瞬間――

 昭人(あきと)の中で、何かが引っかかった。

(10年後、20年後……?)

 これまで「今が楽しいからそれでいい」くらいに思っていた。

 でも、それだけじゃダメなんじゃないか――

 そんな思いが、頭の中をぐるぐると巡る。

2
 翌日。

 猫カフェ「ねこまど」の営業中。

「おい、昭人くん」

「ん?」

 カウンターでボーッとしていた昭人は、橘真緒(たちばな まお)に トントンと肩を叩かれた。

「なんか、最近ちょっと様子おかしくない?」

「えっ? そうっすか?」

「うん、めっちゃ考え込んでる顔してる」

「……」

(バレてるな……)

「まさかとは思うけど、昨日の店長の“10年後も一緒にいたいかどうか”発言、引きずってる?」

「……」

「うわ~~~!!! めっちゃ気にしてる顔してる~~!!!」

「ちょ、お前、声デカい!!!」

 昭人は 慌てて真緒の口を塞ぐ。

 が、当然、琴葉(ことは)も 聞いていた。

「なになに? そんなに気にしてるんだ?」

「ちょ、お前らまとめて静かにしろ!!!」

「いや~~、ついに“本気で未来を考える”時が来ちゃったねぇ♪」

「昭人くんも大人になったねぇ♪」

「いや、からかうなよ!!」

(とはいえ……)

(本当に考えなきゃいけない時が来たのかもしれない。)

3
 バイト終わり。

 家に帰る途中の道で、昭人は なんとなく夜空を見上げた。

「10年後……20年後……」

(その頃、俺は何をしてるんだろう。)

(仕事は? 結婚は? 家庭は?)

(……店長は?)

 今まで、「将来」なんて真剣に考えたことはなかった。

 でも、考えてみると――

(俺、10年後も店長のこと好きでいられるのか?)

(20年後も、一緒にいるのか?)

 そう問いかけた時、なぜか “いない未来”が想像できなかった。

(……ああ、俺、たぶん)

(この先も、ずっと店長のこと好きなんだろうな)

 そう思った瞬間――

 胸の奥が、じんわりと 温かくなった。

4
 次の日の仕事中。

「……なぁ、店長」

「ん?」

「昨日、ちょっと考えてみたんですけど」

「……何を?」

「10年後、20年後も、店長と一緒にいたいかどうか」

 峰子は 一瞬、驚いたような顔をした。

「……で?」

「考えたけど、答えは変わらなかったっす」

「……」

「俺、店長のこと好きなんで」

「~~~~~っっ!!!」

 またしても、顔が 真っ赤になる峰子。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!?!? なんでそんなサラッと言うのよ!!!」

「え、言っといたほうがいいかと思って」

「もう~~~!!! ほんと、そういうところ!!!!!」

 バシッと肩を叩かれた。

 でも――

(うん、俺、やっぱ店長のこと好きなんだな)

 そう再確認しながら、昭人は 静かに微笑んだ。
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