ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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62)オーナー、再び支配人になる

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1
 その日、「ねこまど」は朝からそわそわしていた。

「にゃ……(今日は何か特別な日……?)」

「にゃん!(なんか緊張する!)」

「にゃぁ~!(あの人が来るんでしょ!?)」

「そうよ……今日はね、オーナーが“1日支配人”として帰ってくるの!」

「にゃ!(えぇぇ!?)」

「にゃん!(オーナーって、あの伝説の!?)」

「にゃぁ~!(ってことは、めっちゃ怖い!?)」

「いや、伝説って言うとなんか違う気がするけど……まぁ、確かに“伝説”ではあるわね」

 そして――

 「オーナー・川島静、ねこまど1日支配人として帰還!」

 玄関の扉が開くと、そこには 落ち着いた雰囲気の老婦人が立っていた。

「……ごきげんよう、ミネコさん」

「オーナー……!」

 ねこまどに、オーナーが帰ってきた。

2
「さて……久しぶりの支配人業務、始めましょうか」

「オーナー、久々の現場ですけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。私は何年この店を見守ってきたと思ってるの?」

「……それもそうですね」

 そう言いながら、オーナーはゆっくりと店内を見渡した。

 そこには、昔と変わらぬ“ねこまど”の風景があった。

 猫たちがくつろぐソファ、お客さんがのんびり過ごす空間、優しい光の差し込む窓……

「……やっぱり、ここは落ち着くわね」

「オーナー……」

 そして――

 「1日支配人、始動!」

3
 まず、オーナーの最初の仕事は“猫たちのケア”。

「じゃあ、オーナー。ブラッシング、お願いします!」

「もちろんよ」

 オーナーは 猫用ブラシを手に取り、優雅な手つきで猫たちを撫で始めた。

「にゃ……(おお……)」

「にゃん!(ブラッシングの腕、すごい!)」

「にゃぁ~!(まるで熟練の技……!)」

 すると――

 「猫たち、次々と昇天」

「にゃぁ~~……(もう動けない……)」

「にゃん……(気持ちよすぎて溶ける……)」

「にゃぁ~……(人間の手とは思えん……)」

「え、ちょっと、ブラッシングするだけで猫たちが一瞬で無抵抗になったんですけど!?」

「ふふ……長年、猫たちと過ごしてきた経験よ」

 まさかの“ゴッドハンド”発動。

4
 次は、お客様対応。

「オーナー、ドリンクの提供をお願いできますか?」

「もちろんよ」

 オーナーは お茶を淹れるためにカウンターへ向かった。

 しかし――

 「問題発生」

「……あら?」

「どうしました?」

「この機械、どう使うの?」

「えっ」

「私が現役だった頃は、こんなハイテクなマシンはなかったわ」

「そ、そうですよね!? 昔は手淹れの紅茶でしたし……!!」

 完全に最新機器に追いついていないオーナー。

「えっと、まずこのボタンを押して……」

「押すのね?」

 ポチッ。

 「ピピピピピピピピピ!!!!」

「にゃ!?(アラート!?)」

「にゃん!?(何が起こった!?)」

「にゃぁ~!(なにこの音!?)」

「……え?」

 オーナー まさかのエラー音を発生させる。

「ど、どうして?」

「……すみません、オーナー、もう少し手順がありまして……」

「ハイテクすぎてついていけないわ……」

「大丈夫です、フォローします!!」

 こうして、オーナーは機械操作には苦戦しながらも、着実に支配人としての仕事をこなしていった。

5
 そして、迎えた閉店時間――。

「オーナー、1日支配人、お疲れさまでした!」

「ありがとう、ミネコさん」

 オーナーは 店内を見渡しながら、静かに微笑んだ。

「……やっぱり、いいわね。この場所は」

「オーナー……」

「猫たちも、お客さんたちも……“ねこまど”を心から愛しているのが伝わってきたわ」

 すると、猫たちが 次々とオーナーの足元に寄ってきた。

「にゃ!(オーナー、やっぱりいい支配人だった!)」

「にゃん!(また来てほしい!)」

「にゃぁ~!(できれば毎日来てほしい!)」

「……ありがとうね」

 オーナーは、そっと猫たちを撫でた。

6
 そして、オーナーは 峰子の肩にそっと手を置いた。

「ミネコさん……ありがとう」

「え?」

「あなたがいてくれたおかげで、このお店はここまで来られたのね」

「そんな……私はまだまだ未熟で……」

「ふふ……それでも、私は安心したわ」

 オーナーは、やわらかく微笑んだ。

「これからも、ねこまどを……よろしくね」

「……!」

 その言葉が、ねこまど存続の“決定的な約束”となった。
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