ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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64)母として、支配人として

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1
 ねこまど閉店後の夜――。

 店内はいつものように穏やかだった。

 猫たちはお気に入りの場所で丸くなり、微かに聞こえるゴロゴロ音が心を落ち着かせる。

 しかし、カウンター席の空気は ピリッと張り詰めていた。

「……それで、話って?」

 向かいに座るのは、オーナーの息子・川島優斗(ゆうと)。

 久しぶりに会った彼は、少し落ち着いたように見えた。

 しかし、まだどこかに 逃げの姿勢が残っている。

「優斗。あなたの借金について、ちゃんと話しましょう」

「……」

 母親としてではなく、“ねこまどの支配人”として。

 オーナー・静は 真っ直ぐに優斗を見つめた。

2
「まず、あなたの借金額は最終的にいくらなの?」

「……」

「正確な金額を教えなさい」

「……500万ちょっと」

「ちょっと、ではなく、正確に」

「……520万」

 その額を聞いて、峰子(みねこ)、昭人(あきと)、真緒(まお)、琴葉(ことは)も 思わず息を呑む。

「……それは、どこからの借金?」

「……最初は普通の消費者金融。でも、そこから返せなくなって、知り合いに“簡単に借りられるところ”を紹介されて……」

「つまり、ヤミ金ね?」

「……まぁ、そうだな」

 その言葉に、店内の空気がさらに重くなる。

3
「利息は?」

「……月に10%」

「……トイチね」

「にゃ!?(それってヤバいのでは!?)」

「にゃん!(まじでやばいやつ!)」

「にゃぁ~!(今すぐ何とかしないと!!)」

 猫たちも、思わず驚く。

「優斗……」

 オーナーは、静かにため息をついた。

「あなた、本気でこの借金を返すつもりがあるの?」

「……え?」

「私に頼って、“なんとかなる”と思ってるんじゃない?」

「そ、そんなことは……」

「なら、具体的な返済計画を説明して」

「……」

 優斗は 言葉に詰まった。

4
「いい? 優斗」

 オーナーの 声が少し低くなる。

「私は、あなたの母親だけど、それと同時に“ねこまどの支配人”でもあるの」

「……」

「あなたの借金を肩代わりするために、お店を売ることはもう考えていないわ」

「……」

「でも、助ける方法はある」

「……どうするつもりなんだよ」

「まず、借金の相手と直接交渉する」

「え……?」

「今のままでは、いくら返済しても元金が減らないでしょう?」

「……それは、まぁ……」

「なら、利息の交渉をして、まともな返済計画を立てるしかないわ」

「……そんなこと、できるのか?」

「やってみなきゃわからない。でも、交渉の余地はあるはずよ」

「……」

5
「それから、あなた自身もちゃんと働きなさい」

「……わかってるよ」

「本当に?」

「え?」

「あなた、今の仕事以外にも副業を探してるって言ってたわね?」

「……ああ」

「それは、どこまで進んでるの?」

「……まだ、少ししか稼げてない」

「少し、ではなく具体的に」

「……2週間で、3万円くらい」

「……」

「それじゃ、話にならないわね」

「……!」

 オーナーは 静かに優斗を見つめた。

「あなたが、本気で“自分の力で返す”と決めたのなら、ちゃんと計画を立てなさい」

「計画……?」

「今のままでは、返済どころか、利息すら払えないのよ」

「……」

「だから、私たちと一緒に、返済プランを作るの」

6
「返済プラン?」

「ええ。まず、まともな金利のところに借り換えができるか調べる。 それが無理なら、交渉して利息を減らす。」

「……そんなこと、できるのか?」

「やってみなきゃわからない。でも、やるしかないわ」

「……」

「それができたら、あなたの収入を増やすための具体的なステップを決める。 どれくらい稼げば、どれくらいの期間で完済できるのか、数字で見えるようにするのよ」

「……」

 優斗は、しばらく 黙っていた。

 しかし――

「……やる」

 小さな声で、彼はそう言った。

「……」

「俺……今まで、なんとかなるって思ってた」

「……」

「でも、もう逃げたくない……ちゃんと向き合う」

 その言葉に、オーナーは 静かに頷いた。

7
「……じゃあ、決まりね」

◆ 借金の相手と交渉し、利息を下げる
◆ 優斗の副業を本格化させ、収入を増やす
◆ 具体的な返済プランを作り、実行する

「にゃ!(よし、やるぞ!)」

「にゃん!(ねこまども優斗も、救うんだ!)」

「にゃぁ~!(絶対に負けない!)」

「優斗……ここからが本当のスタートよ」

「ああ……」

「絶対に、諦めないわよ」

「……うん!」

 こうして、ねこまど存続と借金問題の解決に向けた“本当の戦い”が始まった――。
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