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封じられた学び舎
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蒸し暑い夏の夜、星の瞬く空の下、中学二年生になった陽介(ようすけ)、大輝(たいき)、隼人(はやと)、美咲(みさき)、由香(ゆか)、紗奈(さな)の六人は、ひそかに校庭に集まっていた。
去年の夏、彼らは肝試しの最中に異界へと迷い込むという恐ろしい体験をした。
だが、それを乗り越えたことで、彼らの絆は以前にも増して深まっていた。
そして今年の夏——彼らが挑もうとしていたのは、学校の七不思議だった。
「ほんとにやるの?」
由香が不安そうに辺りを見回しながら言った。
校庭には誰もおらず、夜の静寂が彼らを包み込んでいた。
夏休みの学校は、不気味なほどに静まり返っている。
「当然だろ。俺たちはもう怖いものなしだからな!」
隼人が胸を張って笑う。だが、その笑い声が夜の闇に吸い込まれるように消えた。
「……で? どうやって中に入るの?」
美咲が腕を組んで校舎を見上げた。
窓はすべて閉まっており、正門も施錠されている。
もちろん、夏休みとはいえ防犯対策が施されており、簡単に入れるはずもない。
「鍵、どこかにないかな?」
大輝がポケットから小さな懐中電灯を取り出し、足元を照らしながら周囲を探し始める。
「先生たちが持ってるだろうし、そう簡単には見つからないんじゃ……?」
由香が呟いたその時——。
カラン……カラン……
何かが落ちるような音がした。
六人は一斉に顔を見合わせる。
「今の……何?」
紗奈が小さな声で囁く。
音のした方向を見やると、校庭の隅にある古びた倉庫の前に、小さな光る物が落ちているのが見えた。
「行ってみようぜ」
陽介が静かに言い、皆はゆっくりと歩を進める。
倉庫の扉は固く閉ざされているが、その前に一本の鍵が落ちていた。
「鍵……?」
美咲がそれを拾い上げ、掌の上で転がした。
「でも、どこの鍵か分からないよね?」
由香が慎重に言う。
「試せばいいさ」
隼人が笑いながら校舎の正門へと駆け寄り、鍵を差し込んだ。
しかし——。
カチリ。
鍵は回らなかった。
「くそっ、違うか……」
「じゃあ、他の場所を探そう」
陽介が提案し、六人は校舎の周りを慎重に歩きながら鍵穴を探し始めた。
すると、倉庫のすぐ隣にある旧校舎の裏口に、小さな錠前がついているのを発見した。
「ここか……?」
紗奈が息をのんで鍵を差し込む。
カチリ——
錠前が静かに開いた。
「開いた……」
全員が息を呑む。
「入る?」
大輝が不安そうに言う。
「せっかく開いたんだし、行くしかないっしょ!」
隼人が勢いよく扉を押し開けた。
すると——。
ヒュオオオオオ……
冷たい風が、暗闇の奥から吹き抜けてきた。
「……なんか、変な感じがする」
美咲が眉をひそめる。
旧校舎の中は、すでに使われなくなって久しいため、埃っぽく、古い木造の廊下が軋む音が不気味に響く。
「これ、本当に大丈夫なの?」
由香が震える声で言う。
その瞬間——。
カタン……
何かが廊下の奥で動いた。
「……誰かいる?」
陽介が小声で言う。
しかし、誰の姿も見えない。
「七不思議を調べに来たのに、入る前からヤバそうな雰囲気じゃね?」
隼人が苦笑いしながら言った。
「だからこそ、調べる価値があるんでしょ?」
紗奈が得意げに微笑む。
だが、彼らはまだ知らなかった。
この夜、この旧校舎に足を踏み入れたことが、取り返しのつかない出来事の始まりであることを——。
去年の夏、彼らは肝試しの最中に異界へと迷い込むという恐ろしい体験をした。
だが、それを乗り越えたことで、彼らの絆は以前にも増して深まっていた。
そして今年の夏——彼らが挑もうとしていたのは、学校の七不思議だった。
「ほんとにやるの?」
由香が不安そうに辺りを見回しながら言った。
校庭には誰もおらず、夜の静寂が彼らを包み込んでいた。
夏休みの学校は、不気味なほどに静まり返っている。
「当然だろ。俺たちはもう怖いものなしだからな!」
隼人が胸を張って笑う。だが、その笑い声が夜の闇に吸い込まれるように消えた。
「……で? どうやって中に入るの?」
美咲が腕を組んで校舎を見上げた。
窓はすべて閉まっており、正門も施錠されている。
もちろん、夏休みとはいえ防犯対策が施されており、簡単に入れるはずもない。
「鍵、どこかにないかな?」
大輝がポケットから小さな懐中電灯を取り出し、足元を照らしながら周囲を探し始める。
「先生たちが持ってるだろうし、そう簡単には見つからないんじゃ……?」
由香が呟いたその時——。
カラン……カラン……
何かが落ちるような音がした。
六人は一斉に顔を見合わせる。
「今の……何?」
紗奈が小さな声で囁く。
音のした方向を見やると、校庭の隅にある古びた倉庫の前に、小さな光る物が落ちているのが見えた。
「行ってみようぜ」
陽介が静かに言い、皆はゆっくりと歩を進める。
倉庫の扉は固く閉ざされているが、その前に一本の鍵が落ちていた。
「鍵……?」
美咲がそれを拾い上げ、掌の上で転がした。
「でも、どこの鍵か分からないよね?」
由香が慎重に言う。
「試せばいいさ」
隼人が笑いながら校舎の正門へと駆け寄り、鍵を差し込んだ。
しかし——。
カチリ。
鍵は回らなかった。
「くそっ、違うか……」
「じゃあ、他の場所を探そう」
陽介が提案し、六人は校舎の周りを慎重に歩きながら鍵穴を探し始めた。
すると、倉庫のすぐ隣にある旧校舎の裏口に、小さな錠前がついているのを発見した。
「ここか……?」
紗奈が息をのんで鍵を差し込む。
カチリ——
錠前が静かに開いた。
「開いた……」
全員が息を呑む。
「入る?」
大輝が不安そうに言う。
「せっかく開いたんだし、行くしかないっしょ!」
隼人が勢いよく扉を押し開けた。
すると——。
ヒュオオオオオ……
冷たい風が、暗闇の奥から吹き抜けてきた。
「……なんか、変な感じがする」
美咲が眉をひそめる。
旧校舎の中は、すでに使われなくなって久しいため、埃っぽく、古い木造の廊下が軋む音が不気味に響く。
「これ、本当に大丈夫なの?」
由香が震える声で言う。
その瞬間——。
カタン……
何かが廊下の奥で動いた。
「……誰かいる?」
陽介が小声で言う。
しかし、誰の姿も見えない。
「七不思議を調べに来たのに、入る前からヤバそうな雰囲気じゃね?」
隼人が苦笑いしながら言った。
「だからこそ、調べる価値があるんでしょ?」
紗奈が得意げに微笑む。
だが、彼らはまだ知らなかった。
この夜、この旧校舎に足を踏み入れたことが、取り返しのつかない出来事の始まりであることを——。
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