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本編
この国のことが知りたい
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すぐイライラする短気なヤツだと思ったけど、どうやらクロは面倒見が良いらしい。
何もわからないという俺に、この世界について教えてくれた。
「この国はリヒト王国。人間の王様が治める国だよ」
「獣人の国じゃないのか」
「ああ」
この世界に普通の人間がいることは、クロの反応を見て分かっていたけど。
てっきり獣人の王様がいるもんだと思っていた。ライオン獣人とか。
ぼんやりと想像力を働かせていると、クロは説明を続ける。
「でもこれから行くオレの村は、獣人ばっかり住んでる村だ。他の種族は休憩に寄るくらいで、住んでない」
このリヒト王国に住んでいるのは、人間と獣人がほとんど。人間と獣人の住んでいる割合は、その地域によって違うらしい。
話を聞きながらも、俺の頭には疑問が湧き出てくる。
「ほとんどってことは、人間と獣人以外にも何かいるのか?」
質問を投げかけると、クロの目が丸くなる。
どうやら、クロにとってはびっくりな質問だったらしい。
「お前の国はもしかして、人間しかいないのか?」
「うん。こうやって話せるのは人間だけ」
正確には人間以外の動物もいる。
でもたぶんクロが言いたいのはそういうことじゃないだろうから、俺は頷いた。
クロは信じられないって表情をして顎に手を当てる。
「遠くの国には、人間ばっかの国もあるのか。まぁいいや。他の種族は......っつっても、オレもこの国のことしか知らねぇけど」
「この国のことが知りたい」
いきなり世界レベルの話を聞いても訳が分からなくなるからな。
まずは今いるこの場所の知識をつけないと。
夢だからもうすぐ目が覚めるとは思うけど、こんな機会なかなかないし。
起きたときに覚えてるといいな。
隣を歩くクロの狼の耳を横目で見ながら、俺は言葉を待った。
「人間、獣人の他はエルフと人魚だ」
「エルフ!人魚!!いるのか!?」
会ってみたい!
ファンタジーの世界の代表が、この国にいるなんてラッキーだ。
会えるかも知れないってことだ。
テンションが急上昇した俺に対して、クロは引き気味に頷く。
「お、おう。そんなに珍しいのか?確かにこの国ではたまにしか見かけないけど......」
珍しいどころか架空の生き物だよ!
他にも種族なんて色々いるらしいけど、全部はクロも知らないらしい。
そりゃそうだよな。俺も地球の国や人種なんて、ほとんど答えられない。
次は何を聞こうかな、と考えながら森の道を眺めていると。
「なぁ、お前もしかして……」
「なんだ?」
じっと俺のことを見ていたクロが首の飾りを触りながら何か言い掛けたが、スッと目を逸らして口籠った。
「いや。あー……お前、変わった服着てるよな。お前の国は皆そんな格好なのか?」
今度は俺が質問される番になったみたいだ。
自分の今の服装を改めて見下ろしてみる。
何もわからないという俺に、この世界について教えてくれた。
「この国はリヒト王国。人間の王様が治める国だよ」
「獣人の国じゃないのか」
「ああ」
この世界に普通の人間がいることは、クロの反応を見て分かっていたけど。
てっきり獣人の王様がいるもんだと思っていた。ライオン獣人とか。
ぼんやりと想像力を働かせていると、クロは説明を続ける。
「でもこれから行くオレの村は、獣人ばっかり住んでる村だ。他の種族は休憩に寄るくらいで、住んでない」
このリヒト王国に住んでいるのは、人間と獣人がほとんど。人間と獣人の住んでいる割合は、その地域によって違うらしい。
話を聞きながらも、俺の頭には疑問が湧き出てくる。
「ほとんどってことは、人間と獣人以外にも何かいるのか?」
質問を投げかけると、クロの目が丸くなる。
どうやら、クロにとってはびっくりな質問だったらしい。
「お前の国はもしかして、人間しかいないのか?」
「うん。こうやって話せるのは人間だけ」
正確には人間以外の動物もいる。
でもたぶんクロが言いたいのはそういうことじゃないだろうから、俺は頷いた。
クロは信じられないって表情をして顎に手を当てる。
「遠くの国には、人間ばっかの国もあるのか。まぁいいや。他の種族は......っつっても、オレもこの国のことしか知らねぇけど」
「この国のことが知りたい」
いきなり世界レベルの話を聞いても訳が分からなくなるからな。
まずは今いるこの場所の知識をつけないと。
夢だからもうすぐ目が覚めるとは思うけど、こんな機会なかなかないし。
起きたときに覚えてるといいな。
隣を歩くクロの狼の耳を横目で見ながら、俺は言葉を待った。
「人間、獣人の他はエルフと人魚だ」
「エルフ!人魚!!いるのか!?」
会ってみたい!
ファンタジーの世界の代表が、この国にいるなんてラッキーだ。
会えるかも知れないってことだ。
テンションが急上昇した俺に対して、クロは引き気味に頷く。
「お、おう。そんなに珍しいのか?確かにこの国ではたまにしか見かけないけど......」
珍しいどころか架空の生き物だよ!
他にも種族なんて色々いるらしいけど、全部はクロも知らないらしい。
そりゃそうだよな。俺も地球の国や人種なんて、ほとんど答えられない。
次は何を聞こうかな、と考えながら森の道を眺めていると。
「なぁ、お前もしかして……」
「なんだ?」
じっと俺のことを見ていたクロが首の飾りを触りながら何か言い掛けたが、スッと目を逸らして口籠った。
「いや。あー……お前、変わった服着てるよな。お前の国は皆そんな格好なのか?」
今度は俺が質問される番になったみたいだ。
自分の今の服装を改めて見下ろしてみる。
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