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終わりし世界

始まり

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私は、エルドラード・オルテガミス3世の元で働くオルテガミス共和国の騎士団長だ。巷では、漆黒の策士と言われてるようだが私はその名が好かん。今日も、戦に向けて準備中だ。隣国のエル・マルスとの戦いに向けてだ。領土を広げるためだ。これまで、どれほど戦をしてきただろうか。相手の国は疲弊している。だが、それも今日までだ! 私達が勝つからだ!
そして、ギルスタッドは侵攻し始めた。しかし、エル・マルス側も待機していた。エル・マルスの矢が飛んできた。場所が悪すぎる。逃げようにも崖で待ち伏せされてる。このままでは、崖から落ちてしまうと思った瞬間、落馬してしまい、ギルスタッドは崖から落ちた。もう、私は死ぬのだろうと覚悟を決めたようだった。しかし、事はおかしな方向へ向かった。ほっぺをズリズリしてくるなんかの触感がある。起きると、そこは見慣れない街。ここはどこだと、見て回ったが文字が読めない。異文化のものだろうか。建物も異様に高かったり、ガラスやコンクリート、箱型の乗り物、何かの箱型のものが沢山。新聞のようなものがあるが、読めない。何がどうなってるのか分からない。私は崖から落ちて死んだはず。おかしい。ほんとにここはどこなんだ?そう思いながら、その街を歩いていたら、1人の女性がいた。
話しかけたら言葉は通じるようだ。とりあえず、ここについて聞くことにした。
すると、女性は言った。
異世界人かぁー。ってことはあなた勇者様ね! 私は、この世界に来て初めて会った人に勇者と言われて、何を言ってるのか意味がわからなかった。勇者と言うのは、ドラゴン倒したり魔王とか倒すおとぎ話のあれの事だろうか?勇者か。もはや、おとぎ話の中の話で実際にいた勇者はだいぶ昔。もう、誰も勇者なんて言葉使おうとしない。子供へ寝かしつける時におとぎ話として話すくらいだ。でも、そんな事を考えてる場合じゃないな。まずは、現状把握をしよう。
彼女は、優しく色々教えてくれた。
名前を聞いてくるので名乗ると、 じゃあ、ギルスタッドさんですね!よろしくお願いします。私の名前はミオです! と言ってきた。そうか、ミオと言うのか。まだ、若いようだが相当苦労したのだろうな。服も汚れ、破けてる。可哀想に思えてきた。とりあえず、彼女の家に案内された。
綺麗とは言えない家だが、どこか温かみを感じるような雰囲気の家だった。
ひとまず、落ち着いて話を聞こう。
彼女が言うには、ここは日本という国らしい。そして、私が今いる場所は東京と呼ばれるところだそうだ。
随分とまぁ遠い所にきてしまったようだ。そういや、鍛治職人やってる友人が言ってたな。昔、神話の時代。好きに、異世界に飛ばせる神様がいたとか。確か名前は、時を司る神ライセル。まさかな。と、ライセルも神話の時代の話だ。私もおかしくなってしまったようだ。私は一番聞きたかったことをミオに聞いた。それは、なぜ、こんなに荒廃しているのか。人の気配もしない。何が起こったのか聞いた。ミオは暗い顔になった。私は察した。やはり、戦争があったのだ。そして、国が滅んだのだと。ミオは泣き出してしまった。きっと辛い過去があるに違いない。私はそっと抱きしめてあげた。すると、ミオは私の胸の中で泣いていた。しばらくして落ち着いたところで彼女は語った。どうやら、核戦争と言うのが起きたという。ほとんどの人間は死に絶え、シェルターに逃げ込んだ人達だけが今生きてると言うのだ。核戦争ってのは実に恐ろしい。こんなことになるとは。さらに言えば、核戦争と同時期に未曾有の大地震、大津波、大噴火があり、人間も数えるくらいしか生き残ってないとのこと。彼女の母と父親はシェルターに間に合わず死んでしまったらしい。私に魔法は使えるが救いになる様は魔法は使えない。歯がゆい気分だ。それから、私はしばらくミオの家に泊めてもらう事になった。
これからどうするかを考えないと行けないな。
まずはこの世界で生きていく術を身につけなくてわいけない。
私はこの世界にきて1ヶ月が経とうとしていた。
ミオと共に生活をし始めて分かったことがある。
食料がないのだ。だから、近くのすーぱーと言うところに一緒に同行した。だが、ほとんどが朽ちて食べれそうにない。やむを得ない。私はこれでも猟師の経験がある。狩ってこよう。少し外れたところにある森へ向かった。私はそこで鹿と出会った。鹿は美味だ。私は狩って、連れてきた。だが死んだままの鹿を見てミオは嫌そうだった。ミオが寝てる間に捌くことにした。それを丸焼きにして食す。これがなかなか美味い。久々なもんだ。そう言えば、私は森で奇妙な見慣れないものが見えた。それは、人型の人では無い何か。そいつは、私に話しかけてたな。何故いる?とかそれに、何故か私の出身地を知っていて、懐かしい言葉が出てきた。スローン族とか、色々。あの女は誰だったのだろう。もう一度会わないとな。と、ミオが私を見てくる。どうしたのかな?と聞くと、何考えてるのかな?って気になっていたようだった。私は、なんとなく察した。大丈夫。消えたりしない。もし出る時は一緒だ。と声かけた。ミオは安心したようだった。ふん。可愛いな。私にも同じ年頃の息子がいる。どうしてるだろうか。と、壊れかけた家の屋根から見える星を眺めた。
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