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オルテガミスの黄昏

混乱

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俺は、偉大なギルスタッド・グランドミュラーを父に持つエドワード・ウォルター・グランドミュラー。
親父の落馬事故以来、親父の死の真相を探る為騎士になった。ここまで来るのに時間かかった。訓練も耐えた。実戦も耐え抜いた。かれこれ、4年はかかった。周りからは、4年でここまで来れるなんて異例のことだと言われたが、俺には長く感じた。魔法も人並みには使える。剣術は、騎士団の中でもトップクラスだと上官から褒められた。ギルスタッドの子息と言うことで、妬みもあったが、誰もいじめてこなかった。
嫌味は言われたが、相当親父が怖いのだろう。誰も近寄ろうとは思わなかった。同じく騎士団になった仲間の1人、オペラ女優で有名なアリア・ブライアローズの娘マグノリア・ブライアローズ。
なかなか美人だ。流石、絶世の美女と謳われた母をもってるだけある。彼女の父親はライオット・ブライアローズ。エルドラード・オルテガミス3世の側近である。騎士団として初めての任務は要人の護衛だった。
北の国アヴァロンのご大臣様の護衛だった。大臣を護衛してから半日、山を抜けた麓に村を見つけそこで寝泊まりすることにした。村の宿でチェックインし、食事を済まし、交換で寝ていたら、大臣の悲鳴が聞こえた。急いで、部屋に入ると大臣がベットから落ちて死んでいた。一体何者が殺したのか。すぐさま、遺体を連れてオルテガミス共和国に帰宅。事の事態を報告した。
エルドラードは、うむ、そうかの一言だけだった。しかし、このままではオルテガミスの失敗としてアヴァロンから信頼を失ってしまう。果たしてどうするつもりなのか。翌々日、突然オルテガミス共和国はアヴァロンに宣戦布告をしたとの報告が来た。エルドラード様は何をお考えだ。戦争になれば、国民が混乱し反発するに決まってる。私は理解できなかった。
そこへ、マグノリアがやってきた。もし、貴方の父の死について真実を知りたいなら私についてきなさい。ついてくるかどうかは自由よ。でも、後悔だけはしないでね。と。俺は即答した。行く。と。マグノリアはわかったわと言って部屋を出た。その後に続いてマグノリアの父親も現れた。威圧感がやべー。睨まれてる気がする。なんて思っていると、地下牢に入った。地下牢で拘束されてる男の前で止まった。そして、ライオットがおい。起きろ。お前に会わせたい奴がいる。と、鉄柵を鳴らした。と、男は起きた。そして、俺を見て。やっぱり、ギルスタッドの面影があるな。若い頃の奴にそっくりだ。と言ってきた。どうやら、俺の父とは旧友のようだ。と、男はお前の父は多くの人に恨まれてたのは子供ながら知ってるよな?男は続けてこう言った。事故が起きたあの日の前日俺見たんだ。盗んだ肉をあの事故の崖にある林で食べてたらな、人の話し声が聞こえたんだ。そろそろギルスタッドが来るぞ。言われた通りに威嚇しろ。当てるな。当てたら意味無い。事故として話つけてもらう手筈だから。と言う話を聞いてしまったと言う。そして、その翌日。親父が馬から落ちた事故が起きた。
俺は、男が言っていたことを信じた。信じるしかなかった。
しかし、疑問が残る。一体誰の指示なのか。よく知る人物なのか。そんな時、泥棒として捕まって今に至ると言うのだ。その男はそう語った。マグノリアは辛そうに声かけた。そういうことらしいんだ。お前の父はこの国の最強どころか、異常に強かった。その反面、それ故嫌われてもいた。この男は、若い頃のお前の父を知っていたが、もしかすると強さの理由は出生地が関連してるかもしれない。しかし、この男は大人の彼しか知らず、青年期から幼少期の事は知らないらしい。お前にはなにか言ってなかったのか?1番近しい存在だ。何か言ってそうだが。とマグノリアは言った。
しかし、エドワードも父のことなのによく知らなかった。と、帰り際後ろにいたマグノリアの父ライオットは、ふむ。皆知らないのか。もしや、彼の幼少期を知るものが絡んでるかもしれないと思ったが、振り出しに戻ってしまったか。お前の父はそもそもまだ幼かったお前を担いで連れてきた旅人だったのだ。だから、それ以前のことは知らなくてな。聞いたりすることはあったが、はぐらかされたりしててな。あまり、話したくないのだろうと思ってるうちにお互い忙しくなってしまってその話をしなくなってしまったな。困ったな。実はなと、ライオットは見せてきた絵として描かれた紋章を見せてきた。どうやら、調べたら太古の昔にスローン族と言う民族がいてな。そこの長が掲げてた紋章だったみたいなんだ。スローン族は元々別の世界にいたアトランティス族の生き残りだと言われたそうなんだ。アトランティス帝国が一夜にして滅んだのは地盤沈下によるものらしいが、その生き残りがスローン族らしいのだ。この話は、確か学んだはずだ。エドワード君も。
そういや、お前の父はいつもその授業の日はサボってたな。ふん、懐かしいな。おっと、俺も老けたもんだ。思い出に浸るとは。まぁ、だから。いつも、その授業の時だけサボるからあいつなんかあるんじゃないかってね。でも、予想は外れたな。しかし、聞いて分かったと思うがこの話は他言無用だ。誰が聞いてるか分からないからな。と言って、自分の部屋にライオットは入っていった。マグノリアは、お前はどうするの?これから。辛かったら休んでもいいが。私の方から上官に言っておくぞ。と言われたが、俺は引きずってないと言ったら嘘になるが、割と平気だった。それは、何故か本当に生きているかもしれないと気持ちもあったからである。
そもそも、落馬事故で死んだなんてあの親父に限って有り得るのか。そう思えるほど追ってるとは言え、生きてるかもしれないという理由で追ってるところもある。マグノリアと共にエルドラード王の元へ戻ると、エルドラード王はこう言った。ライオットから聞いておるな。世は、全ての国に宣戦布告するつもりだ。その理由は、誰が敵なのかハッキリする為だ。そう言うとエルドラード王は優しい顔してエドワードの頭を撫でた。世にとっても、子同然だ。絶対にギルスタッドの無念を晴らしてやる。と、言ってきた。
その時のエルドラード王の表情は今にも泣きそうな顔だった。家に帰る途中だった。マグノリアと一緒に途中まで帰っていた時、マグノリアは、エルドラード王が1番辛いのかもしれない。お前は知らぬだろうがエルドラードは兄を失ってる。先代の王である父もだ。エルドラード様には妹もいるが、行方知れず。母とエルドラード様だけが助かったのだ。強盗の線で事件は終息したようだが。そこから、悲劇の王族なんて言われるようになってしまって、エルドラード様は傷心を理由に王にはなれないと言われ、王位継承権を失いかけた事があるんだ。でも、母がお前の父に頼み込んで、お前の父が我が父と共に紛争した。まぁ、その間も色々あったらしいが、こうして王になれたという訳だ。だから、すごい恩義があったのだろう。私が騎士団に入る時に父が話してくれたのだ。
エドワードは、自分の父親をよく知らなかった事を痛感した。そして、父親なのに遠い存在にも思えた瞬間だった。そして、家に着くと深いため息が出た。疲れたからではなく、父親の知らない1面を見て悲しかったからだ。知らないことが多すぎることが辛く悲しかった。そして、何かが壊れた。崩れるように座り込み泣いてしまった。そのまま泣き疲れ寝てしまった。と、夢を見た。
父親が出てきた。何を話してるのかは分からない。だが、明らかに知らない若い女性、多分この世界の人では無い女性と話してる夢を見たのだった。ハッと目が覚めた。と、何やら外が騒々しい。外に飛び出すと、何やら皆が変なことを言っている。王が死んだと。自殺したと。エドワード、そんな馬鹿なと言う気持ちをいっぱいに城に駆けつけるのであった。
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