愛され末っ子

西条ネア

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記憶がなくなる前の話

22話

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静矢サイド


「入ってきてちょうだい。」

母さんがそういうと佐々木さんの後ろから二人の男の子が出てきた。

「琉架についてもらおうと思っている遼よ。こっちが理斗についてもらおうと思っている蘭。」


「ご紹介にあずかりました、遼です。琉架様のために命をも掛ける所存です。」

「同じくご紹介にあずかりました、蘭です。理斗様のために誠心誠意努めさせていただきます。」

二人は双子なのだろうか。
顔がそっくりだ。

理斗と琉架は二卵性だからあまり似ていない。

「二人は双子?」

「「はい。」」

凄い。
普段から双子パワーは感じてるつもりだったけど大きくなるとこんなにシンクロするんだ。

感心しながらもキリッと見定める。

「まず、遼。命をかけるなんてそう簡単に言わないこと。死んじゃったら琉架が悲しむじゃない。」

「はい。」


「、、、蘭。理斗見るときは琉架も一緒。理斗はまだ琉架に加減、できない。」

竜葵も僕と同じく思うところがあったのか珍しく口を開く。

まぁ、これから父さんたちとは主に琉架の体調面とかアレルギーとか制限についての難しい話があるから今のうちに言っておくのがいいと踏んだのだろう。

「了解しました。」

蘭も遼と同じように竜葵の目を見て力強く答える。


、、、さっきから一度も声を発さない理斗はキッと二人をにらんでいた。


「理斗?どう思う?」

父さんが理斗に聞いた。

「、、、何が何でも琉架一番。」

いい?と半幅脅しのように言った理斗に目をてしっかりと返す二人。

とは言っても特に蘭は理斗の付き人が主な仕事だから理斗にも目はかけるだろうが、、、。


「、、、そう。」

それだけいうとまた黙り込んだ理斗。
眠いのか?
でもこんな重要なこと、理斗がおろそかにするはずがないからな。

何か幼いながらに感じるところはあるのだろう。

だが、質問をする前と比べては少し柔らかな雰囲気になった気がする。


「じゃあ、3人はオッケーでいいのね?」

「「「うん。」」」

「わかったわ。」


「つくのはもう少し先だからね。」
父さんが付け足した。


「じゃあ、わたし達はまだお話があるから先にお休みなさい。」

そう言われ、僕たちは部屋を出た。





「どうしたの?理斗。何かおかしかった?」

「、、、別に。」

きっと理斗は己の半身である琉架が遼たちにとられてしまう、と嫉妬しているのではないだろうか。

理斗の可愛らしい一面に竜葵と顔を見合わせクスリと笑った。
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