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0 滅びの神話
しおりを挟む万物を抱く星「アムス」。
太陽は光と熱を与え、大地と海は生命を育み、幾千もの命が生まれ、滅び、また生まれた。
その中に現れたのが、自然と一体となる「セイシュ」の民。
彼らは火を操り、水を呼び、大地で育て、風を駆けた。
さらに、その不思議なちからを特殊な石へと封じ込み、祈りと共に受け継がれていった。
火を崇める一族は、その火のちからを特殊な石へと封じ、その火を操った。
大地を崇める一族は、森の木々の豊かさを特殊な石へと封じ込め、薬草や木の武器を生み出した。
水を崇める一族は、生命の源といえる水を特殊な石へと封じ込め、滝のような激しい濁流や、優しいわき水のような喉を潤す水を自由に操った。
信仰は一族ごとに異なり、互いに交わることを拒んだ。
血を混ぜればその力は絶え、「堕落」と呼ばれて追放される。
すなわち、異なる一族の間に生まれ追放された子が「イシュ」と呼ばれる力を失いし者たちである。
その者たちが群れたイシュの民は長きにわたり蔑まれ、影に追いやられた。
だが、力を持たぬがゆえに、彼らは技術を磨き、土を耕し、火を武器とし、金属を鍛え、やがて狩りを効率的に進める武器を作り出した。
そして欲望が芽吹く。
「セイシュの力を奪え」と。
イシュの民がセイシュの民と争うようになるには、それから時間が掛からなかった。
かくして大いなる争いが始まった。
セイシュの民のもつ不思議なちからは終始圧倒する戦力であったが、イシュの民が命を崇める一族をその武力で降伏させ、その一族の特殊なちからで、動物を操り、味方にして戦力を大きく増強させた。
当然、セイシュの民のその不思議なちからでの反撃も強く、次第に争いは激しさを増していった。
そのような争いの中、イシュの民の知者がある発見をする。
セイシュの民がそのちからを封じ込めた石同士を強くぶつけ合い、同時に破壊させると、激しい爆発が発生するということであった。
それを発見したのは実際試したイシュの民であり、それを試した場所は山が一つ吹き飛ぶ激しい爆発で、多大な死者を出したという。実験の結果、特に火、水、大地を崇める一族が用いる特殊な石がさらに強い爆発を起こすことがわかった。
この事実をイシュの民は見逃さなかった。
火、水、大地を崇める一族を一斉に襲い、大量の石を奪った。
そして、操った2匹の鳥のくちばしにそれぞれ違う石を結びつけ、セイシュの民の頭上で激しくそれらをぶつけさせたのである。
それは、セイシュの民を滅ぼすのに十分な破壊力を有する禁断の兵器であった。
その破壊により、殆どのセイシュの民は命を落とし、生き延びたものも、密かに身を隠した。
セイシュの民とイシュの民の争いは、イシュの民の大勝利で終った。
しかし、争いが終わり、イシュの民は気付いた。
激しい爆発により、すでにアムスは住める土地では無くなっていた。
木々は枯れ、水は濁り、大地は割れていた。動植物は、死に絶え始めた。
セイシュの民も、イシュの民も、多くの一族が滅び、残されたのは荒廃と絶望のみ。
ただ、一部のセイシュは、不思議なちからを封じ込めた原石で結界を生み出し、秘された地に生き延びたという。
その地には再び光が満ち、澄んだ水が流れ、緑が芽吹いていた。
長き時を経て、新たに自らを「ヒュム」と呼ぶ民族が力を持ち、繫栄し、人類の大多数を占めるようになっていた。彼らは繁栄し、数を誇り、さらには知恵を得た動植物「サブヒュム」と共に歩み始めた。
世界は安定を取り戻したかに思われた。
だが囁きは消えぬ。
「結界が揺らいでいる」
「イシュは滅びてはいない」
真実は、今も闇の中にある。
これは、かつて神話と呼ばれた戦いの残響。
かつて神話と呼ばれた時代の記憶。
だが世界の物語は、まだ続いている。
そして今、新たな世界が開かれようとしている。
第二部
大地の草木は枯れた。
太陽は弱々しく、生物を暖めることが出来ない。
水は濁り、魚は減少し、土が混じり、流れを堆積物が醜く塞いだ。
大気には埃が舞い、視界は遮られた。
セイシュ・イシュの争いの跡。
なぜ、こんなところに住まなければならないのか。
セイシュの民の持つ原石同士をぶつけ破壊した衝撃を武器としたイシュの民は勝利と同時にすべてを失った。
イシュの民は問いかけた。
『なぜ、我々はすべてを失ったのか。』
『それは、セイシュの民がすべての源を奪ったからだよ』
『セイシュの民がすべてを独り占めして結界の中に隠したからだよ』
セイシュの民のすべてを憎んだ。
さらに時が流れると、イシュの中にさまざまな思想が生まれる。
高い戦闘能力を持ち、セイシュの民からその源を奪うことに躍起になったイシュの民。
結界をどうしたら破ることができるのか研究を進め、戦闘の技術を高めた。
いわゆる思想を引き継いだイシュの民であり主流である。
奪われた源を創り出そうと考えた、イシュの民から派生したアイラの民。
この思想を生み出したアイラという一人の男性からとった名である。
自然と技術の融和を元に、原石に代わる新たな源創りにちからを注いだ。
セイシュの民と友好を図り、源を分けてもらおうとした、イシュの民から派生した
オチの民。この思想を生み出したオチという女性からとった名である。
また、彼らとまったく違う思想も生まれた。
『それは、争いを起こしたからだよ』
この考えを持つものは、争いを放棄した。
すべての武器を廃絶し、技術を捨て、自然と共に暮らした。
そして、この世の中の記録から姿を消した。
皮肉なことに自然のちからはそれらを忘れさせるように自己修復力に優れた。
元の世界へと徐々に徐々に移り変わっていく。
それから、さらに数え切れない年月が過ぎ、過去の記憶も薄らぎ、消えたさらに後、
一人の少年から幕が開けていく。
『炎光に誘われし少年と龍の蒼天の約束』
ヴェアリアスストーリー 第二部
第一部と同じ時代、別の場所で紡がれた物語である。
☆ここから読んでも問題ないので、ぜひこの先も読んでください!
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