炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

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47 未来のための封鎖

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 キーンが現在の状況を語る。

 ラン大陸は四つの国に分かれている。
 北西カラン、北東コラン、南西キラン、南東ケラン。

 コランを除く国王たち、そして各国の重臣たちも多くはイルエスタ、または他国へ移動したまま戻らず、連絡もつかない。安否確認もままならない状態だった。
 そのさなか流れた、イルエスタによる総攻撃の噂。民は混乱に陥る。

「国王の国外逃亡」を批判しながらも、国外へ移動できる者たちはその後を追うように大陸を去っていく。
 カランの港には巨大な船が到着しては離れ、大金と資産が動いた。
 乗船賃を作るために窃盗や暴力が多発し、治安は大きく低下する。

 だが、それを取り締まる兵士たちはイルエスタ侵攻に備えてカルゴ港へ召集されており、抑止力はほぼ存在しない。
 その兵士さえ国外へ逃亡する者が後を絶たないのだ。

 国境を守る兵も消え、国という概念そのものが崩れ始めていた。
 国外へ出られない者たちは、何をどうすべきかわからないまま、不安に震えている。

 そんな状況を聞きながら、ミクシアはつい「で?」と言いかけたが、真剣な顔でうなだれるコラン王を見て、その言葉を飲み込んだ。

「状況が良くないということはわかりました。で、何か打つ手はあるのでしょうか?」

「残った各国の高官で臨時政府を作りました。とはいえ、あえて残った奇特な者ばかりですが。
 しかし交戦か降伏か、意見が割れて収拾がつかない」

「じゃあ、俺の出番なんてありませんよね。」

「だからだ。第三者の意見も聞こうということになった。」

「迷惑というか。あ、まあ、そうですか。」

 腕を組むミクシア。そのまま静かに深く考える。

「鎖国」

 ぽつりと口に出す。

「鎖国?国を閉じるのか?」
 ジーンが続きを待ち、ミクシアを見つめる。

「交戦しても勝ち目は薄い。降伏すれば原石を搾り取られ、大陸は崩壊する。
 なら結論を先延ばして、国力を蓄えるべきです。」

「先延ばし、か。」

「問題は、今迫っているイルエスタをどう追い返すか。」

「勝たなくても負けない戦いか。」

 ジーンが深くうなずく。

「ミクシアよ。そこまで考えているなら、その方法もあるのだろう?」
 キーンが身を乗り出した。

 ミクシアは一度息を吐き、コラン王とジーンに頭を下げる。

「後は臨時政府で決めてください。よそ者が言うと、却って採用しづらいでしょう。」

「ミクシア、俺はこの国の生まれだ。仲間の多くは国外へ逃げられず残されている。守りたいんだ、どうか!」

 キーンが深く頭を下げた。
 再び、ミクシアがため息をつく。

「カラン港を破壊する。上陸拠点に兵器を置き、船を近づけさせない。人の出入国は全面禁止。貿易も止めます。」

「な、そんなことできるのか?国としての機能を放棄するということか。」

 キーンとジーンが真剣な表情になる。
 コラン王が咳き込みながら考える。

「それにはラン大陸の統一が必要でしょうか?」

「当然です。すぐにでも。」

 即答。

「今この大陸にいる王は、私だけ……か。」
 ジーンがミクシアに視線を向ける。ミクシアは答えない。

「臨時政府の判断が筋です。ただし、時間はありません」
 ミクシアが少し急かすように、強めに告げた。

「わかった。急ぎ進める。ジーン、人を集めてくれ」
「承知しました」
 ジーンが部屋を出る。

「イルエスタをどう追い返すかは?」
 コラン王が不安げに問う。

 ミクシアが笑みを見せる。

「この大陸には、こいつがいますから。」

 そう言って、キーンの腕をバンと叩いた。

「俺か。いや、俺らか」

「そうだ。守れ、キーン。学んだ技術は使ってこそ価値が生まれる。もちろん俺も手伝う。」

「コラン王!微力ながら国のために尽くします。俺の故郷を守らせてください!」

 キーンが頭を下げ、ミクシア、ディアルトも続く。
 コラン王は深く頭を下げて答えた。

「その忠誠心、嬉しく思う。よろしく頼む」

 コラン王は迎えの者と共に退出。

 静かになった室内。
 ミクシアはバタンと後ろへ倒れ、目を閉じ、深く息を吐く。

「キーン、保有兵器と今の戦力を調べてくれ。それで作戦を立てる。」

「もう友人に頼んである。すぐ届く。」

「よし、じゃあ寝る。限界だ。」

「任せろ。」

 ミクシアが疲れきった顔で眠りに落ちる。

 それからすぐに部屋の扉が開く。
  申し訳なさそうな表情でコラン王が姿を再び現す。 

「ゴホッ。ミクシア、あの……」 

「なんでしょうか!コラン王!」
  ガバっとミクシアが上半身を起こすと、もういい加減威嚇するように強く息を吐く。

「いや、食事を手配したと伝えようと。ゴホッ……」

「ありがとうございます!」

 ミクシアがそのまま再び倒れると、今度はからだを丸めて眠りについた。
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