転移魔法は最強の攻撃魔法である!!

yomuyomu

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第2部:交差する思惑

第11話:仮入隊の条件は、お茶汲みと報告書。

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夜が、その藍色の衣をゆっくりと脱ぎ始めようとしていた。
東の山の稜線が、まだ眠る世界との境界線を曖昧に描き出し、そこから滲み出す白々とした光が、深い谷間に溜まった朝靄を静かに照らしている。しっとりと湿り気を帯びた空気が、陽菜の家の縁側を優しく包み込んでいた。昨夜のうちに降りたのだろう、庭の草葉の先には朝露がきらりと光り、小さな宝石のように見えた。その雫が葉を滑り落ち、土に染み込むかすかな音まで聞こえてきそうなほどの、深い静寂。空気はひんやりと肌を刺し、息を吸い込むと、濡れた土の匂いと、若草の持つ青臭い香りが胸の奥まで満たしていく。
遠くの森から、目を覚ました鳥の、高く澄んださえずりが聞こえ始めた。一つ、また一つと、その声は増えていき、世界の目覚めを告げる静かな合唱となって、朝靄の中を渡っていく。
そんな、まるで一枚の絵画のように穏やかな風景の中で、相田宗一郎は、全く穏やかではない状況に直面していた。
「さて、宗一郎殿。そろそろ、腹は決まりましたか?」
目の前に立つ朱鷺(とき)は、完璧な微笑みを浮かべていた。その笑顔は、昇り始めた朝日の柔らかな光を浴びて、慈母のようにすら見える。だが、その言葉に含まれる圧力は、有無を言わせぬ絶対零度の冷たさを帯びていた。隣には、腕を組んだ玄(げん)が仁王のように立ちはだかり、その巨体が作り出す影が、宗一郎の逃げ道を完全に塞いでいる。
宗一郎は、両手で持った湯呑みのぬくもりだけを頼りに、九官鳥のように同じ言葉を繰り返した。
「いえ、ですから、僕のような未熟者が、朱鷺様がたの輝かしいご経歴に泥を塗るわけにはいきませんから。パーティに加わるなど、百万年早いと申しますか……」
口から滑り出るのは、現世で骨の髄まで叩き込まれた自己卑下と謙遜の言葉。しかし、彼の脳内では、それとは全く違う、もっと切実な絶叫がけたたましく鳴り響いていた。
『団体行動、無理! 絶対に無理!』
『またグループに入れってことか!? あの地獄の教室と同じじゃないか!』
『「みんなで仲良く」とか言いながら、結局は強い奴が好き勝手して、俺みたいなのが全部押し付けられるんだ! 俺は知ってる、よく知ってるぞ!』
いじめられ、社会の隅で息を殺して生きてきた宗一郎にとって、「組織に所属する」という行為は、虎の群れに裸で飛び込むのと同義だった。意思疎通の齟齬、同調圧力、人間関係のストレス。それら全てが、彼の心に深く刻まれたトラウマを容赦なく抉り出すのだ。
業を煮やした玄が、一歩前に出る。酒臭い息と、獣のような圧が宗一郎にのしかかる。
「坊主ぅ、ごちゃごちゃ理屈こねてねえで、『はい』か『イエス』か『喜んで』って言やあいいんだよ。なあ?」
「玄さん。圧をかけるのはおやめなさい」
朱鷺の穏やかな声と共に、ゴッ、と鈍い音が響いた。玄の脇腹に、彼女の肘鉄が寸分の狂いもなくめり込んでいる。玄は「ぐふっ」とカエルが潰れたような声を上げ、その場に崩れ落ちた。朱鷺は、呻く玄に一瞥もくれず、完璧な笑顔を宗一郎に向け続ける。その光景は、あまりにも日常的に、そして流麗に行われたため、宗一郎は一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
膠着状態。朝の静寂だけが、三者の間に横たわっている。
その時、宗一郎の着物の袖が、くいっと、遠慮がちに引っ張られた。
見ると、陽菜がそこに立っていた。彼女は、潤んだ瞳で、子犬のように不安げに宗一郎を見上げている。その瞳は、朝露を宿した黒曜石のようにきらきらと揺れていた。そして、か細く、震える声でこう言ったのだ。
「宗一郎さん……。もし、またこの前の大牙みたいな魔物が、この村に現れたら……。その時、宗一郎さんがそばにいてくれなかったら、私……私、どうなっちゃうのかな……?」
その言葉は、まるで鋭い楔のように、宗一郎の罪悪感のど真ん中に打ち込まれた。
『警報! 警報! これは、人として絶対に断ってはいけないやつだ!』
『俺がパーティ入りを断ってこの村を去ることと、陽菜さんが魔物に襲われる可能性を、直接結びつけてきたぞ!』
『ここで断れば、俺は恩人を見捨て、か弱い少女を危険に晒す、人でなし、外道、人間のクズという最終認識が確定する!』
『ああ、もう、ままならない! なんで俺の周りは、こうも選択肢を奪うのがうまい奴らばかりなんだ!』
宗一郎は、観念した。もはや、抵抗は無意味だった。彼は、まるで絞首台に向かう罪人のように力なく首をうなだれ、蚊の鳴くような、しかしはっきりと聞こえる声で、そう告げた。
「……お試し、ですけど。あくまで……仮入隊、ということでなら」
その言葉を聞いた瞬間、陽菜は「やったあ!」と満面の笑みを浮かべ、朱鷺は「ふふっ、お待ちしておりましたよ」と満足げに頷いた。脇腹を押さえて呻いていた玄でさえ、「おう、それでいいんだよ、坊主」とニヤリと笑う。
朝靄が晴れ始め、陽光が世界を照らし出す。それは、新しい始まりを告げる、希望に満ちた光のはずだった。だが、宗一郎の心には、これから始まるであろう集団生活への、どんよりとした灰色の絶望だけが、重く垂れ込めていた。
町の組合指定宿屋「百獣のねぐら」は、その名の通り、屈強な冒険者たちで常に賑わう、活気と熱気に満ちた場所だった。その一番奥にある、パーティ専用の特別室。そこが、朱鷺たちが拠点として借り上げている部屋だった。
重厚な木の扉を開けた瞬間、宗一郎は思わず息を呑んだ。
部屋の中は、高級宿の一室とは思えないほど、機能的なカオスに満ていた。
壁には、鹿のものと思しき巨大な角と、明らかにこの世界の生物ではない、牙の生えた巨大な狼の頭蓋骨が剥製となって飾られている。床には、磨き上げられた長剣や斧、使い込まれた革鎧やローブといった、多種多様な武器や防具が、手入れのために整然と並べられていた。部屋の中央に置かれた大きな樫の木の机の上には、飲みかけの葡萄酒の瓶と、無作法に置かれた干し肉の塊、そして羊皮紙に描かれた、この国のものらしい極めて詳細な地図が広げられている。
古い羊皮紙のインクの匂い、武器の手入れに使う油の匂い、そして微かな葡萄酒の芳醇な香りが混じり合った、独特の匂いが部屋を満たしていた。窓から差し込む午後の力強い光が、空気中を舞う埃を金色の粒子のように照らし出し、不思議な荘厳さを醸し出している。
「すごい……」
思わず、感嘆の声が漏れた。これは、本物だ。遊びじゃない。彼が知っている、体裁ばかりを気にする会議室や、陰湿ないじめが横行する教室とは、全く違う。命のやり取りをする者たちの、機能美と緊張感が、この部屋には満ちている。
宗一郎の胸に、ほんの少しだけ、淡い光がともる。もしかしたら、ここでの「役割」は、彼が知っている、あの理不尽で不毛な人間関係とは、少しは違うのかもしれない。そう思うと、あれほど嫌悪していた団体行動も、少しは我慢できるかもしれない、と。
そんな淡い期待に胸を膨らませる宗一郎に、朱鷺は、にっこりと、それはもう完璧な営業スマイルを浮かべてこう告げた。
「ようこそ、宗一郎さん。私たちのパーティ、『静かの森』へ。では、一員としての初仕事です」
来た! と宗一郎は身構えた。この本物の仕事場で、自分に与えられる役割とは、一体何だろうか。
「まず、お茶を淹れていただけますか? 長旅で喉が渇いてしまいまして。それから、これは先日の依頼の報告書の下書きです。読みやすいように、清書をお願いしますね」
「…………はい?」
宗一郎の思考が、完全に停止した。
お茶? 報告書の清書?
ソファに寝転がって鼻をほじっていた玄が、追い打ちをかけるように、だらしなく言い放つ。
「おう坊主、俺の酒もついでにな。つまみは、そこの干し肉を適当に切っといてくれ。ああ、薄めにな」
その瞬間、宗一郎の脳内で、何かが音を立てて砕け散った。
『命懸けの仕事場の初仕事が、お茶汲みと書類整理!? なんだ、この……この感じは!』
『そうだ、これは、あの教室と同じだ! クラスのリーダー格の奴らが「悪い、相田。ジュース買ってこいよ」「あと、俺のノートも写しといて」と、悪びれもせずに雑用を押し付けてきた、あの感じと!』
『あの無精髭の男の態度! このパーティ内での序列が、俺が一番下だと、暗に、いや、明確に示している!』
彼の頭の中は、疑問と怒りと、そして何より現世の記憶と直結する強烈な絶望の嵐が吹き荒れていた。冒険者という実力主義の世界なら、理不尽な序列(渇愛)からは解放されるかもしれないと、心のどこかで淡く期待していた。しかし、このあまりにも一方的な雑用の押し付けは、彼が最も嫌悪する、スクールカーストの構造そのものではないか。その現実を突きつけられた彼の心には、「結局どこへ行っても同じなのか」という、明確な「苦しみ」が燃え広がっていく。
だが、彼に反論するという選択肢はなかった。長年のいじめられっ子生活で培われたスキル――それは、「理不尽な命令に、表情一つ変えずに完璧に対応し、事を荒立てずにその場をやり過ごす」という、悲しき処世術だった。
宗一郎は、すっと表情を消すと、流れるような動作で部屋の隅にあった給湯設備でお湯を沸かし、戸棚から茶葉を取り出す。その手際の良さは、まるで何年もこの役割をやらされてきたかのようだった。完璧な温度で淹れられたお茶を朱鷺の前にそっと差し出し、次に玄のために葡萄酒を杯に注ぎ、腰のナイフで干し肉を、要求通り、神業のような薄さでスライスしていく。
その完璧すぎる仕事ぶりに、朱鷺は「あら、宗一郎さんは本当に気が利きますね」と目を丸くして感心し、玄は「おう、見込みがあるじゃねえか、この坊主」と満足げに頷いた。
彼らは知る由もなかった。目の前の青年が、その無表情の仮面の下で、どれほど巨大な絶望と屈辱の炎を燃やしているのかを。そして、その炎が、彼の自己肯定感を、灰すら残らないほどに焼き尽くしていることにも。
報告書の清書作業は、想像以上に骨の折れるものだった。この世界の文字は、宗一郎の知る日本語に酷似しているが、独特の崩し字や専門用語が多く、解読するのに時間がかかる。彼は、机に向かい、羽ペンをインクに浸しながら、黙々と作業を続けた。
その背後で、朱鷺と玄の会話が聞こえてくる。それは、先ほどの雑談とは打って変わって、完全にプロフェッショナルのそれだった。
「北の鉱山地帯で、ゴブリンの活動が活発化しているようです。どうやら、ホブゴブリン級の、統率力のある個体に率いられている可能性がある、と。巣の規模は中程度ですが、油断はできませんね」
「へっ、ホブゴブリンなんざ、俺の剣の錆にしてくれるぜ。姐さんの合図一つで、連中の隊長の首なんざ一瞬だ。問題は、地形だな。奴ら、洞窟を複雑に掘り進めてやがるらしい。罠の警戒は必要だ」
ゴブリン、ホブゴブリン、斥候、擬装通路、落とし穴。
ファンタジーの世界でしか聞いたことのない単語が、まるで今日の献立を決めるかのように、淡々と、しかし真剣に語られていく。彼らは、これから本当に、魔物と命のやり取りをしに行くのだ。
その、あまりにも現実感のある会話を聞きながら、宗一郎は、ふと、自分の手元に視線を落とした。
そこにあるのは、インクで汚れた指先と、持ち慣れない羽ペン。書き損じをしないように、と神経をすり減らしながら書き写している羊皮紙。そして、冷めてしまった自分用のお茶が入った、少し欠けた湯呑み。
世界の断絶。
彼らと自分との間には、決して越えることのできない、深くて暗い溝が横たわっているように感じられた。
宗一郎の脳裏に、最悪の未来予想図が、くっきりと映し出された。
『後方支援、か。戦闘をしなくていいのは、まあ、ありがたい。正直、死ぬのはもうごめんだし、血を見るのも嫌だ』
『でも、その支援って、具体的に何をするんだ? 荷物番? 戦闘後の記録?』
『……それって、結局、現世でパシリやらされてたのと、何が違うんだ?』
『強い奴らが表舞台で活躍して、俺みたいな価値のない人間は、隅っこで地味な雑用を押し付けられる。構造は、あの教室と全く同じじゃないか!』
『俺は、異世界にまで来て、また同じ役割をやるために転生したのか!?』
無理だ。
これじゃあ、何も変わらないじゃないか。
初日にして、異世界での「居場所」も、結局は現世の教室と何ら変わらないのだという、身も蓋もない現実を、彼は叩きつけられたのだ。彼の心は、雨の日の教室の隅でうずくまっていた時と、何一つ変わらない、どんよりとした灰色の絶望に、完全に包まれていた。
「早くも、辞職、したい……」
ぽつりと漏れた呟きは、誰の耳に届くこともなく、埃の舞う午後の光の中に、静かに溶けて消えていった。
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