転移魔法は最強の攻撃魔法である!!

yomuyomu

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第2部:交差する思惑

第16話:アンデッドにだって、物理法則は通用します。

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風の音が、死んだ。

鉱山の入り口をくぐり、幾重にも折れ曲がった坑道を下っていくうちに、それまで岩肌を撫でていた風の囁きは完全に途絶えた。代わりに支配するのは、墓の内側のような、よどんだ沈黙。ぽたん、と天井から滴り落ちる石灰を含んだ水滴の音だけが、やけに大きく、不規則なリズムで鼓膜を打つ。

空気は、肺の奥底にまで纏わりつくように冷たく、湿っていた。土と黴が何十年もかけて熟成されたような匂いに混じって、微かに、しかし明確に、腐臭が漂う。それは、打ち捨てられた獣の死骸とも、蔵の隅で腐り果てた野菜とも違う、もっと生々しく、人の記憶の奥にある不快感を直接刺激するような、甘ったるい死の香りだった。

松明の炎が、一行の顔を頼りなげに照らし出す。朱鷺(とき)の完璧な横顔、玄(げん)の無精髭、陽菜(ひな)の少し強張った頬。そして、彼らの背後で、まるで絵巻物から抜け出してきたかのような真紅の鎧を纏った『紅蓮の獅子』のリーダー、猛(たける)の、緊張に引き締まった表情。誰もが口を閉ざし、自らの武器の柄を握りしめ、一歩一歩、慎重に闇の奥へと進んでいく。

僕、相田宗一郎は、その最後尾から数歩離れた場所を、存在感を消すようにして歩いていた。前の世界で培った、集団の中で最も目立たず、誰からも意識されない位置取りをするスキルは、異世界に来ても健在らしい。正直に言えば、来たくて来たわけじゃない。鉱山の幽霊退治なんて、どう考えても僕の専門外だ。物理が通じるかどうかも怪しい相手に、僕の転移魔法がどこまで通用するというのか。

それでもここにいるのは、半ば成り行きで行動を共にすることになったこの国の「指南役」、鉄斎(てっさい)と名乗る昼寝好きの老人が、「おお、面白そうな若者がぎょうさん集まったことじゃ。ちいとばかし、退屈しのぎに付き合ってもらうとしようかのう」などと、全ての元凶であるかのような呑気な一言を発したからに他ならない。

やがて坑道は、唐突に終わりを告げた。目の前に、巨大な空洞が、まるで大地の裂け目のように広がっていた。

そこは、自然が数万年という時間をかけて作り上げた、巨大な鍾乳洞だった。天井からは巨大な氷柱のような鍾乳石が無数に垂れ下がり、地面からは筍のように石筍が突き出している。松明の光が届かないほど広大な空間は、壁や鍾乳石にびっしりと付着した燐光性の苔によって、青白い幽玄な光に満たされていた。それは、どこか深海の底を思わせる、幻想的で、同時に不気味な光景だった。

そして、その青白い光が照らし出していたのは、おびただしい数の、蠢く影だった。

かつて鉱夫だった者たちの、見る影もなく朽ち果てたなれの果て。ぼろぼろの衣服をまとったゾンビが、緩慢な動きで徘徊し、白骨だけの身体でカツン、カツンと不協和音を奏でるスケルトンが、虚ろな眼窩をこちらに向けている。その数は、百や二百ではきかない。千はいるかもしれない。

洞窟全体が、一つの巨大な墓場だった。低い呻き声が、洞窟の壁に幾重にも反響し、まるで空間そのものが嘆いているかのように聞こえる。

「ほっほっほ。こりゃあ、ちいとばかし賑やかすぎるようじゃのう」

鉄斎が、まるで近所の祭りにでも来たかのように屈託なく笑った。その声を合図にしたかのように、それまで緩慢に動いていたアンデッドたちが、一斉に、ぎょろりとした憎悪の光をその眼窩(あるいは、かつて眼窩だった場所)に宿し、こちらを向いた。

「来るぞ! 全員、陣形を組め! 神官は詠唱開始!」

猛の鋭い号令が、洞窟に響き渡る。その声には、恐怖の色など微塵もない。むしろ、強敵を前にした喜悦すら感じられた。『紅蓮の獅子』のメンバーたちは、一糸乱れぬ動きで猛を中心に円陣を組む。重厚な盾を構えた前衛が壁となり、その後ろから槍と剣が突き出され、さらに後方で神官たちが神聖な祈りの言葉を紡ぎ始める。

「オオオオオオオッ!」

地鳴りのような雄叫びと共に、アンデッドの津波が、なだれを打って一行に襲いかかった。


戦いの火蓋は、猛の一閃によって切られた。

「はあああああっ!」

気合一閃、彼が背負っていた身の丈ほどもある大剣が、唸りを上げて振り抜かれる。その軌跡は、闇の中に真紅の残光を描き、最前列にいたゾンビの群れを、肉も骨も関係なく、まとめて薙ぎ払った。分厚い鉄の塊としか思えない大剣が、まるで熱したナイフがバターを切るかのように、腐肉を断ち、骨を砕く。その一撃だけで、十数体のアンデッドがただの肉塊へと変わった。

「聖なる光よ、不浄なる魂を打ち払え! ホーリー・スマイト!」

後方の神官が杖を突き上げると、まばゆいばかりの光の柱が天から降り注ぎ、アンデッドの密集地帯を焼き尽くす。浄化の光に焼かれたアンデッドたちは、断末魔の叫びを上げる間もなく、黒い煙となって霧散していく。聖なる力は、アンデッドに対して絶大な効果を発揮していた。

『紅蓮の獅子』は、間違いなく強かった。一人一人が、これまで僕が見てきたどの冒険者よりも洗練され、鍛え抜かれている。猛の圧倒的な破壊力、仲間たちの揺るぎない連携。彼らの戦いぶりは、一種の芸術のようにすら見えた。彼らは、この世界の「正義」を体現する、輝かしい英雄そのものだった。

だが。

「数が、多すぎる……!」

仲間の誰かが、苦しげに呟いた。

その通りだった。倒しても、倒しても、キリがないのだ。洞窟の闇の、さらに奥。苔の光も届かない深淵から、次から次へと、新たなアンデッドが湧いて出てくる。それはまるで、決壊したダムから溢れ出す濁流のようだった。一体を倒す間に、三体がその穴を埋める。

最初は余裕のあった猛の表情にも、次第に焦りの色が浮かび始める。彼の呼吸は荒くなり、額には玉の汗が光っている。あれだけの巨剣を振り回し続ければ、いくら屈強な彼でも体力が無限なわけではない。神官たちの魔力も、底が見え始めていた。聖なる光の輝きが、徐々に、しかし確実に弱まってきている。

時間は、明らかに敵に味方していた。このまま消耗戦を続ければ、いずれ押し潰されるのはこちらの方だ。それは、誰の目にも明らかだった。

その、英雄たちの死闘が繰り広げられるすぐ後方で。

僕と、朱鷺と、玄、そして鉄斎の四人は、腕を組んで、ただ静かにその光景を眺めていた。

いや、正確に言えば、眺めているだけなのは僕以外の三人だ。僕は、その異常な状況に、どうしていいか分からず、ただオロオロと視線を彷徨わせているだけだった。

「おい、貴様ら! 何を傍観している! 手を貸せ!」

猛が、アンデッドを一体斬り捨てながら、血走った目でこちらを睨みつけ、怒声を張り上げた。その声は、助けを求める懇願というよりは、非難と侮蔑に満ちた糾弾だった。

しかし、その怒声を受けても、三人は動じなかった。朱鷺はいつもの完璧な微笑みを浮かべたまま。玄は「やれやれ、威勢のいいこった」とでも言うように、つまらなそうに耳の穴をほじっている。鉄斎に至っては、にこにこと目を細め、孫の学芸会でも見るかのように、その奮闘ぶりをただ楽しんでいる。

誰も、助けに行く素振りを見せない。

(え、なんで? なんで助けないんだ?)

僕の頭は混乱していた。仲間(仮)がピンチなのに、なぜ見ているだけなんだ。これがこの世界の強者の流儀なのか? あるいは、猛たちに何か恨みでもあるのか?

いや、違う。朱リと玄の視線は、猛たちを見てはいるが、その戦いぶりを心配しているわけではない。彼らはもっと別の何かを、この状況そのものを、まるで実験でも観察するかのように、冷徹な目で見つめていた。

そして、僕もまた、自分の頭が猛烈な速度で回転し始めるのを感じていた。ただし、彼らとは全く別のベクトルで。


(非効率、だな)

僕の思考は、まずその一言から始まった。

目の前の光景は、あまりにも非効率に満ち溢れていた。一体一体、剣で叩き、魔法で焼く。確かに派手で、英雄譚としては絵になるだろう。だが、目的が「敵の殲滅」であるならば、これはあまりにも無駄が多すぎる。時間も、体力も、魔力も、すべてが有限のリソースだ。それを、あんな風に湯水のように垂れ流していては、勝てる戦いも勝てなく――

(――いや、待てよ)

僕の思考が、ふと別の方向へと枝分かれする。

(そもそも、こいつらは、何で動いているんだ?)

幽霊、アンデッド。この世界では当たり前の存在として扱われているが、その原理は誰も説明してくれない。何かの魔法的な力が、死体を操っているのか? それとも、特殊な菌か寄生虫の類が、死体の神経を乗っ取って動かしているのか? 現世のSF映画なら、そういう設定が山ほどあった。

(いや、もっと、単純なことだ)

僕は、自分の思考の癖に気づいていた。僕は物事を、つい複雑に、小難しく考えすぎてしまう。いじめられていた頃、常に相手の顔色を窺い、言葉の裏を読み、あらゆる可能性をシミュレートしては、結局何もできずに固まっていた。あの頃の癖だ。

もっと、シンプルに考えろ。目の前にある「事実」だけを見ろ。

幽霊とか、アンデッドとか、そういうオカルト的なレッテルを一旦、全部剥がしてみる。そうして残るのは、何だ?

(『物理的な肉体』が、ここにある。ただ、それだけだ)

腐ってはいるが、骨も、肉も、衣服も、実体としてこの空間に存在している。重力に従い、質量を持ち、物理的な法則の支配下にある、ただの「物質」だ。

人間の体は、脳が司令塔になって、神経を通じて手足に命令を送ることで動いている。こいつらの場合、その司令塔が頭蓋骨の中に残っているとは限らない。もしかしたら、胸のあたりにある魔石みたいなものがコアになっているのかもしれない。それは分からない。

だが、どんな仕組みであれ、絶対に確かなことがある。

体のどこかにあるはずの『動力源』と、実際に動いている手足を繋ぐ、何らかの『伝達経路』は、絶対に存在するはずだ。神経のようなものか、あるいはもっと別の、魔法的なエネルギーラインのようなものかもしれない。でも、その繋がりがなければ、ただの肉の塊は動けない。

(もし、その繋がりを)

(物理的に、内部から、めちゃくちゃにしてやったら?)

僕の脳裏に、とんでもない発想が、まるで天啓のように、あるいは悪魔の囁きのように、ふっと舞い降りてきた。

例えば、だ。

僕の魔法は「転移」。空間座標を指定して、物質を別の座標に移動させる。これまで、石ころとか、猪とか、スライムの半身とか、そういう「物体そのもの」を動かすことしか考えていなかった。

でも、もっとミクロな視点で使ったら?

一体のゾンビがいる。そいつの頭蓋骨の中には、腐ってはいるが、かつて脳だったものが入っている。そして、足の脛の中には、骨髄がある。

(もし、こいつの頭蓋骨の中身を、そっくりそのまま、足の脛の骨の中に『転移』させたら、どうなるんだろう?)

司令塔と末端が、物理的に入れ替わる。いや、そんな生易しいものじゃない。脳だったものが骨の中に無理やり押し込まれ、骨髄が頭蓋骨の中にぶちまけられる。神経も血管も、全ての内部構造が、根元から引きちぎられ、ぐちゃぐちゃになる。

それは、もはや「攻撃」ですらない。

生命というシステムを成り立たせている、内部構造そのものの「破壊」。

(……いける、かもしれない)

背筋に、ぞくりと悪寒が走った。それは、恐怖か、それとも興奮か。自分でもよく分からなかった。ただ、僕の頭は、そのとてつもなく合理的で、同時に、とてつもなく非人道的なアイデアの実現可能性を、冷静に、そして正確にシミュレートし始めていた。


「ちょっと、試してみます」

誰に言うでもなく、僕はぼそりと呟いた。その声は、洞窟内に響き渡る剣戟の音や怒号にかき消され、誰の耳にも届かなかっただろう。

僕は、猛たちの激しい戦闘の輪から少し離れた場所にいた一体のゾンビに、意識を集中させた。そいつは、右腕がもげ、顎が半分外れかかっていたが、それでもなお、本能だけに突き動かされ、のろのろと前進を続けていた。

僕は、そいつの身体の内部構造を、頭の中で精密にイメージする。頭蓋骨の位置。脛骨の位置。その中身。

そして、右手の親指と中指を合わせ、軽く、パチン、と鳴らした。

その瞬間、世界から音が消えたように感じた。

ゾンビの動きが、まるでコマ送りの映像のように、カクン、と不自然に止まる。そして、次の瞬間、その体は内側から崩壊した。

まず、頭部が風船が萎むように、不自然に陥没した。かと思うと、右足の脛が、ありえない角度にぐにゃりと折れ曲がり、そこから腐った脳漿のようなものが溢れ出す。左腕は、まるで強力な磁石にでも引き寄せられたかのように、胴体の中へとめり込んでいった。

悲鳴も、断末魔もない。

ただの人形のように、ぐにゃりと関節の制御を失い、その場に崩れ落ちた。それは、生命活動の停止というより、おもちゃが壊れる様に、あまりにもよく似ていた。

「…………」

僕は、その結果を冷静に観察する。いけた。僕の仮説は、正しかった。

ならば、あとは、この作業を繰り返すだけだ。

僕は、視線を次のアンデッドに移す。

パチン。

一体が、崩れ落ちる。

また、次のアンデッドへ。

パチン。

また一体が、動かない肉塊になる。

それは、もはや戦闘ではなかった。不良品を検品し、ラインから取り除いていくような、静かで、無機質で、恐ろしく効率的な「作業」だった。

僕の周りだけ、時間が止まっているかのようだった。少し離れた場所では、猛たちが依然として死闘を繰り広げ、剣と魔法の音が激しく鳴り響いている。しかし、僕のいる場所は、指を鳴らす乾いた音と、肉塊が地面に崩れ落ちる湿った音だけが、支配していた。

僕の意識は、完全に研ぎ澄まされていた。一体一体の内部構造をイメージし、転移させ、破壊する。そのプロセスに、何の感情も挟まなかった。これは、畑のスライムを駆除した時と同じだ。最も効率的で、後片付けのいらない方法。ただ、それだけだ。

パチン。パチン。パチン。パチン。パチン。パチン。パチン。パチン。パチン。パチン。

どれくらいの時間が経っただろうか。数分、あるいは十数分だったかもしれない。

僕がふと顔を上げた時、洞窟を埋め尽くしていたアンデッドの津波は、完全にその動きを止めていた。

そこにあったのは、おびただしい数の「動かない肉塊」の山。様々な部位が、ありえない場所に移動し、原型を留めないほどに破壊された、かつて生命だったものの残骸。

あれほど洞窟に満ちていた呻き声は、完全に消え失せていた。

残ったのは、気まずいほどの、沈黙だけだった。


その沈黙を最初に破ったのは、誰かの息を呑む音だった。

見れば、『紅蓮の獅子』のメンバーたちが、全員、生存者を確かめることも忘れ、ただ呆然と、目の前の光景を、そして僕を、信じられないものを見るような目で見つめていた。何人かは、顔面蒼白になり、静かに口元を押さえている。彼らが流した汗も、血も、その英雄的な奮闘も、僕のやったことの前では、まるで茶番のように見えてしまったのかもしれない。

朱鷺と玄も、さすがにその表情からはいつもの余裕が消えていた。特に朱鷺は、その完璧な微笑みをかろうじて保ってはいるものの、瞳の奥には、ゴブリンの巣の時とは比較にならない、もっと根源的な何かに対する畏怖と困惑の色が浮かんでいた。生命倫理そのものを問うような、僕の力の使い方に、彼女もまた言葉を失っているようだった。

そんな中、わなわなと、全身を怒りに震わせながら、一人の男が僕の方へと歩み寄ってきた。

猛だ。

彼の瞳には、恐怖があった。しかし、それを遥かに上回る、激しい怒りの炎が燃え盛っていた。彼は、僕の胸ぐらを掴まんばかりの勢いで詰め寄ると、絞り出すような声で、しかし洞窟全体に響き渡るほどの声量で、叫んだ。

「貴様ッ! それでも、人の心を持つ人間か!」

彼の言葉は、純粋な怒りであり、純粋な正義感の発露だった。

「彼らも、元は人だったのだぞ! 望んであんな姿になったわけじゃない! 我らが為すべきは、その呪われた魂を聖なる力で浄化し、安らかな眠りへと導いてやることだったはずだ! それを、貴様は! ただのガラクタのように、虫けらのように、壊して、壊して、壊して! その魂ごと、冒涜した! 外道め!」

その通りだ、と僕は思った。彼の言うことは、何一つ間違っていない。僕のやったことは、人の道から外れている。外道だ。

僕は、何も言い返せなかった。反論する言葉も、資格も、僕にはなかった。ただ、俯いて、彼の正しさを全身で受け止めるしかなかった。

その、凍りつくように険悪な雰囲気の中。

ただ一人。

場違いな、からからとした笑い声が、響き渡った。

「ほっ、ほっ、ほっ! ほっほっほっほっほ!」

鉄斎だった。彼は、腹を抱え、涙を流さんばかりに大笑いしていた。

「これは面白い! 実に面白いわい! 近頃の若者は、とんでもないことを考える! 常識という檻に、全く囚われておらん!」

その無邪気な笑い声は、しかし、猛の燃え盛る怒りの炎に、さらに油を注ぐ結果にしかならなかった。

「何が、おかしい!」

猛の怒りが、今度は鉄斎に向けられる。しかし、老人は笑いを止めない。

「ほっほっほ! いや、すまんすまん。じゃがのう、坊主。お主の言う『正しさ』も、そこの若僧がやった『効率』も、ワシから見れば、五十歩百歩じゃわい。どちらも、ただ、目の前の事象を『自分好みに変えたい』という、人間の傲慢さの表れに過ぎんからのう」

鉄斎の言葉は、まるで禅問答のようだった。しかし、今の猛に、その真意を理解する余裕はない。

彼は、僕を、そしてこの状況を笑う鉄斎を、憎悪に満ちた目で見据えた。その瞳が、明確に物語っていた。

お前たちとは、決して相容れない、と。

僕と猛の間に生まれた決定的な亀裂は、もはや修復不可能なほど、深く、暗いものになっていた。この世界に来て、僕はまた、自分の意図しない形で、取り返しのつかない敵意を生んでしまったらしかった。
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