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魔獣 その2
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ティナとカイルはカヌエの街の中を歩いていた。
「どこまで行くんだよ」
「7人目の行方不明者が最後に目撃された南地区の酒場までだ」
ティナが気だるそうな顔をする。
「えー、遠い…」
「文句を言わずに歩け」
「へーい…そういやさ、おっかない姉ちゃんは来ないのか?」
「エリスの事か?今日は庁舎で待機だ」
「てっきり、お前についてくると思ったのに」
カイルは顔を引きつらしながらティナを見た。
「帝国兵のお前と一緒に魔獣退治に行くんだぞ、エリスに知られたら、魔獣退治の前に俺が退治されるわ」
ティナがお腹を抱えながら笑った。
「お前立場弱いな」
「エリスは怒らせたら怖いからな…それに」
カイルが優しい表情を浮かべる。
「あいつは家族みたいなものだからな、できれば危険な目に合わせたくないんだよ…」
「家族みたいなもの?」
2人が話しながら歩いていると目的地に着いた。
「この話は終わりだ、目的地に着いたぞ」
そう言うとカイルが酒場を指差した。
「行くぞティナ」
「おい、まだ話が…まぁいいか、ちょっと待てって」
カイルが酒場の入り口の前で止まった。
「ちょうどこの辺で別れたらしいぞ」
「わかった、とりあえずこの辺から見るぞ」
ティナはそう言うと目を閉じ集中した。
目を開けると、ティナの目には魔光の青い光が見えた。
ティナが険しい表情を浮かべる。
「んー、カヌエの街の設備に使われてる魔光石が邪魔だな…」
「どうだいけそうか?」
「わからない、少し待ってくれ……ん?あっちの方向…」
そう言うとティナは目を細め指を差した。
ティナが指差した方向には、カヌエの街を流れる川があった。
「あそこ、魔光の痕跡が伸びてるような…」
そう言うとティナが走り出した。
川沿いの道でティナが立ち止まる。
「わずかだが道の真ん中に魔光の痕跡が残っている…」
「魔獣なのか?」
「お前の予想通りだ、この魔光…カヌエの街に魔獣がいる」
「やはりか…」
「川の方向に向かって魔光の痕跡が伸びている、痕跡を辿るぞ」
「おう」
2人は魔光の痕跡を辿って川沿いを歩き始めた。
「ここは…地下水路に続く通路か…」
2人の目の前には、2メートル程の大きさの通路の入口があった。
「あぁ、この先まで魔光が続いてるぞ」
「それじゃ入るか」
2人は通路を歩き始めた。
「魔獣は地下水路にいるのか?」
「あぁ多分な」
「魔獣はこの通路を通って、川の近くを歩く人間を襲っていたのか」
「人間を襲って地下水路に連れ込む…一瞬だから人目につかない、魔獣ってそんな頭いいのか?」
「お前帝国にいたんだから、そのくらい知ってるだろ」
「興味なかったから知らん!」
カイルはため息をつきながらティナに説明した。
「魔獣となった生物は、魔光の影響で普通の生物と比べて、成長スピードが遥かに早くなるんだ…」
ティナはカイルの説明を首を傾げなが聞いていた。
「おい、理解してるか?」
「おう……」
「お前絶対わかってないだろ」
カイルが呆れた顔でため息をつく。
「はぁーお前は…簡単に言うとだな、魔光を取り込む事でだいたいの生物は賢くなるんだよ、理解したか?」
「おう、理解した!」
「まぁお前みたいなバカがいるから、人間の知能は魔光で成長しなさそうだな…」
「テメェぶっ飛ばすぞ」
話す2人の前方から、微かに足音が聞こえた。
「おいティナ」
「あぁわかってる」
カイルが帯剣していた剣を抜き、ティナもカイルに合わせるように構えた。
ガサガサと音を立て、暗闇の中から足音が近づく。
「チュチュチュ…」
ティナ達の前に姿を現したそれは、人と同じ大きさのネズミ型の魔獣だった。
「数は6体か…ティナ半分任せた」
「おう!」
そう言うとティナは、ネズミ型の魔獣に突っ込み、前方にいた3体の間をすり抜けた。
前方にいた魔獣が、鋭い歯を光らせながら、カイルに飛びかかる。
「賢くなっても、所詮魔獣は魔獣だな」
カイルは飛びかかる魔獣にタイミングを合わせ剣を振り下ろした。
「ギュュュル……」
真っ二つに割れた魔獣が、通路に転がる。
カイルは、1体目を斬り伏せた後、後に続く魔獣に切りかかった。
「はあぁぁぁ」
斬り伏せる音と共に魔獣の胴体が両断された。
残りの1体がカイルに飛びかかる。
「ギャルル」
カイルは身体を反転させ、飛びかかる魔獣を避ける。
ガラ空きの魔獣の背中にカイルの剣が突き刺さった。
「ギュュュル……」
断末魔を上げながら、魔獣が倒れ込む。
「こっちは終わったぞ」
「おう、こっちもこれで最後だ」
そう言うとティナは拳を振るった。
ティナの拳が魔獣の顔にめり込む。
骨が砕ける音と共に魔獣が倒れ込んだ。
すると、ティナの目の前に倒れる3体の魔獣の亡骸から、青色の蒸気が溢れ出し姿を消した。
魔獣が消えた後、ティナはカイルの方を見た。
カイルは首を横に振り、ティナを見返す。
「こっちもだ」
カイルの近くに転がっていた魔獣の亡骸も消えていた。
「魔獣の固有能力か…」
「あぁそうみたいだな、本体は別にいる、間違いなくネズミ型の魔獣だな…」
「ティナ、本体の魔光を追えるか?」
ティナが目に力を込める。
「だめだ、私達が追ってた魔光は、どうやら分身体の魔光だったらしい、本体がどこにいるかわからないな」
「そうか…まぁいい、分身体はこの先に続く水路から来ていた、水路に向かえばそのうち見つかるだろ」
「その考え嫌いじゃないぞ、それじゃ水路に向かうか!」
ティナとカイルは、水路に向け歩き始めた。
「どこまで行くんだよ」
「7人目の行方不明者が最後に目撃された南地区の酒場までだ」
ティナが気だるそうな顔をする。
「えー、遠い…」
「文句を言わずに歩け」
「へーい…そういやさ、おっかない姉ちゃんは来ないのか?」
「エリスの事か?今日は庁舎で待機だ」
「てっきり、お前についてくると思ったのに」
カイルは顔を引きつらしながらティナを見た。
「帝国兵のお前と一緒に魔獣退治に行くんだぞ、エリスに知られたら、魔獣退治の前に俺が退治されるわ」
ティナがお腹を抱えながら笑った。
「お前立場弱いな」
「エリスは怒らせたら怖いからな…それに」
カイルが優しい表情を浮かべる。
「あいつは家族みたいなものだからな、できれば危険な目に合わせたくないんだよ…」
「家族みたいなもの?」
2人が話しながら歩いていると目的地に着いた。
「この話は終わりだ、目的地に着いたぞ」
そう言うとカイルが酒場を指差した。
「行くぞティナ」
「おい、まだ話が…まぁいいか、ちょっと待てって」
カイルが酒場の入り口の前で止まった。
「ちょうどこの辺で別れたらしいぞ」
「わかった、とりあえずこの辺から見るぞ」
ティナはそう言うと目を閉じ集中した。
目を開けると、ティナの目には魔光の青い光が見えた。
ティナが険しい表情を浮かべる。
「んー、カヌエの街の設備に使われてる魔光石が邪魔だな…」
「どうだいけそうか?」
「わからない、少し待ってくれ……ん?あっちの方向…」
そう言うとティナは目を細め指を差した。
ティナが指差した方向には、カヌエの街を流れる川があった。
「あそこ、魔光の痕跡が伸びてるような…」
そう言うとティナが走り出した。
川沿いの道でティナが立ち止まる。
「わずかだが道の真ん中に魔光の痕跡が残っている…」
「魔獣なのか?」
「お前の予想通りだ、この魔光…カヌエの街に魔獣がいる」
「やはりか…」
「川の方向に向かって魔光の痕跡が伸びている、痕跡を辿るぞ」
「おう」
2人は魔光の痕跡を辿って川沿いを歩き始めた。
「ここは…地下水路に続く通路か…」
2人の目の前には、2メートル程の大きさの通路の入口があった。
「あぁ、この先まで魔光が続いてるぞ」
「それじゃ入るか」
2人は通路を歩き始めた。
「魔獣は地下水路にいるのか?」
「あぁ多分な」
「魔獣はこの通路を通って、川の近くを歩く人間を襲っていたのか」
「人間を襲って地下水路に連れ込む…一瞬だから人目につかない、魔獣ってそんな頭いいのか?」
「お前帝国にいたんだから、そのくらい知ってるだろ」
「興味なかったから知らん!」
カイルはため息をつきながらティナに説明した。
「魔獣となった生物は、魔光の影響で普通の生物と比べて、成長スピードが遥かに早くなるんだ…」
ティナはカイルの説明を首を傾げなが聞いていた。
「おい、理解してるか?」
「おう……」
「お前絶対わかってないだろ」
カイルが呆れた顔でため息をつく。
「はぁーお前は…簡単に言うとだな、魔光を取り込む事でだいたいの生物は賢くなるんだよ、理解したか?」
「おう、理解した!」
「まぁお前みたいなバカがいるから、人間の知能は魔光で成長しなさそうだな…」
「テメェぶっ飛ばすぞ」
話す2人の前方から、微かに足音が聞こえた。
「おいティナ」
「あぁわかってる」
カイルが帯剣していた剣を抜き、ティナもカイルに合わせるように構えた。
ガサガサと音を立て、暗闇の中から足音が近づく。
「チュチュチュ…」
ティナ達の前に姿を現したそれは、人と同じ大きさのネズミ型の魔獣だった。
「数は6体か…ティナ半分任せた」
「おう!」
そう言うとティナは、ネズミ型の魔獣に突っ込み、前方にいた3体の間をすり抜けた。
前方にいた魔獣が、鋭い歯を光らせながら、カイルに飛びかかる。
「賢くなっても、所詮魔獣は魔獣だな」
カイルは飛びかかる魔獣にタイミングを合わせ剣を振り下ろした。
「ギュュュル……」
真っ二つに割れた魔獣が、通路に転がる。
カイルは、1体目を斬り伏せた後、後に続く魔獣に切りかかった。
「はあぁぁぁ」
斬り伏せる音と共に魔獣の胴体が両断された。
残りの1体がカイルに飛びかかる。
「ギャルル」
カイルは身体を反転させ、飛びかかる魔獣を避ける。
ガラ空きの魔獣の背中にカイルの剣が突き刺さった。
「ギュュュル……」
断末魔を上げながら、魔獣が倒れ込む。
「こっちは終わったぞ」
「おう、こっちもこれで最後だ」
そう言うとティナは拳を振るった。
ティナの拳が魔獣の顔にめり込む。
骨が砕ける音と共に魔獣が倒れ込んだ。
すると、ティナの目の前に倒れる3体の魔獣の亡骸から、青色の蒸気が溢れ出し姿を消した。
魔獣が消えた後、ティナはカイルの方を見た。
カイルは首を横に振り、ティナを見返す。
「こっちもだ」
カイルの近くに転がっていた魔獣の亡骸も消えていた。
「魔獣の固有能力か…」
「あぁそうみたいだな、本体は別にいる、間違いなくネズミ型の魔獣だな…」
「ティナ、本体の魔光を追えるか?」
ティナが目に力を込める。
「だめだ、私達が追ってた魔光は、どうやら分身体の魔光だったらしい、本体がどこにいるかわからないな」
「そうか…まぁいい、分身体はこの先に続く水路から来ていた、水路に向かえばそのうち見つかるだろ」
「その考え嫌いじゃないぞ、それじゃ水路に向かうか!」
ティナとカイルは、水路に向け歩き始めた。
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