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しおりを挟むその後2日間アディリナは高熱にさいなまれたが、1週間が過ぎると熱は下がり体調は元に戻っていた。
しかし、イスマエルからも従者たちからもまだ無理はしないようにと厳しく言いつけられ、未だベッドのでの生活が続いていた。
「アディリナ、もう本当に身体は大丈夫なのか?」
ようやく面会が許されたアディリナに1番に会いに来たのは、サンチェス国との親睦会のためイヴァノフ王国を離れていたヨハンだった。
「ヨハンお兄様、そんなに心配しなくても大丈夫です。ただ少し熱が出ただけですもの。」
そう言ってアディリナはいつものように微笑むが、ヨハンの心配そうな表情が消えはしなかった。
「ヨハンお兄様もサンチェス国から帰ってきてお疲れのところ、本当に申し訳ありません…」
そう言って申し訳なさそうにアディリナは少しうつむく。
ヨハンは別段疲れて等なかったが、アディリナが自身を気遣ってくれていることがたまらなく嬉しかった。
「いや、俺の方は問題ない。…サンチェス国でアディリナが好みそうな本を土産として買ってきた。」
そういったヨハンの言葉にアディリナはぱっと顔をあげてヨハンを見る。
ヨハンが選んでくれる本は間違いないのだ。
いつもヨハンは自分にもわかりやすく、そして興味が引かれる本を選んでくれる。
ヨハンは、そのとびきり嬉しそうな表情を自身が作っていることが嬉しかった。
「ヨハンお兄様、良ければサンチェス国のお話を聞かせていただけませんか?私はほとんどこの国から出たことがないもので…他国がどうなっているか知りたいのです。」
15歳になるアディリナは、物心つく前に呪いにかかったため満足に城の外にすら出たことはなかったのだ。
ヨハンもほとんど城からは出ない人間であったが、アディリナの期待を含む視線を向けられるとどうしようもなくそれに答えたくなってしまう。
話が上手な方ではないヨハンの話をアディリナは嬉しそうに微笑んで聞いていた。
そんな時だ。
「ご歓談中に申し訳ありません。セドリック王子殿下がいらっしゃいました。」
アディリナ付きの使用人がその言葉と共にセドリックを案内し、部屋へと入ってきた。
その言葉にヨハンは、瞬時に声の方へと顔を向ける。
「…驚いた、ヨハンだったのか…」
「……セドリック兄上」
セドリックの方もまさかヨハンがいるとは思わず、その瞳には驚きが混じっていた。
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