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しおりを挟むエルザにとって、フェリシナは自身の空想の中から飛び出してきたような存在だ
幼い頃から城から出ることもできず、ただ決められた人生を生きてきたエルザは、ずっと人生を覆すほどの愛に焦がれ続けた
幼い頃よりエルザにとっての伯父、前国王の後宮を見続けてきた
政略的に宛がわれた女達、寵愛を求める女の争い、王位を求める妻達。
それをずっと傍で見続けてきたエルザにとってそれは到底愛とは言えるものではない。
そしてそれを求められる自分もそんな愛に相応しい存在ではなかった。
エルザが焦がれる愛とは、その愛のためには身分もすべて覆せるような純なモノ
王宮という綺麗なモノばかりではない箱庭で生きてきたエルザにとって純粋こそが正義なのだ。
そんな箱庭から決してでることが叶わない日々に、突然登場した第五妃フェリシナ
王の妻に選ばれにるは到底足りない家柄
普通であれば王にお目通りできる機会等一切得られるはずはなかった
しかし、その奇跡のような機会を手にし、王を魅了したその美しさ
そして、高貴な貴族の女には決してない純真さ
それが他の妃たちと比較して、フェリシナをより一層輝かせた
純粋なフェリシナと愛に気づいたイスマエル
それこそ、エルザが長年焦がれた愛そのものに思えた
エルザはそんな2人を一番間近で見続けることで、自身が繰り返し想いを馳せた恋物語を読んでいるように思えた。
純粋な恋の物語
自身で夫すら選ぶことすらできないエルザの唯一自由な空想の中で何度も焦がれたような空間だった
エルザはそんな2人の物語を傍で見続けられればそれでよかった
決して邪魔をするつもりもない
始めはエルザにとっては退屈を消しさる娯楽のようなモノだった
しかし、いつの日か
エルザはその物語にエルザという存在が関わりたくなってしょうがなくなった
恋物語でよくあるように2人の恋敵として登場するつもりは毛頭ない
しかしフェリシナの親愛の友として関わるには、エルザの登場は遅すぎた
どんなに仲を深めても、どんなに距離が近づいても
外から見ればエルザとフェリシナは同じ男を夫に持つ恋敵同士なのだ。
エルザはたとえフェリシナがそう思わなくても、自分の第三妃としての自分が嫌でたまらくなった
今更、夫という存在なくした友達になることも敵わない
同じ男の妻として、純粋な家族のような存在となることも敵わなかった
だが、アディリナが生まれたその時
エルザはの中に1つ、光り輝く希望に気が付いてしまった
それは、フェリシナの娘のアディリナと自分の息子であるロドリクが結婚することにより、
エルザはフェリシナの家族として、そして義姉として、この物語に存在することができてしまうことにだ
それはエルザにとって望みがすべて叶うこと、そうとしか思えなかった
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