傲慢令嬢、冷徹悪魔にいつの間にか愛されて縛られてました

萩の椿

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二章 過去編

第50話

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 悔しい、今まで父親は自分の言う事を百パーセント信じてくれて、どんな時もかばっていてくれたのにいつの間にかそうじゃなくなっている。

廊下を歩きながら、ふつふつと怒りが湧き上がってくる。

「どうして、私が怒られないといけないのよ!」

玲子は握りしめた拳を壁へと打ち付けた。



一つ、父親に言えなかったことがある。

それは、辰美の態度の事だ。

この前の辰美はあからさまに変だった。

流石に自分で言うのは恥ずかしくて言い出せなかったけれど、いつも以上に距離が近くて。

目つきも何だか……、まるで自分を……。

「ぎゃー、気持ち悪い!」

玲子は叫び、頭を掻きまわした。

とにかく、今はもう考えるのはやめよう。嫌な事ばかりが頭に思い浮かんでくる。

玲子はお嬢様にはあるまじき蟹股で、階段を上り自室にこもった。




そしてまた、一週間が過ぎ、辰美はいつもの様に西園寺家本邸へと向かった。

恐る恐るドアを開けて中を覗くと、すでに玲子の姿があった。ギロリとこちらを睨みつけて、ちっと舌打ちまで聞こえてくる。

(おいおい、かりにも西園寺家のお嬢様なんだから)

心の中で苦笑しつつ、部屋に足を踏み入れる。

「おはよう、お嬢」

とりあえず、いつもの様に挨拶をしてみるが返答はない。かなり怒っているのだろう、この前の事を早く謝らなければと思い、手土産に買ってきたマカロンを渡そうとした時だった。

「ごめんなさい」
「え?」


聞こえてきた、謝罪の言葉に首を傾げる。

何故か玲子が謝ってきた。が、まるで人に謝る態度ではない。頬杖をついてこちらを睨みつけている。

これぞ、口先だけの謝罪というやつだ。

「お父様から、謝りなさいって言われてるの。だから、一応謝ってあげるけど、私は悪いなんてひとっつも思ってないから」

玲子は意地の悪い笑みを浮かべている。


なんて性格の悪い人なのだろうと、他の誰かならそう言うかもしれない。

けれど、辰美はむしろこういう傲慢な玲子の方がやりやすかった。
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