新撰組の想い人 ~幕末にタイムスリップしたオメガの行方~

萩の椿

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第39話

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 慧は沖田の手を掴み必死に拒む。ここは料理場で、春日の仕事場。

 こんな場所で如何わしい事をしたくない。

「邪魔くさい」

 沖田は、舌打ちをして慧の両手を片手でまとめ上げる。強い力を込められて握られているのか、痛みがひりひりと伝わってきた。

 抵抗らしい抵抗もできなくなり、ただ沖田の顔を見つめることしか出来ない。

 無表情、その表現が一番近いと思った。

 端麗な顔つきをしているけれど、温かみがなく、ぞっとするほど冷たい。

 何度か、無理やり抱かれて体を重ねたけれど、この人が何を考えているのか、わかったことなんて一度もない。

 何を考えて、自分を抱いているのだろう。

 今までならまだしも、オメガの香りがしなくなった今、沖田に自分を抱く理由はないはずだ。

「何を考えているんです?」

 遠くにやっていた意識が呼び戻される。見上げると、沖田と目が合う。

 慧のタイプではないけれど、沖田はかっこいい。女にもきっと苦労しないはずなのに。

 どうして、自分なんか……?

 沖田は、慧の首筋にかみつく。その痛みに顔をゆがめる暇もなく、次々と自分の跡を残していく。


首筋、胸、腹と、痕跡を残した後、最後に慧の欲望へと辿り着く。

「いやっ!」

 沖田は慧の欲望を口に含む。

 上半身を起こし抵抗するが、太ももを両手でがっしりと押さえつけられている。必死に沖田の頭を押し返しても、全く動かない。

「くっ……あっ」

 温かくねっとりとした沖田の口内に欲望を舐めあげられる。時々、舌先で鈴口をチロチロと舐められれば、そのむずがゆい刺激に腰がくねった。

 抗う事が出来なくなった慧は、せめて声を抑えようと必死に手で口を押える。

 頭がおかしくなってしまいそうだった。春日の持ち場でこんな事、とても正気ではいられない。

 それでも、沖田に巧みに舐めあげられれば、欲望は張り詰めてゆく。

「ああっ、もうっ」

 沖田の口内で吐き出すわけにもいかない。羞恥に顔を赤らめながらも、沖田を見やり、口を離してくれと懇願した目で見つめると、男は口角を上げて慧と視線を交わらせたまま、ひと際強く吸い上げた。

「だめっ……あっ……んん!」

 慧から吐き出された白濁を、沖田は飲み干した。快楽に浸る慧の顔をじっとりと眺めながら。


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