ペンダントライトのきらめき ―揺るぎない愛は氷の心を溶かす―

江藤 香琳

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1章

見知らぬ男

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(オイオイ、ウソだろ!?)

ノア•ラーションは、今までで一番後悔していた。

(ホテルの一室…… 隣で寝る男…… 俺、なにした)

これまでに、幾度となく知らない男と一晩過ごしてきた。

しかしながら、これほどまでに見知らぬ男と寝るに至った記憶がないことはあっただろうか。

そんな動揺とは裏腹に、隣で眠る男はやたら綺麗な寝顔で、すうすう夢の中のようだ。

反射的に、その男と距離を置きたくて飛び起きようとしたが、そいつを起こしてしまうことの方が危険と感じ、しばし隣で相手の顔をボーっと眺める。

 年は20歳後半だろうか、30歳くらいだろうか……

 (つやつやとした黒髪に、長いまつげ。鼻筋は通っていて、薄い唇で。 経験上、こんな男はウマいんだよな)

数多の女性たちにとって、お持ち帰りされてラッキー! と思うような、男なのは間違いない。

 幾度となく、素性もしれない男と、その場の勢いで寝てきたのにも関わらず、今回ばかりは動悸が収まらない。

(そして、今は何時だ……?)

よく見ると、カーテンの隙間から柔らかい日差しが漏れて きている。

 そんなこと思いながら、目を凝らして時計を眺めると、すでにお昼時である11時を回っていた。

(やっべ。デザイン事務所に行かなきゃ。こんなことしてる場合じゃねー!)

ノアは、ゆっくりと上体を起こし、ベッドから這い出る。

できるだけ音を出さないように、ゆっくりとした動作で、昨夜脱ぎ散らかした服に着替え始める。

めったに着ない紺のジャケットに袖を通しながら、ベッドで眠るその男を、振り返って眺める。

(一夜の過ちってやつに慣れっこだと思ってたのに、ひっさしぶりだな、こんな感情…… )


こんなことになったのは、昨夜のレセプションパーティーに遡る。
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