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第四部 二章 「潜む蛇」
「一発の銃弾」
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一人駆けていったイロハ。
視界には人気を避けようとするクロトの姿を捉える。
民家の屋根で広げていた黒翼をしまい、陰にへと身を潜めた。
「……うーん」
イロハは自身の魔銃をとりだし、難しそうな表情をとる。
何度も首を傾け、屋根の上で寝転び寝返りすらも……。
『行動が騒がしいぞ愚か者……。鬱陶しい』
ふと聞こえた声に、イロハは飛び起き周囲を何度も見渡す。
……が、直ぐに手を叩く。
「あっ。フレズベルグか。ビックリしたぁ」
『まあ、慣れには時間がかかるだろうが……、一々そう妙に驚くな』
声の主がわかれば、イロハは和む表情で嬉しそうに身を左右へ揺らす。
イロハの中では契約悪魔である【極彩巨鳥のフレズベルグ】が、不安と呆れで頭を抱える様。思わず重たいため息すら出てしまう。
イロハがフレズベルグとの肉体共有を知らされてのは、樹海を出る少し前のことだ。
冷静に物事を対処と、要領よくフレズベルグは周囲に知られぬよう行動を起こした。
最初にイロハに声をかけるということはリスクが高くも考えられたもの。タイミングを誤れば周囲から不審感をかい、最悪同行から外されるという恐れ。そのため慎重にイロハへ意思疎通。事の状況を時間をかけて理解させた。
なんせイロハに難しい話は通用しない。簡易的にまとめ、なんとか説明することに成功したフレズベルグは今でもその疲れが残っている。
そして、今でもイロハの様子は不安でしかない。
『お前のその愚かな反応は正直肝が冷える……。この状況はあまり公にはしたくないのでな』
「とりあえず、先輩たちにはこの事内緒ってこと……で、いいんだよね?」
『そういうことだ。……それより、何を悩んでいた?』
思い出した様子で、イロハは再び魔銃に目を向ける。
魔銃はイロハが少し手を加えると開いた。
中には玉を装填するためのシリンダーが備わっている。
それは……とても妙なものだ。
この魔銃に、弾など必要ないはず。
シリンダには、一発の銃弾が仕込まれている。
「……フレズベルグ」
『なんだ?』
「今の先輩は……危険なの?」
淡々と、イロハは不思議と問いかける。
フレズベルグの反応は、頷くという肯定だ。
クロトの現状をフレズベルグから聞かされている。状況からイロハ、そしてフレズベルグにとって、炎蛇を宿すクロトは目的の邪魔となる。
イロハとフレズベルグ。両者にとってクロトは危険視すべき存在にへとなっている。
「……そっか」
静かに納得した様子で、イロハは魔銃を閉じる。
『少し気になったのだが……、先ほどの弾はなんだ?』
本来必要でない実弾。それが密かに仕込まれていたという事実が気がかりで仕方ない。
イロハはフレズベルグに問われれば、隠すこともなく素直に言葉を返す。
「マスターがくれたの。もしもは使っていいって」
『あの魔女が……か。となると、ただの弾ではないな』
「うん。――だって、これ……」
風の流れの如く。イロハは流れるままにその弾についてフレズベルグに語った。
その後、フレズベルグはわずかに動揺したように言葉を詰まらせてしまう。
少しの間を開け、それが妥当なのだと…………彼は理解と納得を静かに噛みしめる。
◆
徐々に日が沈み赤く染まる空をエリーは眺める。
遠くの山に隠れていく太陽を眺めるのは久しく思え、しばらくは呆然としてしまった。
「……クロトさんとイロハさん、なかなか来られませんね」
宿の窓。三階の個室から外を眺めていたエリーは、ふと二人のことが心配になってしまう。
いつもなら直ぐに合流するはずなのだが、別れたきり二人はまだ宿に訪れていない。
ベッドに寝転がるネアは特に気にもしていない様子だ。
「ん~? いいんじゃないのぉ? 久しぶりの人里だし、お姉さんは別にエリーちゃんと二人っきりでも」
「でも、クロトさんって他の人が嫌いな人ですから……」
「あ~、わかる。アイツなんか馬鹿なことしてなきゃいいんだけど。せっかくちゃんとした場所で休めるのに、追い出されるの困るし」
「……」
そう言われれば、エリーは不安になって落ち着けない。
窓から離れ、真っ先に部屋の扉にへと向かう。
「私、ちょっと二人を探してきますっ」
急いで部屋を飛び出すエリー。ネアはそれを黙って見送るのみ。
階段をパタパタと降りる音が遠ざかり聞こえなくなる。その直後、それまで見せなかった真剣そうな顔をし、外を眺めつつ目を細めた。
「……さて。樹海を抜ける前から、妙に様子がおかしいわね。あの二人。この私に悟られないようにしてるみたいだけど、そこまで抜けてないんだから」
ネアは、クロトとイロハ、二人の異変に気づき始めていた。
これまで共に過ごしていたため、少しの変化にも敏感に感じ取れてしまう。
具体的に変化を最初に感じたのは、レイスの館からだ。
一晩過ごす際、クロトの余所余所しい態度。普段もそうなのだが、妙に距離をとろうとする傾向が見られる。
対象はエリーからだ。
それからしばらく静かに観察をしていれば、今度はイロハも不自然な仕草がわずかながら見て取れた。
樹海の途中から二人は少しばかり気がかりな点がある。わずかながらもそれが大きな事態の火種なら大問題だ。
「そして全然来ない。クロトはあからさまにエリーちゃんを避けてる。それも今までとは対応が少しばかり違う。ただ嫌ってるんじゃなくて……、近づきたくない感じ。もう一人はなんとか気付かれないように動いてるってとこね。……アイツ一人でそこまで器用な事、できるかしら? 私なら「できない」と断言できるわね。…………もしかしたら、今後はややこしいことが多くなるかもしれないわね。どうしようかしら……」
◆
一方その頃。噂の二人は面を向かい合わせていた。
一人村の中をうろうろしていたクロト。それに接触したのはイロハだった。
「……今度はなんだよ? それとも言いたいことでもまとまったのか?」
別れ際、イロハは何かを訴えたそうな目をしていた。
それを未だ覚えていたクロトは嫌々ながらも聞いてみる。
しばらくイロハは黙ったまま辺りをキョロキョロと、目を配らせてしまった。
鬱陶しいと苛立ちが高まる中、ようやくイロハはクロトに向き直り首を傾ける。
「先輩。――今、あの蛇といるの?」
唐突な真実に息を呑む。
今度はこちらがしばし黙ることになるも、事実を受け入れ「そうだ」と言い返す。
「だったら、何なんだよ……? そう言うお前は、あの鳥野郎にでも聞いたんだろ?」
「うん。フレズベルグが教えてくれた」
「で? それでソイツの話を鵜呑みにして、お前も俺が邪魔ってか? 言われなきゃお前はろくに行動できないからな。……あの鳥にでも言われて今度はお前が言いに来たと。言っとくが、他人に言われて動くなんざ俺は簡単にしないからな?」
イロハは自身で物事を考え行動することが苦手だ。
今はフレズベルグに言われるがまま行動しているにすぎない。そうクロトは思っていた。
だが、イロハはそうでないと、首を横に振る。
「フレズベルグのもそうだけど、その前に言われてる事があったから」
「……その前?」
「うん。――マスターから」
ここでまさかの魔女の関与に、クロトは表情をひきつらせ驚きを隠し切れない。
まるでこの事態すら想定の範囲内だったとでも言わんばかりの行動。この事態に魔女は何をイロハに言い聞かせていたのか。
動揺する様子すら気にも留めず、イロハは懐から一発の銃弾を取り出しクロトに見せる。
「これ、マスターに渡されたやつ」
「……なんでそんなもん。っていうか、何だよその弾は!」
魔女がイロハに渡した物だ。ただの銃弾でないことは確か。
しばらく前。イロハはフレズベルグに話した時と同様に、淡々とその弾について語り出す。
「――不死殺しの弾」
「……っ!? はぁ!?」
「たぶん、先輩にある呪いと……同じだと思う。詳しくは覚えてないから」
「覚えてろよ! ふざけんじゃねぇぞお前!!」
イロハに怒鳴るも、クロトが最もこの言葉を言いたいのは魔女にだ。
イロハと会った頃から思っていたが、魔女は簡単にクロトを切り捨てれる様子でいる。
不本意な役目を押しつけたわりにはこの扱い。普段から好意を持つ言葉ばかりを並べていたが、それに反して容易な判断に憎悪が増す。
わかっていた。魔女はいいように自分を利用しているのだと。ずっとわかっていた。
今すぐその弾を奪えば……。しかし、失敗すれば……。
「ボクは先輩の事嫌いじゃないよ? でも、先輩は今危ないから……。ボクはこれ先輩には使いたくない……かも」
「ならその弾をよこせっ。処分する」
「それは困るよ。マスターに怒られたくない。……これはもしも先輩が危険だと思ったら、マスターが使っていいって言ったから」
イロハは魔女の命令には絶対だ。無理に奪おうとすれば、それは魔女にっても叛逆として始末の対象にあたる。
呪いで終わるのではなく、同様の効果を持つ弾で撃ち抜かれ終わるか。
そして、そこからは以前と似た言葉を告げられる。
「ごめんね先輩。でも、しかたない……よね? だってあの蛇は危険だから……。姫ちゃんが死んじゃうと、ボクも困るし……」
「……っ」
「怒んないでよ。……だから、考えといて?」
申し訳なさそうに、イロハは翼を広げその場から飛び立つ。
言い返すことすらできぬまま。クロトはただ奥歯を噛みしめ、ただ一人その場にたたずむ。
視界には人気を避けようとするクロトの姿を捉える。
民家の屋根で広げていた黒翼をしまい、陰にへと身を潜めた。
「……うーん」
イロハは自身の魔銃をとりだし、難しそうな表情をとる。
何度も首を傾け、屋根の上で寝転び寝返りすらも……。
『行動が騒がしいぞ愚か者……。鬱陶しい』
ふと聞こえた声に、イロハは飛び起き周囲を何度も見渡す。
……が、直ぐに手を叩く。
「あっ。フレズベルグか。ビックリしたぁ」
『まあ、慣れには時間がかかるだろうが……、一々そう妙に驚くな』
声の主がわかれば、イロハは和む表情で嬉しそうに身を左右へ揺らす。
イロハの中では契約悪魔である【極彩巨鳥のフレズベルグ】が、不安と呆れで頭を抱える様。思わず重たいため息すら出てしまう。
イロハがフレズベルグとの肉体共有を知らされてのは、樹海を出る少し前のことだ。
冷静に物事を対処と、要領よくフレズベルグは周囲に知られぬよう行動を起こした。
最初にイロハに声をかけるということはリスクが高くも考えられたもの。タイミングを誤れば周囲から不審感をかい、最悪同行から外されるという恐れ。そのため慎重にイロハへ意思疎通。事の状況を時間をかけて理解させた。
なんせイロハに難しい話は通用しない。簡易的にまとめ、なんとか説明することに成功したフレズベルグは今でもその疲れが残っている。
そして、今でもイロハの様子は不安でしかない。
『お前のその愚かな反応は正直肝が冷える……。この状況はあまり公にはしたくないのでな』
「とりあえず、先輩たちにはこの事内緒ってこと……で、いいんだよね?」
『そういうことだ。……それより、何を悩んでいた?』
思い出した様子で、イロハは再び魔銃に目を向ける。
魔銃はイロハが少し手を加えると開いた。
中には玉を装填するためのシリンダーが備わっている。
それは……とても妙なものだ。
この魔銃に、弾など必要ないはず。
シリンダには、一発の銃弾が仕込まれている。
「……フレズベルグ」
『なんだ?』
「今の先輩は……危険なの?」
淡々と、イロハは不思議と問いかける。
フレズベルグの反応は、頷くという肯定だ。
クロトの現状をフレズベルグから聞かされている。状況からイロハ、そしてフレズベルグにとって、炎蛇を宿すクロトは目的の邪魔となる。
イロハとフレズベルグ。両者にとってクロトは危険視すべき存在にへとなっている。
「……そっか」
静かに納得した様子で、イロハは魔銃を閉じる。
『少し気になったのだが……、先ほどの弾はなんだ?』
本来必要でない実弾。それが密かに仕込まれていたという事実が気がかりで仕方ない。
イロハはフレズベルグに問われれば、隠すこともなく素直に言葉を返す。
「マスターがくれたの。もしもは使っていいって」
『あの魔女が……か。となると、ただの弾ではないな』
「うん。――だって、これ……」
風の流れの如く。イロハは流れるままにその弾についてフレズベルグに語った。
その後、フレズベルグはわずかに動揺したように言葉を詰まらせてしまう。
少しの間を開け、それが妥当なのだと…………彼は理解と納得を静かに噛みしめる。
◆
徐々に日が沈み赤く染まる空をエリーは眺める。
遠くの山に隠れていく太陽を眺めるのは久しく思え、しばらくは呆然としてしまった。
「……クロトさんとイロハさん、なかなか来られませんね」
宿の窓。三階の個室から外を眺めていたエリーは、ふと二人のことが心配になってしまう。
いつもなら直ぐに合流するはずなのだが、別れたきり二人はまだ宿に訪れていない。
ベッドに寝転がるネアは特に気にもしていない様子だ。
「ん~? いいんじゃないのぉ? 久しぶりの人里だし、お姉さんは別にエリーちゃんと二人っきりでも」
「でも、クロトさんって他の人が嫌いな人ですから……」
「あ~、わかる。アイツなんか馬鹿なことしてなきゃいいんだけど。せっかくちゃんとした場所で休めるのに、追い出されるの困るし」
「……」
そう言われれば、エリーは不安になって落ち着けない。
窓から離れ、真っ先に部屋の扉にへと向かう。
「私、ちょっと二人を探してきますっ」
急いで部屋を飛び出すエリー。ネアはそれを黙って見送るのみ。
階段をパタパタと降りる音が遠ざかり聞こえなくなる。その直後、それまで見せなかった真剣そうな顔をし、外を眺めつつ目を細めた。
「……さて。樹海を抜ける前から、妙に様子がおかしいわね。あの二人。この私に悟られないようにしてるみたいだけど、そこまで抜けてないんだから」
ネアは、クロトとイロハ、二人の異変に気づき始めていた。
これまで共に過ごしていたため、少しの変化にも敏感に感じ取れてしまう。
具体的に変化を最初に感じたのは、レイスの館からだ。
一晩過ごす際、クロトの余所余所しい態度。普段もそうなのだが、妙に距離をとろうとする傾向が見られる。
対象はエリーからだ。
それからしばらく静かに観察をしていれば、今度はイロハも不自然な仕草がわずかながら見て取れた。
樹海の途中から二人は少しばかり気がかりな点がある。わずかながらもそれが大きな事態の火種なら大問題だ。
「そして全然来ない。クロトはあからさまにエリーちゃんを避けてる。それも今までとは対応が少しばかり違う。ただ嫌ってるんじゃなくて……、近づきたくない感じ。もう一人はなんとか気付かれないように動いてるってとこね。……アイツ一人でそこまで器用な事、できるかしら? 私なら「できない」と断言できるわね。…………もしかしたら、今後はややこしいことが多くなるかもしれないわね。どうしようかしら……」
◆
一方その頃。噂の二人は面を向かい合わせていた。
一人村の中をうろうろしていたクロト。それに接触したのはイロハだった。
「……今度はなんだよ? それとも言いたいことでもまとまったのか?」
別れ際、イロハは何かを訴えたそうな目をしていた。
それを未だ覚えていたクロトは嫌々ながらも聞いてみる。
しばらくイロハは黙ったまま辺りをキョロキョロと、目を配らせてしまった。
鬱陶しいと苛立ちが高まる中、ようやくイロハはクロトに向き直り首を傾ける。
「先輩。――今、あの蛇といるの?」
唐突な真実に息を呑む。
今度はこちらがしばし黙ることになるも、事実を受け入れ「そうだ」と言い返す。
「だったら、何なんだよ……? そう言うお前は、あの鳥野郎にでも聞いたんだろ?」
「うん。フレズベルグが教えてくれた」
「で? それでソイツの話を鵜呑みにして、お前も俺が邪魔ってか? 言われなきゃお前はろくに行動できないからな。……あの鳥にでも言われて今度はお前が言いに来たと。言っとくが、他人に言われて動くなんざ俺は簡単にしないからな?」
イロハは自身で物事を考え行動することが苦手だ。
今はフレズベルグに言われるがまま行動しているにすぎない。そうクロトは思っていた。
だが、イロハはそうでないと、首を横に振る。
「フレズベルグのもそうだけど、その前に言われてる事があったから」
「……その前?」
「うん。――マスターから」
ここでまさかの魔女の関与に、クロトは表情をひきつらせ驚きを隠し切れない。
まるでこの事態すら想定の範囲内だったとでも言わんばかりの行動。この事態に魔女は何をイロハに言い聞かせていたのか。
動揺する様子すら気にも留めず、イロハは懐から一発の銃弾を取り出しクロトに見せる。
「これ、マスターに渡されたやつ」
「……なんでそんなもん。っていうか、何だよその弾は!」
魔女がイロハに渡した物だ。ただの銃弾でないことは確か。
しばらく前。イロハはフレズベルグに話した時と同様に、淡々とその弾について語り出す。
「――不死殺しの弾」
「……っ!? はぁ!?」
「たぶん、先輩にある呪いと……同じだと思う。詳しくは覚えてないから」
「覚えてろよ! ふざけんじゃねぇぞお前!!」
イロハに怒鳴るも、クロトが最もこの言葉を言いたいのは魔女にだ。
イロハと会った頃から思っていたが、魔女は簡単にクロトを切り捨てれる様子でいる。
不本意な役目を押しつけたわりにはこの扱い。普段から好意を持つ言葉ばかりを並べていたが、それに反して容易な判断に憎悪が増す。
わかっていた。魔女はいいように自分を利用しているのだと。ずっとわかっていた。
今すぐその弾を奪えば……。しかし、失敗すれば……。
「ボクは先輩の事嫌いじゃないよ? でも、先輩は今危ないから……。ボクはこれ先輩には使いたくない……かも」
「ならその弾をよこせっ。処分する」
「それは困るよ。マスターに怒られたくない。……これはもしも先輩が危険だと思ったら、マスターが使っていいって言ったから」
イロハは魔女の命令には絶対だ。無理に奪おうとすれば、それは魔女にっても叛逆として始末の対象にあたる。
呪いで終わるのではなく、同様の効果を持つ弾で撃ち抜かれ終わるか。
そして、そこからは以前と似た言葉を告げられる。
「ごめんね先輩。でも、しかたない……よね? だってあの蛇は危険だから……。姫ちゃんが死んじゃうと、ボクも困るし……」
「……っ」
「怒んないでよ。……だから、考えといて?」
申し訳なさそうに、イロハは翼を広げその場から飛び立つ。
言い返すことすらできぬまま。クロトはただ奥歯を噛みしめ、ただ一人その場にたたずむ。
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