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第一章 和風カフェあじさい堂
7. あじさい堂ってどんなお店?
着物は結局、アルバイトの子用のポリエステルの簡易着物とエプロンがあるということでそれを借りることにした。
藍色に紫陽花の模様のプリントされたそれは軽くて、肌触りも良くて、母が着付けてくれた絽の着物よりも格段に動きやすかった。
祖母は話がまとまったと見るや、
「じゃあうちは昼からお客さんがあるよって」
と言い置いてさっさと帰ってしまった。
「えーっと、じゃあ悠花さんにはフロアの方をお願いしようと思うんだけどいいかな?」
「はい。それはいいんですけど、そもそもこちらってどういったお店なんですか?」
「そっか。まずはそこからか」
奏輔は、簡単に店について説明してくれた。
ここ「あじさい堂」はもともとは奏輔の祖父が営む和菓子店だったのだそうだ。
祖父が亡くなったあと、店舗兼住居だったこの建物も売却しようという話が出た。
そこを和食の調理師専門学校を出て、京都の和風ダイニングで働いていた奏輔が相続するといった形でこの店をオープンしたのだそうだ。
「一応、『和風カフェ』とは言ってるけど、要は『和菓子の食える定食屋』って感じだなー」
「え? 奏輔さん。ご飯ものだけでなくて和菓子も作れるんですか?」
「うん。一応な。基礎は専門時代に少し勉強して、その頃はじいちゃんもまだ元気だったから休みの日とかに店手伝いながら教えてもらったりして。
あとはじいちゃんの残したレシピっていうか、メモみたいなノートみながら独学、みたいな」
「へえ~。すごい」
悠花は素直に感心した。
「あれこれ説明するより、とりあえずメニューみて貰った方が分かりやすいかも」
「あ、そうですね」
奏輔に渡された黒い表紙のメニュー表をパラパラとめくってみる。
最初のページに、表の黒板にも書いてあった今日のランチ。
どうやら、「定食」と「パスタ」と「ワンプレートランチ」から選べるらしい。
どれを選んでも、スープとサラダとワンドリンクがつく。
プラス280円でデザートもつけられるらしい。
本日の定食は「アジの南蛮漬け定食」
パスタは、「揚げ茄子とベーコンの和風おろしパスタ」
ワンプレートランチは、「炙りサーモンとアボカド丼」
丼ものはワンプレートランチに含まれるらしい。
どれもとても美味しそうだ。
「あ。でも今日はランチお休みだって」
「そう。ちょっと昼に入って貰う予定のバイトが昨日急にやめて。 沢野さんが今日は夕方しか入れん日だったし、フロアなしで一人でまわすのさすがにきついと思って今日はなしにした」
「なるほど……」
辞めたアルバイトの人については、つっこんできかない方がいいだろう。
「えーと、ランチがないってことは……」
ファイルをめくっていくと、丼ものやパスタなどの単品メニューのページが現れた。
「夜は、このセットメニューがメインだな。A、B、Cと三種類あって値段がちがう。
一番安いAセットは、メイン一品に汁物と小鉢。
Bセットは、それにプラスでサラダがつく。
CセットはBにプラスしてデザート付き。
どのセットを選んでも食後にワンドリンクがつく」
「へえ~。お得ですね」
それにこのシステムならその日のメイン、小鉢を作り置きしておいてオーダーに合わせて盛り付けて出せばいいから、少人数のスタッフでも比較的無理なくお店をまわすことができる。
「夜は17:30から21時まで。ラストオーダーは20時30分。 まあ、そのあたりはこんな個人の店なんで常連さんに頼まれたら臨機応変にしてる。 今のところ酒は出してないから酔客は来ないから安心してや」
それは確かにありがたいかもしれない。
夜はセットの他に、丼ものやパスタなどの単品メニューも日替わりで出しているようだった。
普通の定食屋と違うのは、デザートメニュー、ドリンクの種類が豊富なことだ。
たとえば今日の食後のデザートは、抹茶のチーズケーキ、和三盆ブリュレ、栗のモンブランの三種類から選べる。
ドリンクメニューの欄には、基本のコーヒー、紅茶、カフェオレ、緑茶などの他に抹茶ラテ、ほうじ茶ラテ、豆乳ラテ、黒豆きなこラテ、生姜ミルクティー、ゆず茶などがずらりと並んでいる。
ランチタイムも夜も、食事なしのお茶、デザートだけのオーダーもOKらしい。
お客の立場からすると色々選べるのは嬉しいけど、提供する側からすると結構大変かもしれない。
藍色に紫陽花の模様のプリントされたそれは軽くて、肌触りも良くて、母が着付けてくれた絽の着物よりも格段に動きやすかった。
祖母は話がまとまったと見るや、
「じゃあうちは昼からお客さんがあるよって」
と言い置いてさっさと帰ってしまった。
「えーっと、じゃあ悠花さんにはフロアの方をお願いしようと思うんだけどいいかな?」
「はい。それはいいんですけど、そもそもこちらってどういったお店なんですか?」
「そっか。まずはそこからか」
奏輔は、簡単に店について説明してくれた。
ここ「あじさい堂」はもともとは奏輔の祖父が営む和菓子店だったのだそうだ。
祖父が亡くなったあと、店舗兼住居だったこの建物も売却しようという話が出た。
そこを和食の調理師専門学校を出て、京都の和風ダイニングで働いていた奏輔が相続するといった形でこの店をオープンしたのだそうだ。
「一応、『和風カフェ』とは言ってるけど、要は『和菓子の食える定食屋』って感じだなー」
「え? 奏輔さん。ご飯ものだけでなくて和菓子も作れるんですか?」
「うん。一応な。基礎は専門時代に少し勉強して、その頃はじいちゃんもまだ元気だったから休みの日とかに店手伝いながら教えてもらったりして。
あとはじいちゃんの残したレシピっていうか、メモみたいなノートみながら独学、みたいな」
「へえ~。すごい」
悠花は素直に感心した。
「あれこれ説明するより、とりあえずメニューみて貰った方が分かりやすいかも」
「あ、そうですね」
奏輔に渡された黒い表紙のメニュー表をパラパラとめくってみる。
最初のページに、表の黒板にも書いてあった今日のランチ。
どうやら、「定食」と「パスタ」と「ワンプレートランチ」から選べるらしい。
どれを選んでも、スープとサラダとワンドリンクがつく。
プラス280円でデザートもつけられるらしい。
本日の定食は「アジの南蛮漬け定食」
パスタは、「揚げ茄子とベーコンの和風おろしパスタ」
ワンプレートランチは、「炙りサーモンとアボカド丼」
丼ものはワンプレートランチに含まれるらしい。
どれもとても美味しそうだ。
「あ。でも今日はランチお休みだって」
「そう。ちょっと昼に入って貰う予定のバイトが昨日急にやめて。 沢野さんが今日は夕方しか入れん日だったし、フロアなしで一人でまわすのさすがにきついと思って今日はなしにした」
「なるほど……」
辞めたアルバイトの人については、つっこんできかない方がいいだろう。
「えーと、ランチがないってことは……」
ファイルをめくっていくと、丼ものやパスタなどの単品メニューのページが現れた。
「夜は、このセットメニューがメインだな。A、B、Cと三種類あって値段がちがう。
一番安いAセットは、メイン一品に汁物と小鉢。
Bセットは、それにプラスでサラダがつく。
CセットはBにプラスしてデザート付き。
どのセットを選んでも食後にワンドリンクがつく」
「へえ~。お得ですね」
それにこのシステムならその日のメイン、小鉢を作り置きしておいてオーダーに合わせて盛り付けて出せばいいから、少人数のスタッフでも比較的無理なくお店をまわすことができる。
「夜は17:30から21時まで。ラストオーダーは20時30分。 まあ、そのあたりはこんな個人の店なんで常連さんに頼まれたら臨機応変にしてる。 今のところ酒は出してないから酔客は来ないから安心してや」
それは確かにありがたいかもしれない。
夜はセットの他に、丼ものやパスタなどの単品メニューも日替わりで出しているようだった。
普通の定食屋と違うのは、デザートメニュー、ドリンクの種類が豊富なことだ。
たとえば今日の食後のデザートは、抹茶のチーズケーキ、和三盆ブリュレ、栗のモンブランの三種類から選べる。
ドリンクメニューの欄には、基本のコーヒー、紅茶、カフェオレ、緑茶などの他に抹茶ラテ、ほうじ茶ラテ、豆乳ラテ、黒豆きなこラテ、生姜ミルクティー、ゆず茶などがずらりと並んでいる。
ランチタイムも夜も、食事なしのお茶、デザートだけのオーダーもOKらしい。
お客の立場からすると色々選べるのは嬉しいけど、提供する側からすると結構大変かもしれない。
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