マシュマロ系令嬢は悪役令嬢にはなれない

きみいち

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婚約者とマシュマロ系令嬢

5.

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「マリアベル、すまないっ!」

 慌ててマリアベルの顔にかかってしまった己の精液をシャツの裾でぬぐう。
 きょとんとしていたマリアベルは、シモンに視線を合わせるとにっこり笑った。

「お祈りをした甲斐がございました」
「お祈り……?」

 シモンは首をかしげた。
 なにか祈りを捧げられるようなことがあっただろうか?

「リリーティアさんが言っていたのです」
「……なにを言われた? もしなにか、ひどいことを言われたのなら……」
「いいえ」

 マリアベルは、にこにこしながら首を振る。

「リリーティアさんはなかなか博識なんですのよ。なぜか、シモン様が熱くたぎるものをお持ちだと、知っていらっしゃったのです。わたしは今日、それを目の当たりにして感動いたしました!」
「なにを……?」
「シモン様のです!」

 きらきらした笑顔でマリアベルが手のひらで示したのは、吐精して今はしょんぼりしてしまったシモンの逸物である。

「あんなに荒ぶっていましたのに、不思議なものですわね。これもお祈りをしたおかげでしょうか?」

 かあっと全身に熱があがった。
 べつに出したくて出したんじゃない。マリアベルが、おっぱい揉む? なんて可愛らしいことを言うから、つい興奮して――っ!!!

「あ、ああ、見事だ、マリアベル。たいしたものだ」
「ありがとうございます」

 マリアベルがうふふ、とはにかむように微笑んだ。

「シモン様が荒ぶった際には、いつでも鎮めてさしあげますね」
「た、たのもしいな」
「はい! シモン様のであるわたしのつとめです!」

 ――オレを萌え殺す気か――っ!!?

 ふんす、と気合いを入れるマリアベルの姿が尊すぎて、シモンは顔面を両手でおおった。
 
 ゲームの中のマリアベル・オーランシュといえば、いつもさみしそうにうつむいていたのを思い出す。

 シモン・モンテイエがみっともない姿を見せるな、と言ったから、なるべくシモンの視界に入らないよう離れた場所で、シモン・モンテイエとリリーティア・リクールのふたりを見ていた。

「シモン様、どうされたのですか?」

 首をかしげるマリアベルをぎゅっと抱きしめると、甘い香りがした。
 ふわふわでやわらかくて、シモンのことを一途に思ってくれる心やさしい婚約者。

「マリアベル……ベル、あなたは私が幸せにするよ」

 腕の中でマリアベルが身じろぎしたので、少しだけ腕の力を抜いてやれば、ひとつぶんだけ離れたマリアベルがシモンを見上げる。

 秋の麦穂を思わせる黄金色が細められた。

「わたしは幸せですよ?」
「もっと幸せにしたいんだ」
「シモン様は、本当にお優しいのですね」

 政略なのに、こんなに思ってもらえるなんて思いませんでした。

 シモンの胸のあたりで、マリアベルがぽつりとつぶやいた。

「政略ではない。ちゃんと数ある釣書の中から、私があなたを選んだんだ。その、結婚したい、と思ったから……」
「まあ、そうだったのですか」
「だから、あなたは愛されているのだと、もっと自信を持っていい」
「はい!」

 マリアベルはとびっきりの笑顔でうなずくと、シモンの背中に腕を回した。

 むにゅっとしたふわふわでやわらかい感触が、シャツ越しに感じられる。
 せっかくいい感じにまとめたのに、ふたたび中心に熱が集まるのを感じたシモンは心を無にした。

 ――うん、この感触はマシュマロというよりは、つきたての餅だな。餅、ずっと食べてないな。どこかに餅米はないかな。

「あら?」

 シモンはぎくりと身体をこわばらせた。

「シモン様、いけません。また荒ぶってきましたよ」

 マリアベルが、おもむろにシモンの中心を撫で始めた。
 さっきはシモンの言われるままに手を動かしていたようだけれど、今度は明確な意思を持って動かしている。

 これでは、さっきよりも早くイってしまう!

「ベル、もういいんだ。自分でやれるからっ……うっ!!」
「もう、シモン様! 暴れると触れませんよ。えいやぁっ!」

 ぽかーんである。
 マリアベルよりも身長が高いはずのシモンがころりとベッドに転がされた。

 目を白黒させていると、マリアベルが足を開いてシモンの上に乗り上げてきた。

「見えっ!? ちょ、ベル!?」
「シモン様が動かないように重し代わりですよ。では、あらためて」
「ちょ、見えてるよ! はしたないからその恰好はやめなさい!! ベル、聞いて!! ちょ、ベルさん、聞いてる――っ!!?」

 あ――っ!!
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