マシュマロ系令嬢は悪役令嬢にはなれない

きみいち

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婚約者とマシュマロ系令嬢

6.

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 だいぶ遅くに帰って来たマリアベルの侍女の視線に、殺意を感じたのはシモンの気のせいではない。

 これはしばらくマリアベルの部屋ではイチャイチャ出来ないなあ、と侍女にかいがいしく世話をされているマリアベルをぼんやり見つめると、はにかみ顔で小さく手を振ってもらえたので、まあ、いいか、と思った。

 婚約者が幸せであるなら、シモンはそれでいいのだ。たぶん。



 男子寮へと帰る道すがら、後ろを歩いていたはずの侍従がシモンに並んだ。
 主従関係にあるけれど、シモンは近しい者であれば、礼儀などにはさほどこだわらない。

「シモン様、どうでした?」
「……揉めた」
「え、揉んだだけ?」
「……うるさい」

 ヘタレ、と聞こえたけれど無言を貫く。

「あーあ、若きシモン様がお悩みだから、エマさんの足止め頑張ったのになあ……」
「なにか手当は考えておくから」
「ほんとですか? 絶対ですよ?」
「だから、次の機会もあったらよろしく頼む」
「承知しました!」

 ――あー、あとの問題はリリーティア・リクールだな……。

 眉間をもみほぐしながら、シモンは深いため息を吐いたのであった。
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