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婚約者はマシュマロ系令嬢の夢を見るか
3.
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マリアベルが菓子店の箱を持ってほくほくしている。
かわゆい。
「もういいのか?」
「はい、じゅうぶんです。シモン様、ありがとうございました」
どの菓子店もマリアベルの好みに合ったようで、シモンとしてもリサーチした甲斐があったというものだ。
「では、カフェに行こう」
「はい!」
王都でも人気のカフェは、ティータイムの時間も重なって、大通りのほうにまで列を成していた。
事前に予約をしておいたので、列を整理している案内係に名を告げると、すぐに老齢の給仕がやって来る。
「モンテイエ様、お待ちしておりました」
「ああ、世話になる」
給仕がシモンたちを中庭が見える静かな予約席へと案内する。侍女とハンスは、ちょっと離れた席へと案内されたようだ。
マリアベルとようやくふたりきりだ。
シモンはホッとした。
「ここのカフェは、スフレパンケーキが有名だそうだ」
メニューを開いて見せると、マリアベルの瞳が輝いた。
うーん、と言って悩む姿も愛らしくて、シモンの頬がゆるんでしまう。
「わたし、このティラミスパンケーキにいたします!」
「では、私はリコッタのほうにしよう。そうだ。食べ比べをしてみようか?」
「よいのですか?」
ひとつの食べ物を分け合うなど、あまりほめられたことではないけれど、マリアベルがどちらにしようか迷っている様子はしっかり見ている。
「ああ、こちらの味も知りたいだろう?」
「ありがとうございます」
注文をし、給仕が下がるのを見届けたマリアベルが、うふふ、と笑った。
「どうした?」
「久しぶりにシモン様とごいっしょ出来たので、嬉しくってつい」
「そうか」
婚約者がなんだか可愛いことを言っている。
そういえば、これ生まれて初めてのデートなんだよな、と気付いたら急に緊張してきた。
シモンは先に給仕されたコーヒーで喉の乾きを潤す。
「ところで、シモン様……」
「ん?」
マリアベルがなにやらもじもじとし始めた。
不浄か? それなら付き添いに侍女を呼んでやったほうがいいだろう。
「シモン様の荒ぶる逸物は、その後いかがですか?」
「ふぁっ!?」
うっかり大きな声を出してしまったシモンに、店内から好奇の視線が注がれた。
恥ずかしいけれどもそれどころじゃない。
――その後いかがですか?
「き、気にしてくれていたのか?」
「他ならぬシモン様のお身体のことですもの」
マリアベルは赤くなった頬を両手で押さえている。
「あの、もし、お望みであれば、またお鎮めいたしますので」
ガタ、と椅子を鳴らして立ち上がった。
――お、お鎮めいたします、だと!!?
これはマリアベルのほうからのお誘いで間違いない。
シモンは首をかしげるマリアベルに、不浄に行って来ると告げて侍従のハンスを手招いた。
いぶかしげな視線を向ける侍女は今はどうでもいい。
シモンから誘ったんじゃないからね!? ここ重要。
人の来ない通路でハンスと額を突き合わせる。
「どうにかふたりきりになる方法はないものか」
「そうですね。いいタイミングで、4時間弱のオペラの公演がありますね。それにエマさんを誘いましょう」
「4時間弱か」
「足りませんか?」
「やったことがないからわからん……」
ハンスに呆れたような目で見られた。
「きっかり4時間で終わらせてください。それ以上は無理です」
終わらせるって、作業のように言うな。
不満げなシモンに対し、侍従は恐ろしそうに身体を震わせた。
「エマさんの足止めするのは、命がけなんですからね」
「あ、なんかすまん」
席に戻ると、ちょうど給仕がテーブルにパンケーキを並べていたところだった。
「シモン様、とっても美味しそうですよ」
「ああ。では、いただこうか」
「はい!」
今はふわふわのパンケーキよりも、ふかふかのマリアベルだ。
一大イベントをあとに控え、念願のあーん、などもしてもらったけれど、味なんてまったくしなかった。
マリアベルが菓子店の箱を持ってほくほくしている。
かわゆい。
「もういいのか?」
「はい、じゅうぶんです。シモン様、ありがとうございました」
どの菓子店もマリアベルの好みに合ったようで、シモンとしてもリサーチした甲斐があったというものだ。
「では、カフェに行こう」
「はい!」
王都でも人気のカフェは、ティータイムの時間も重なって、大通りのほうにまで列を成していた。
事前に予約をしておいたので、列を整理している案内係に名を告げると、すぐに老齢の給仕がやって来る。
「モンテイエ様、お待ちしておりました」
「ああ、世話になる」
給仕がシモンたちを中庭が見える静かな予約席へと案内する。侍女とハンスは、ちょっと離れた席へと案内されたようだ。
マリアベルとようやくふたりきりだ。
シモンはホッとした。
「ここのカフェは、スフレパンケーキが有名だそうだ」
メニューを開いて見せると、マリアベルの瞳が輝いた。
うーん、と言って悩む姿も愛らしくて、シモンの頬がゆるんでしまう。
「わたし、このティラミスパンケーキにいたします!」
「では、私はリコッタのほうにしよう。そうだ。食べ比べをしてみようか?」
「よいのですか?」
ひとつの食べ物を分け合うなど、あまりほめられたことではないけれど、マリアベルがどちらにしようか迷っている様子はしっかり見ている。
「ああ、こちらの味も知りたいだろう?」
「ありがとうございます」
注文をし、給仕が下がるのを見届けたマリアベルが、うふふ、と笑った。
「どうした?」
「久しぶりにシモン様とごいっしょ出来たので、嬉しくってつい」
「そうか」
婚約者がなんだか可愛いことを言っている。
そういえば、これ生まれて初めてのデートなんだよな、と気付いたら急に緊張してきた。
シモンは先に給仕されたコーヒーで喉の乾きを潤す。
「ところで、シモン様……」
「ん?」
マリアベルがなにやらもじもじとし始めた。
不浄か? それなら付き添いに侍女を呼んでやったほうがいいだろう。
「シモン様の荒ぶる逸物は、その後いかがですか?」
「ふぁっ!?」
うっかり大きな声を出してしまったシモンに、店内から好奇の視線が注がれた。
恥ずかしいけれどもそれどころじゃない。
――その後いかがですか?
「き、気にしてくれていたのか?」
「他ならぬシモン様のお身体のことですもの」
マリアベルは赤くなった頬を両手で押さえている。
「あの、もし、お望みであれば、またお鎮めいたしますので」
ガタ、と椅子を鳴らして立ち上がった。
――お、お鎮めいたします、だと!!?
これはマリアベルのほうからのお誘いで間違いない。
シモンは首をかしげるマリアベルに、不浄に行って来ると告げて侍従のハンスを手招いた。
いぶかしげな視線を向ける侍女は今はどうでもいい。
シモンから誘ったんじゃないからね!? ここ重要。
人の来ない通路でハンスと額を突き合わせる。
「どうにかふたりきりになる方法はないものか」
「そうですね。いいタイミングで、4時間弱のオペラの公演がありますね。それにエマさんを誘いましょう」
「4時間弱か」
「足りませんか?」
「やったことがないからわからん……」
ハンスに呆れたような目で見られた。
「きっかり4時間で終わらせてください。それ以上は無理です」
終わらせるって、作業のように言うな。
不満げなシモンに対し、侍従は恐ろしそうに身体を震わせた。
「エマさんの足止めするのは、命がけなんですからね」
「あ、なんかすまん」
席に戻ると、ちょうど給仕がテーブルにパンケーキを並べていたところだった。
「シモン様、とっても美味しそうですよ」
「ああ。では、いただこうか」
「はい!」
今はふわふわのパンケーキよりも、ふかふかのマリアベルだ。
一大イベントをあとに控え、念願のあーん、などもしてもらったけれど、味なんてまったくしなかった。
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