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マシュマロ系令嬢と第1の悪役令嬢
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フィオーラが細い顎をくいっと窓の外へと向ける。
見下ろせばバルサスが、リリーティアにハンカチを貸しているところであった。仮にも貴族令嬢が鼻から血を垂れ流している姿は、見るに堪えなかったのだろう。
「ほら、浮気でしょう?」
「いえ。あの程度なら、浮気には含まれてはいないと思いますけど」
フィオーラの浮気判定が厳しすぎて、バルサスが気の毒になってきた。
というか、相手は美少女だけれども貴族令嬢としては残念なリリーティアである。常識のある貴族令息であれば、まずは相手にしないだろう。
「マリアベルさん、グスタフに肩入れし過ぎじゃありません?」
――アチチッ! こっちに飛び火してきたわ。
マリアベルは首を振った。
「バルサス様とはお会いしたことも、お話したこともございませんわ。それにわたしには婚約者がおりますし」
フィオーラが深い蒼の瞳を瞬かせた。
「あらっ、そうでしたわね。ごめんなさい、マリアベルさん」
「謝罪を受け入れますわ」
気が強そうな顔立ちをしているのに、フィオーラは根は素直らしい。すぐに非を認め、謝るところは好感が持てる。
「マリアベルさんのご婚約者は、たしかモンテイエ様でしたわね?」
「ええ」
「モンテイエ様って、どうなのかしら?」
「どう、とは?」
「お優しいのかしら?」
『氷の貴公子』などと呼ばれているほどだ。プライベートでもそのような態度であると思われているのかもしれない。
ここは婚約者の名誉のためにも言っておくべきだろう。
「シモン様はとってもお優しいですよ。いつもわたしに気を遣ってくださるし、綺麗なお花や異国のめずらしいお菓子を送ってくださいますし、先日は街までエスコートをしてくださいましたし、カフェではパンケーキを半分下さったし、それからドレスも見立ててくださいましたの! わたし、そんなシモン様のことが、だーい好きなんですの!! はあはあ……」
無理をしてテンションを上げたせいで、若干息切れ気味のマリアベルに、始めは驚いていたフィオーラだったけれども、どんどんさみしげな表情になっていく。
「……うらやましいですわ。わたしはグスタフはランチすら一度もしたことがないのです」
「えっ、そうなんですの!?」
マリアベルは、自分がいかに婚約者が好きで幸せかを、フィオーラにアピールしただけであった。
反省――。
「グスタフ……」
窓の外に視線を移したフィオーラは、リリーティアとその場で別れ、別棟に向かうバルサスの後ろ姿を追っているようだ。
見た目は華やかで苛烈な性格をしているのに、なんともいじらしい。
マリアベルが察するに、フィオーラとバルサスは、近くに居すぎたせいで言葉が足りていないのではないか?
そこでキュピーンとマリアベルは閃いた。
「あの、フィオーラさん。もしよろしければ、わたしたちとのランチを口実に、バルサス様をランチにお誘いしませんか? それに婚約者とバルサス様はおなじ生徒会の役員同士、不自然ではございませんわ」
「え、よろしいの?」
フィオーラの言葉に、マリアベルは微笑み深くうなずいた。
見下ろせばバルサスが、リリーティアにハンカチを貸しているところであった。仮にも貴族令嬢が鼻から血を垂れ流している姿は、見るに堪えなかったのだろう。
「ほら、浮気でしょう?」
「いえ。あの程度なら、浮気には含まれてはいないと思いますけど」
フィオーラの浮気判定が厳しすぎて、バルサスが気の毒になってきた。
というか、相手は美少女だけれども貴族令嬢としては残念なリリーティアである。常識のある貴族令息であれば、まずは相手にしないだろう。
「マリアベルさん、グスタフに肩入れし過ぎじゃありません?」
――アチチッ! こっちに飛び火してきたわ。
マリアベルは首を振った。
「バルサス様とはお会いしたことも、お話したこともございませんわ。それにわたしには婚約者がおりますし」
フィオーラが深い蒼の瞳を瞬かせた。
「あらっ、そうでしたわね。ごめんなさい、マリアベルさん」
「謝罪を受け入れますわ」
気が強そうな顔立ちをしているのに、フィオーラは根は素直らしい。すぐに非を認め、謝るところは好感が持てる。
「マリアベルさんのご婚約者は、たしかモンテイエ様でしたわね?」
「ええ」
「モンテイエ様って、どうなのかしら?」
「どう、とは?」
「お優しいのかしら?」
『氷の貴公子』などと呼ばれているほどだ。プライベートでもそのような態度であると思われているのかもしれない。
ここは婚約者の名誉のためにも言っておくべきだろう。
「シモン様はとってもお優しいですよ。いつもわたしに気を遣ってくださるし、綺麗なお花や異国のめずらしいお菓子を送ってくださいますし、先日は街までエスコートをしてくださいましたし、カフェではパンケーキを半分下さったし、それからドレスも見立ててくださいましたの! わたし、そんなシモン様のことが、だーい好きなんですの!! はあはあ……」
無理をしてテンションを上げたせいで、若干息切れ気味のマリアベルに、始めは驚いていたフィオーラだったけれども、どんどんさみしげな表情になっていく。
「……うらやましいですわ。わたしはグスタフはランチすら一度もしたことがないのです」
「えっ、そうなんですの!?」
マリアベルは、自分がいかに婚約者が好きで幸せかを、フィオーラにアピールしただけであった。
反省――。
「グスタフ……」
窓の外に視線を移したフィオーラは、リリーティアとその場で別れ、別棟に向かうバルサスの後ろ姿を追っているようだ。
見た目は華やかで苛烈な性格をしているのに、なんともいじらしい。
マリアベルが察するに、フィオーラとバルサスは、近くに居すぎたせいで言葉が足りていないのではないか?
そこでキュピーンとマリアベルは閃いた。
「あの、フィオーラさん。もしよろしければ、わたしたちとのランチを口実に、バルサス様をランチにお誘いしませんか? それに婚約者とバルサス様はおなじ生徒会の役員同士、不自然ではございませんわ」
「え、よろしいの?」
フィオーラの言葉に、マリアベルは微笑み深くうなずいた。
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