マシュマロ系令嬢は悪役令嬢にはなれない

きみいち

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マシュマロ系令嬢と第1の悪役令嬢

4.

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「――というわけで、明日のランチにおふたりをお誘いしたいと思うのですけど、よいでしょうか?」
「ギュスターヴたちを?」

 マリアベルの部屋でくつろいでいた婚約者が渋面を作った。
 
「駄目、でしょうか?」

 ソファのとなりに腰かける婚約者の顔を、不安な気持ちで見つめる。

「いや、悪かった。ベルの関心が、ふたりに向いているのをつい悔しく思ってしまったんだ」
「まあ! 嫉妬してくださったの?」
「ああ、まあ……」

 マリアベルは歯切れが悪い年上の婚約者が愛しくなってしまった。 
 手を伸ばし指通りのよい銀髪をさらさらとすくうと、婚約者が照れたように頬を赤らめる。

 ――可愛い!!
 マリアベルの心臓がきゅきゅーんとする。

「おふたりの件ですが、元はといえばシモン様が渡り廊下で、リリーティアさんを避けたからなのですよ」
「あれは、わざとぶつかろうとしていた」
「徒競走の練習に熱が入ってしまっただけでは?」
「徒競走の練習ならグラウンドがあるだろう? あれはおそらく生徒会のだれかとフラグを立てるためだ」
「フラグ?」

 婚約者がとても難しい表情になったので、マリアベルはそれ以上について、たずねることが出来なくなった。

「ともかく、転んだリリーティアさんに手を差し伸べたのが、バルサス様なのです」
「キュスターヴは代々騎士の家柄だから、騎士道精神からつい手を差し伸べてしまったんだろう。と関わってしまって、気の毒に」
「それを見たフィオーラさんが、浮気だと言い出して」
「なるほど、フィオーラ・カッセル嬢か……。たしか、ギュスターヴの婚約者だったな」
「はい。ですから、フォローをしてさしあげたいのです」
「――くっ……おのれ、フラグめ」

 がくりとうなだれた婚約者から怨嗟の声が聞こえた。

「シモン様、ごめんなさい」

 マリアベルはどうやら婚約者の負担を増やしてしまったらしい。
 けれども、マリアベルは恋するひとりの少女として、拗らせているフィオーラを放ってはおけなかったのだ。

「あなたは気にしなくていいんだ」
「はい。でも、ごめんなさい」

 婚約者はしゅーんと落ち込んでしまったマリアベルの手を握ると、いつものように穏やかに微笑んだ。

「明日のランチだな? では、私からもギュスターヴを誘ってみよう」
「ありがとうございます!」

 マリアベルはほっと胸を撫で下ろした。
 しかし、このまま婚約者の優しさに甘えるわけにはいかない。
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