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第4章 裏切りと愛憎
4 いつか君の心が
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「ファンローゼ、これを」
昨晩、ファンローゼの部屋をクレイが訪ねてきた。
クレイの手には鍵が握られていた。それを見たファンローゼは、その鍵が何の鍵かすぐに察する。
「アニタから変なことを吹き込まれただろうけど、僕は最初から、ファンローゼに嫌な思いをさせるつもりはない。あたりまえだ。君をあんな奴の手で汚させるなんて冗談ではない!」
ファンローゼはほっと胸をなでおろす。
大佐に近づかずとも、鍵があれば部屋に忍び込める。
やはり、クレイは私のことを案じてくれていた。
「だけど……」
クレイは端整な顔に愁いの影を落とす。
「まさか、こんなことになるとは思わなくて、君を巻き込んでごめん」
クレイは心の底から申し訳なさそうに頭を下げた。
「断ってくれてもいい。僕がみんなに言えば、納得してくれる」
ファンローゼは首を振る。
「クレイ、お願いだから顔をあげて。クレイは私のためにいろいろよくしてくれたわ。だから、私にできることなら協力したいの」
「だけど、あまりにも危険すぎる計画だ」
「ううん、その鍵を私に。大佐の部屋の鍵よね? 必ず、クレイの仲間を助け出してみせるわ」
しばらくためらう様子を見せたクレイだが、ファンローゼの決意が固いことを知り、差し出した手のひらに鍵をのせた。
「でも、この鍵をどうやって手に入れたの?」
クレイは困ったように苦笑いを浮かべる。
「鍵のことは、皆には内緒にして欲しい」
クレイがそう言うのなら、誰にもこの鍵のことを喋るつもりはない。
「実はエスツェリア軍内部に知り合いがいて、その人物に合い鍵を作ってもらった。他にもいろいろな情報を提供してもらっている。大佐の身近にいる人物で、このことはあまり他の者に知られるとまずい」
「分かったわ。私、このことは誰にも」
「ありがとう、ファンローゼ」
鍵を握りしめる手に、クレイの手が重なった。そのまま引き寄せられる。
「ま、待って、クレイ……」
「だめだ。待たない」
クレイが顔を傾けた。
唇が重なろうとした刹那、ファンローゼはクレイの口元に手をあてる。
「だめ……」
「どうして?」
「お願い……私には……愛する……」
ファンローゼの言葉が途切れた。
クレイの口元にあてた手が握られる。その手首の内側にクレイの唇が触れたからだ。
クレイの情熱が唇から伝わってくる。
ファンローゼの瞳が戸惑いながら揺れる。
胸の鼓動がはやい。息が苦しい。
「クレイ……」
ようやく相手の唇が離れた。
「僕の気持ちを知っているよね。僕の役に立ちたいとか、僕のために危険をおかしてまで敵地に乗り込もうとは、少しは僕に好意を寄せていると期待してもいいと思っていた」
「私、ごめんなさい」
「いいよ、謝らないで。どんなに拒絶されようとも、君は僕の大切な女性。命にかえても君を守ると誓う」
クレイのもう片方の手が、髪を優しくなで首の後ろに添えられた。
「ファンローゼ、いつか君の心が僕に傾いてくれると信じているよ」
クレイの胸に引き寄せられ、何度も髪をなでられた。
「愛している、ファンローゼ」
クレイの優しい声が頭上に落ちた。
昨晩、ファンローゼの部屋をクレイが訪ねてきた。
クレイの手には鍵が握られていた。それを見たファンローゼは、その鍵が何の鍵かすぐに察する。
「アニタから変なことを吹き込まれただろうけど、僕は最初から、ファンローゼに嫌な思いをさせるつもりはない。あたりまえだ。君をあんな奴の手で汚させるなんて冗談ではない!」
ファンローゼはほっと胸をなでおろす。
大佐に近づかずとも、鍵があれば部屋に忍び込める。
やはり、クレイは私のことを案じてくれていた。
「だけど……」
クレイは端整な顔に愁いの影を落とす。
「まさか、こんなことになるとは思わなくて、君を巻き込んでごめん」
クレイは心の底から申し訳なさそうに頭を下げた。
「断ってくれてもいい。僕がみんなに言えば、納得してくれる」
ファンローゼは首を振る。
「クレイ、お願いだから顔をあげて。クレイは私のためにいろいろよくしてくれたわ。だから、私にできることなら協力したいの」
「だけど、あまりにも危険すぎる計画だ」
「ううん、その鍵を私に。大佐の部屋の鍵よね? 必ず、クレイの仲間を助け出してみせるわ」
しばらくためらう様子を見せたクレイだが、ファンローゼの決意が固いことを知り、差し出した手のひらに鍵をのせた。
「でも、この鍵をどうやって手に入れたの?」
クレイは困ったように苦笑いを浮かべる。
「鍵のことは、皆には内緒にして欲しい」
クレイがそう言うのなら、誰にもこの鍵のことを喋るつもりはない。
「実はエスツェリア軍内部に知り合いがいて、その人物に合い鍵を作ってもらった。他にもいろいろな情報を提供してもらっている。大佐の身近にいる人物で、このことはあまり他の者に知られるとまずい」
「分かったわ。私、このことは誰にも」
「ありがとう、ファンローゼ」
鍵を握りしめる手に、クレイの手が重なった。そのまま引き寄せられる。
「ま、待って、クレイ……」
「だめだ。待たない」
クレイが顔を傾けた。
唇が重なろうとした刹那、ファンローゼはクレイの口元に手をあてる。
「だめ……」
「どうして?」
「お願い……私には……愛する……」
ファンローゼの言葉が途切れた。
クレイの口元にあてた手が握られる。その手首の内側にクレイの唇が触れたからだ。
クレイの情熱が唇から伝わってくる。
ファンローゼの瞳が戸惑いながら揺れる。
胸の鼓動がはやい。息が苦しい。
「クレイ……」
ようやく相手の唇が離れた。
「僕の気持ちを知っているよね。僕の役に立ちたいとか、僕のために危険をおかしてまで敵地に乗り込もうとは、少しは僕に好意を寄せていると期待してもいいと思っていた」
「私、ごめんなさい」
「いいよ、謝らないで。どんなに拒絶されようとも、君は僕の大切な女性。命にかえても君を守ると誓う」
クレイのもう片方の手が、髪を優しくなで首の後ろに添えられた。
「ファンローゼ、いつか君の心が僕に傾いてくれると信じているよ」
クレイの胸に引き寄せられ、何度も髪をなでられた。
「愛している、ファンローゼ」
クレイの優しい声が頭上に落ちた。
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