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休息
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ゼロとレナが控え室に戻るとシーナが満面の笑みを浮かべて2人を待っていた。
「初戦突破、おめでとうございます!強敵のミラーさんに勝つなんて!流石はゼロさんです!」
ゼロは肩を竦めた。
「いや、ギリギリですよ。アンデッドの手を借りてどうにか勝てましたが、剣技だけでは勝てたかどうか・・・」
「あら?剣だけでも勝ち目があったの?」
レナがふと気付く。
「まあ、剣だけでも勝機が無かったわけではありませんでしたね」
話しながらミラーの大剣をまともに受けた自分の剣を点検している。
流石はモースの打った剣だけあって問題はない。
「次の第2試合はマイルズさんの出番ですね。ゼロさん、見に行きましょう」
シーナが誘うがゼロは首を振る。
「止めておきます。マイルズさんの勝利は間違いないと思いますが、2回戦で戦うことを楽しみにしておきますよ。それよりも疲れましたし、お腹も空きましたよ」
ゼロは話しながら立ち上がって歩き出したが、ゼロがそう言うのならばレナ達も続くしかなかった。
その夜、3人はギルドの食堂でささやかながら勝利の祝杯をあげた。
その席でレナはゼロに一つの質問をした。
「そういえば、今日の対戦だけど、なぜバンシーを召喚しなかったの?普段はスケルトンの他に真っ先にバンシーを呼ぶじゃない?」
「演出ですよ。アンデッドとしてはインパクトの薄い彼女よりもスペクターの方が雰囲気があるでしょう?それに、バンシーの本気の攻撃は泣き声による精神攻撃ですよ?そんな攻撃をしたら観客まで目を回してしまうじゃないですか」
ゼロは果実酒を飲みながら答えた。
明日は1回戦2日目なのでやることはない、ゆっくり休めるので少しだけ飲酒することにしたのだ。
「予想通りマイルズさんも勝ったようですね。水の都市の銀等級の冒険者さん相手でしたが、結果はマイルズさんの圧勝だったようです。凄いですね」
シーナの報告にゼロは杯を傾けながら頷いた。
「本気のマイルズさんとの対決ですか、いやはや恐ろしいですね」
「その割には楽しみのようね?」
「まあ、約束ですからね」
「で、明後日はサポートの私はどうしたらいいのかしら?」
レナの問いにゼロは首を振った。
「明後日はレナさんは出場しないでください。多分マイルズさんも1人で出てくると思います。真正面からの一騎打ちで挑みますよ」
そう決意するゼロの目は闘志に燃えていた。
レナもゼロがそう決めたならば異論はない。
それならば、2回戦はシーナと共に観戦することにした。
その時、ギルドの食堂に1回戦でゼロに敗れたミラーが青年魔術師を連れて訪ねてきて、ゼロの姿を見るや笑顔で声をかけてきた。
「おう、ここにいたか。あの後直ぐに控え室に行ったんだが、行き違いになっちまってな」
ズカズカと歩み寄ってきたミラーは大声で話しながら近くにあった椅子を引き寄せて座り、給仕を呼んで5人分の酒を注文した。
「奢らせてくれ!今日の対決は完敗だった。世界は広いってことを思い知らされたぜ!」
運ばれてきた酒を豪快に飲み干しながらミラーは笑った。
「いや、正直言って私もギリギリの勝負でしたよ」
「ハハハッ!俺もな、大抵の奴には勝てると自惚れていた、それを教えてくれただけで感謝しているよ。それにな、ネクロマンサーとの戦いなんて貴重な体験だった。いい経験になったぜ、ありがとうよ」
ミラーは経験したことの無かったネクロマンサーとの戦いについて、その敗北すらも貪欲に自分の糧とし、そのことをゼロに感謝している、さっぱりとした性格の持ち主だった。
ミラーに付き従う青年魔術師にしても自分の力不足を認めてレナに色々と質問している。
2人とも精鋭の呼び名の高い国境警備隊員だけのことはあり、敗北からも何かを学び取っていた。
そしてミラーはゼロの肩を組み
「俺達も優勝を狙っていたんで大会期間中は休暇を取っていたから明日からはすることがない。だからお前の試合を見届けるぞ!お前が勝ち上がってくれれば1回戦で負けたとしても、俺の面目が立つってもんだ。簡単に負けるんじゃねえぞ!」
と激励した。
その夜はミラーのペースに飲まれながらも心地よい晩餐を楽しんだのであった。
そして、翌日のゼロはギルドの自室にこもり、コンディションを整えることに専念した。
ミラーとの戦いのダメージは無いが、疲労は残っているので休息を取り、回復しなければならない。
その日のゼロは食事以外で部屋の外に出てくることは無く、マイルズとの対決に向けてひたすらに集中していた。
そして大会3日目、2回戦マイルズとの対決の時を迎えた。
「初戦突破、おめでとうございます!強敵のミラーさんに勝つなんて!流石はゼロさんです!」
ゼロは肩を竦めた。
「いや、ギリギリですよ。アンデッドの手を借りてどうにか勝てましたが、剣技だけでは勝てたかどうか・・・」
「あら?剣だけでも勝ち目があったの?」
レナがふと気付く。
「まあ、剣だけでも勝機が無かったわけではありませんでしたね」
話しながらミラーの大剣をまともに受けた自分の剣を点検している。
流石はモースの打った剣だけあって問題はない。
「次の第2試合はマイルズさんの出番ですね。ゼロさん、見に行きましょう」
シーナが誘うがゼロは首を振る。
「止めておきます。マイルズさんの勝利は間違いないと思いますが、2回戦で戦うことを楽しみにしておきますよ。それよりも疲れましたし、お腹も空きましたよ」
ゼロは話しながら立ち上がって歩き出したが、ゼロがそう言うのならばレナ達も続くしかなかった。
その夜、3人はギルドの食堂でささやかながら勝利の祝杯をあげた。
その席でレナはゼロに一つの質問をした。
「そういえば、今日の対戦だけど、なぜバンシーを召喚しなかったの?普段はスケルトンの他に真っ先にバンシーを呼ぶじゃない?」
「演出ですよ。アンデッドとしてはインパクトの薄い彼女よりもスペクターの方が雰囲気があるでしょう?それに、バンシーの本気の攻撃は泣き声による精神攻撃ですよ?そんな攻撃をしたら観客まで目を回してしまうじゃないですか」
ゼロは果実酒を飲みながら答えた。
明日は1回戦2日目なのでやることはない、ゆっくり休めるので少しだけ飲酒することにしたのだ。
「予想通りマイルズさんも勝ったようですね。水の都市の銀等級の冒険者さん相手でしたが、結果はマイルズさんの圧勝だったようです。凄いですね」
シーナの報告にゼロは杯を傾けながら頷いた。
「本気のマイルズさんとの対決ですか、いやはや恐ろしいですね」
「その割には楽しみのようね?」
「まあ、約束ですからね」
「で、明後日はサポートの私はどうしたらいいのかしら?」
レナの問いにゼロは首を振った。
「明後日はレナさんは出場しないでください。多分マイルズさんも1人で出てくると思います。真正面からの一騎打ちで挑みますよ」
そう決意するゼロの目は闘志に燃えていた。
レナもゼロがそう決めたならば異論はない。
それならば、2回戦はシーナと共に観戦することにした。
その時、ギルドの食堂に1回戦でゼロに敗れたミラーが青年魔術師を連れて訪ねてきて、ゼロの姿を見るや笑顔で声をかけてきた。
「おう、ここにいたか。あの後直ぐに控え室に行ったんだが、行き違いになっちまってな」
ズカズカと歩み寄ってきたミラーは大声で話しながら近くにあった椅子を引き寄せて座り、給仕を呼んで5人分の酒を注文した。
「奢らせてくれ!今日の対決は完敗だった。世界は広いってことを思い知らされたぜ!」
運ばれてきた酒を豪快に飲み干しながらミラーは笑った。
「いや、正直言って私もギリギリの勝負でしたよ」
「ハハハッ!俺もな、大抵の奴には勝てると自惚れていた、それを教えてくれただけで感謝しているよ。それにな、ネクロマンサーとの戦いなんて貴重な体験だった。いい経験になったぜ、ありがとうよ」
ミラーは経験したことの無かったネクロマンサーとの戦いについて、その敗北すらも貪欲に自分の糧とし、そのことをゼロに感謝している、さっぱりとした性格の持ち主だった。
ミラーに付き従う青年魔術師にしても自分の力不足を認めてレナに色々と質問している。
2人とも精鋭の呼び名の高い国境警備隊員だけのことはあり、敗北からも何かを学び取っていた。
そしてミラーはゼロの肩を組み
「俺達も優勝を狙っていたんで大会期間中は休暇を取っていたから明日からはすることがない。だからお前の試合を見届けるぞ!お前が勝ち上がってくれれば1回戦で負けたとしても、俺の面目が立つってもんだ。簡単に負けるんじゃねえぞ!」
と激励した。
その夜はミラーのペースに飲まれながらも心地よい晩餐を楽しんだのであった。
そして、翌日のゼロはギルドの自室にこもり、コンディションを整えることに専念した。
ミラーとの戦いのダメージは無いが、疲労は残っているので休息を取り、回復しなければならない。
その日のゼロは食事以外で部屋の外に出てくることは無く、マイルズとの対決に向けてひたすらに集中していた。
そして大会3日目、2回戦マイルズとの対決の時を迎えた。
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