冬馬君の秋と冬

だかずお

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『冬馬君危機一髪』

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キンコンカンコン~~

学校の始まりのチャイムが鳴る。

この時、冬馬君は最大のピンチに襲われることとなる。

それは授業の半ば頃であった。

ヒュオ~~~~~~~~奴が突如として姿をあらわした。

奴の名は、腹痛である。
いや、正確に言うと、ただ腹が痛いと言うより、うんちがしたくなる波の様なものである。腹痛兼うんち漏れそう痛である。
冬馬君は焦る、なんでこんな時にっ。
したくても、出来ない場での便意は驚異である。
家の時はすぐにトイレに駆け込めるからまだ良いのだが、このトイレに行けない状況でのうんち漏れそう痛はヤバすぎる。
嫌な瞬間のひとつだ。

うんこの波は雄叫びを上げる。

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~
行くぞぉーーー冬馬しゅこおおおっ~~。

冬馬君は心の中叫ぶ。

ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおーーっ。
やばい やばい やばい やばい やばい。
耐えろ 耐えろ 耐えろ 耐えろ耐えるんだ冬馬~~っ。
ぐぎぎぎぎぎっ。

波は去る ザブ~ンッ。

ハヒュー ハヒュー フゥ~ しゅうううっ。

うっ、嘘だろっ、こんなの後何度耐えればいいんだ。
波が去った後のこの静寂な感覚は有難いものだったが、またいつ来るんだろうと言う怖れは嫌だった。

身体が妙に力む。
来るな、来るなよ波。

警戒し、呼吸が荒くなる ハヒュ ハヒュ ハヒュールルル。

「ですからして、これはこうなります」

もはや先生の授業の内容など全く頭に入らない。

ぐぬぬぬぬぬ、ぐうおおおおおおおおおっ

奴が来るっ!!

うおおおおおおおおおおおおっー 耐えられるか今度の波を?

耐えろ 耐えろ 耐えろ 耐えろ 冬馬ーーっ

出なけりゃ教室は バァーンッ !!

糞まみれじゃい。

冬馬君の身体は無意識に臨戦体勢へとかわる。
背筋がくにゅりと、ダンゴムシが丸くなる様な体勢である。
ダンゴムシ形態出現!!
名付けてダンゴムシ冬馬。

ぬぐおおおおおおおおおおおおおんっ。

冬馬君は思った。

うんこしてえええっ。
ただでさえ、手をあげて発言など出来ない冬馬君がこの状況で急に手をあげ、トイレに行きたいなどは性格上絶対に言えなかった。
更にトイレに行ってる長さでうんちしてるのがバレてしまうっ。
(案ずるな冬馬よ、うんこしない人間などいないのだから、安心してうんこせぇ)誰だよ?

気づけば両手は汗まみれになっていた。
速くっ授業終わってくれっ。

こーゆう時の一分がまた長い事。

ハヒュ ハヒュ ハヒュ 冬馬君が今最も求める物それは。
真っ白の姿の便器様だった。

だが授業が終わるにつれ、うんち漏れそう痛はおさまった。
休み時間の頃には嘘の様になおっていたのだ。
ふぅーもう大丈夫だ。
この冬馬君の油断を奴は逃さなかった。
それは四時間目、ちょうど昼休み前の授業であった。

ニカッ 奴は大笑いしながら再び戻ってきた。

アーイム カミングバック!!
異様にイラつく冬馬君。

くらえっ、冬馬 今回のは大きいぞ。
なんとも最悪のタイミングを狙い戻って来た様なうんち漏れそう痛。
何故最悪のタイミングなのか?

それは、四時間目は教室全体が静かになるテスト時間だったのだ。
テストにも集中出来ないし、何よりも小さな音が教室に響き渡ってしまう。
冬馬君は自分が漏らす瞬間を想像してしまう。

ビニュルッ ベチャ ベチャ ベチャ。

何者かが言う「あっ、冬馬がうんこ漏らした」
それは山びこのごとし教室を駆け巡る。

「冬馬がうんこ漏らした うんこ漏らした 冬馬」

それだけは避けねば。

ピカーン 

でたーっ、必殺ダンゴムシ形態。
この時ばかりはダンゴムシに生まれて初めて感謝する冬馬君。
お腹に力をいれる。
うっ、くわぁああああっ、奴が来た。

ぬおっ、でっでかい!!
目の前に現われる今年最大級の大波、この波にのまれた者は皆、糞まみれとなる。

ハヒュ ハヒュ ハヒュー
冬馬君は静かに呼吸を整える。
絶対に負けられないっ。

大波が来たぞーっ、来たぞーっ はい来たぞ~~っ。

ぐぎぎぎぎぎぎぎ、ああっのまれるっ。

神様、仏様、便器様~~っ
足を静かにジダバタさせている。
顔は歪み、今日の冬馬君はムンクの叫びを超えたと言われている。

その時、ブッ

あっ!!屁が出たった。
冬馬君の全身が一瞬凍りついた様になる。

シーン バレていない?良かった。
こーゆう時不思議なのは、うんち漏れそう痛が一瞬遠ざかる。
だがすぐに、まーだだよっ!!やって来た。
もし、うんち漏れそう痛にパンチをくらわす事が出来るのならば、冬馬君は少なくとも最低560発は打ち込んでいただろうと言われている。

もうダメだ、ケツをゆるめ楽になりたい。
あーっもう良いか、犬はどこでもするじゃないか。
犬化しかける冬馬。

ピチョ だっ、ダメだ。
明日から糞馬君と言われてしまうかも知れない。
良いもん、明日から四足歩行で歩き、至る所でしまくってやるもん。
イカンッ、何を言ってるんだ僕は。
ぬぎぎぎぎぎ~~っ。

その時だった。
「先生、うんこ漏れそう」クラスで活発な生徒が手をあげて言った。

「分かりました」

「へっ?」仰天する冬馬君。
そしてあんな風に言えてしまう彼が羨ましかった。
自分には一生無理な気がする。
だが、羨ましい。彼は何も我慢することなく今頃はうんこを出し放題(下品かな?)最中であろう。
僕は一体何をこんなに我慢しているんだ。
彼の人生の中でこんなことを我慢する状況はないんだろうな。
僕も家族の中なら間違いなく、うんちと言ってすぐトイレに行くのに。
ヒュルル~~ 必死に耐える自分がアホらしく思えてきた。
ふっつーにトイレに行きたいと言って行けばいいじゃないか、こんなとこで人目を気にして僕は何してるんだっ。

ザザザザ~~っ

また来たっ。
やはり手はあげず、誰にもバレない様にクニュニュル。
ババーンッ!!変身ダンゴムシ形態 
再びダンゴムシになり必死に耐え続ける冬馬君。

ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎっ。
くぬあっ!!
耐えろ 耐えろ 耐えろ 冬馬。

ガラッ すっきりした顔して彼は戻って来た。

うっ、羨ましすぎるっ。
冬馬君の額は汗まみれである。

シーンとしているテストは続く。

ビニュルッ くあっ。
油断出来ぬ状態も続いている。
今は落ちついてるけど、この状況、次の波で僕はノックアウトするだろう。
僕の周りは糞まみれ。
あーっ、糞馬君か。明日から僕は糞馬君。
一回くらいうんこ漏らすくらい仕方ないじゃん人間なんだから。
自分に奇妙な言葉を言い聞かせる冬馬君。

ギラッ トドメだ 奴はやってくる。
くらえ、名付けて台風の日の波攻撃~~

うわあああああああああああああああああっーっ
この瞬間の冬馬君の顔はムンクの顔より百倍は歪んでしまったと言われる。

ニュルッ

ダメだ~~っ

漏らす!!


キンコンカンコーン
チャイムが鳴り響く。
「はいっ、それまでっ」

この直後ダンゴムシは見たことのない速さでトイレに向かったそうな。


一応後日談だが、テストは白紙0点だったそうな。


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