13 / 49
02.
13.身勝手で狂暴な婚約者殿 02
しおりを挟む
「私、あそこまで酷くありませんわ」
「極端な例え話ですよ。 逆にほら、彼方の方のように美しく食事をされる方と、ご一緒している場面を考えて下さい。 気分が良いとは思いませんか?」
「それは……そうですわね」
その後も、ダメ出しと、褒め倒しともいえる言葉が交互に繰り広げられる。
今でも既に敵が多いのに、なぜこの人は敵を増やしたがるのかと頭が痛くなってくると言うものだ。
「あぁ、あの方の食べ方はとても美しい。 そして、彼方の方は微笑み方の印象がいい。 見習うなら、あのような方々にしてください。 あの方々のように食事をしてくださるなら、私もマティルとの食事を楽しいと思える事でしょう」
なんだかカチンっと来た。
心配しているのに、責めるような事を言われたから?
私との食事が楽しくないから無視すると言われているようだったから?
とにかく瞬間的にむかついた……訳なんです。
「では、その方々に同席を願われてはいかがですか?」
「何を馬鹿な事を……不貞を進めるのは止めてください。 下品ですよ」
溜息交じりに言いながらバウマン様は言葉を続ける。
「私はね。 あのような方々とお友達になってみてはいかがですか? と言っているのです。 マティルにとって損になるようには思えませんよ」
「……機会があれば……お誘いしてみますわ」
一応、声のかけやすい子爵令嬢や、男爵令嬢を示しているあたり、嫌味だと苛立った。 もういい……。
「授業の準備がありますから、失礼してもよろしいでしょうか?」
「そうですか……」
そしてようやく冷え切った肉たっぷりのビーフシチューに手をつけるバウマン様。
温かな食事を冷たくなってから食べるのも、行儀が悪いのではないかしら? と、思いはしましたが、豪快でありながら美しい所作で目の前の料理を食べていく姿を見れば、指摘の使用も無く……私が苛立ちと共に口にしたのは
「バウマン様、意味もなく敵を作りになるのはおやめになってはいかがですか?」
「敵を作るつもりなどありません。 何れの方も気にかけなければいけない相手には思えませんので」
「王族以外は眼中にないってよ」
「流石、没落侯爵家様は違うねぇ~」
なんて感じのボソボソ声が響き連鎖していくから、私はホラっとバウマン様へと視線を向けた。
「無価値なサルに何を思われていても気にならないので、私はコレでいいのですよ」
「いい加減にしろ!! 好き放題言いやがって!!」
「あぁ、お前だって、王族の方々に無価値だと評価されたじゃないか!!」
「外見ばかりを気にする中身空っぽの奴が、俺達を評価するなんてなぁ。 侯爵家の名を落とした無能者が」
「婚約者の家に寄生している虫以下の奴が、偉そうな口をきけないようにしてやろうか?!」
なんて話になってきて、私はギョッとする訳です。
「バウマン様……、ブラーム様はシバラクご不在なのですよ。 それに、敵ばかり作られては、私も困ります」
「それは、そうですね……。 では、害のないようにしてきます」
上位貴族が何故、上位貴族なのか?
ソレは血統によるギフトが高確率で引き継がれるため。
侯爵家以上の者が静観を決める中、バウマン様は暴力でもってその場を制した。
「余り暴力は好きでは無いのですが……」
バウマン様がボソリと言えば、喧嘩相手である令息達の婚約者が責め立てた。
「良く、そんな事が言えますわねぇ!!」
「あぁ、どうして意味を理解していただけないのでしょうか? 暴力が好きではない私は、暴力的な事を殆ど行った事がないのです。 コレの意味するところを理解していただけませんか?」
そう言いながら婚約者の手を借りて、上体を起こした令息の身体をもう一度横にするように、上半身を踏みつければ鈍い音が響いた。
「はぁ? っつ、いってぇえ」
「私、手加減と言うものを理解できていないのですよ……」
余程でない限りは、今後バウマン様の暴力を恐れて人は避けていくでしょう。 でも、避ける事が出来る人は良いのでしょうが……出来ない私としては……その暴力が自分に向かうのでは? と、怯えずにいられない訳なのです。
「極端な例え話ですよ。 逆にほら、彼方の方のように美しく食事をされる方と、ご一緒している場面を考えて下さい。 気分が良いとは思いませんか?」
「それは……そうですわね」
その後も、ダメ出しと、褒め倒しともいえる言葉が交互に繰り広げられる。
今でも既に敵が多いのに、なぜこの人は敵を増やしたがるのかと頭が痛くなってくると言うものだ。
「あぁ、あの方の食べ方はとても美しい。 そして、彼方の方は微笑み方の印象がいい。 見習うなら、あのような方々にしてください。 あの方々のように食事をしてくださるなら、私もマティルとの食事を楽しいと思える事でしょう」
なんだかカチンっと来た。
心配しているのに、責めるような事を言われたから?
私との食事が楽しくないから無視すると言われているようだったから?
とにかく瞬間的にむかついた……訳なんです。
「では、その方々に同席を願われてはいかがですか?」
「何を馬鹿な事を……不貞を進めるのは止めてください。 下品ですよ」
溜息交じりに言いながらバウマン様は言葉を続ける。
「私はね。 あのような方々とお友達になってみてはいかがですか? と言っているのです。 マティルにとって損になるようには思えませんよ」
「……機会があれば……お誘いしてみますわ」
一応、声のかけやすい子爵令嬢や、男爵令嬢を示しているあたり、嫌味だと苛立った。 もういい……。
「授業の準備がありますから、失礼してもよろしいでしょうか?」
「そうですか……」
そしてようやく冷え切った肉たっぷりのビーフシチューに手をつけるバウマン様。
温かな食事を冷たくなってから食べるのも、行儀が悪いのではないかしら? と、思いはしましたが、豪快でありながら美しい所作で目の前の料理を食べていく姿を見れば、指摘の使用も無く……私が苛立ちと共に口にしたのは
「バウマン様、意味もなく敵を作りになるのはおやめになってはいかがですか?」
「敵を作るつもりなどありません。 何れの方も気にかけなければいけない相手には思えませんので」
「王族以外は眼中にないってよ」
「流石、没落侯爵家様は違うねぇ~」
なんて感じのボソボソ声が響き連鎖していくから、私はホラっとバウマン様へと視線を向けた。
「無価値なサルに何を思われていても気にならないので、私はコレでいいのですよ」
「いい加減にしろ!! 好き放題言いやがって!!」
「あぁ、お前だって、王族の方々に無価値だと評価されたじゃないか!!」
「外見ばかりを気にする中身空っぽの奴が、俺達を評価するなんてなぁ。 侯爵家の名を落とした無能者が」
「婚約者の家に寄生している虫以下の奴が、偉そうな口をきけないようにしてやろうか?!」
なんて話になってきて、私はギョッとする訳です。
「バウマン様……、ブラーム様はシバラクご不在なのですよ。 それに、敵ばかり作られては、私も困ります」
「それは、そうですね……。 では、害のないようにしてきます」
上位貴族が何故、上位貴族なのか?
ソレは血統によるギフトが高確率で引き継がれるため。
侯爵家以上の者が静観を決める中、バウマン様は暴力でもってその場を制した。
「余り暴力は好きでは無いのですが……」
バウマン様がボソリと言えば、喧嘩相手である令息達の婚約者が責め立てた。
「良く、そんな事が言えますわねぇ!!」
「あぁ、どうして意味を理解していただけないのでしょうか? 暴力が好きではない私は、暴力的な事を殆ど行った事がないのです。 コレの意味するところを理解していただけませんか?」
そう言いながら婚約者の手を借りて、上体を起こした令息の身体をもう一度横にするように、上半身を踏みつければ鈍い音が響いた。
「はぁ? っつ、いってぇえ」
「私、手加減と言うものを理解できていないのですよ……」
余程でない限りは、今後バウマン様の暴力を恐れて人は避けていくでしょう。 でも、避ける事が出来る人は良いのでしょうが……出来ない私としては……その暴力が自分に向かうのでは? と、怯えずにいられない訳なのです。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる