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3章 ルシッカ伯爵領 中央都市
31.完結
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「結婚してください」
「才能がある美形は、個人で独占する物ではなく、皆で分かち合うものなので、結婚してはいけないと思います!!」
そう声を大に言えば、未確認生物でも見るような顔をされてしまった……。 未確認生物のような生体を持つ人に……、コレはとても不可解です。
「ですが、マイは、私の事が好きですよね?」
と、美形面で近寄られれば、ジリジリと後ろに逃げ下がるしかなく。
「申し訳ございませんが、私が大好きなヴァイス様と外見が違うので、認識の祖語がおこっておりまして……って、何を、目隠ししてるんですか!!」
この目隠しは、背後に回ったルツによってされ、目隠しを外さないように両腕も軽く縛られた。
「声は一緒なんだから、問題ないだろう?」
「違う、若干違う、いつもはもう少し低い」
「少しぐらい気にするな」
「えっと、話しを続けさせてもらっていいかな?」
そう言ったヴァイスは、私を抱きかかえ多分ソファに座った。
「外見が変わったからといって、そのように態度を変えられると傷つくんですよ?」
「大丈夫です。 むしろ拝み奉って、お布施してもいいです」
「ごめん……何言っているかわかりませんし、私が聞きたいのは、私をどう思っているかだけです。 まぁ、私は聞くまでもないと思っているんですが」
「……アナタ、ヴァイス様ではありませんね!!」
「なんで、そうなるんですか……」
声に含まれるガックリ感が半端ない。
「私のヴァイス様は、もっとこうヘタレ可愛いですから!!」
ルツが必死に笑いを堪えているあたり、別人と言う事ではないらしい……。
「私だって……やる時はやりますよ……。 それに、私はね、アナタに愛されていると思っていますし、愛していますから、引く気はありません」
そっと触れる唇が獣の時と違っていたけれど、遠慮がちに唇を舐めてくる様子は、ヴァイス様だった。
結局、引く気のないヴァイス様と、ヴァイス様を好きな私では、いくら拒絶してみせようと通るはずもなく、通す気もないらしい。
「わかりました観念します。 私はヴァイス様が好きです。 ですが1つ譲れない事があります」
「なんでしょう」
「まず、腕と目隠しをとってください」
「いや、取らない方がいいだろう。 錯乱しそうだし」
「そうですね……このままいきましょう。 それで?」
私はガックリ肩をおとし、溜息をつく。
なんだか、私の知る愛の告白とはズイブンと形が違う。 いえ決してロマンチックなシチュエーションを求めている訳ではありませんよ? むしろ、こういうのもいいよねと思った訳です。
「……出来るならでいいんです。 出来るだけ多くと言うべきか、そのヴァイス様には、なるべく今まで通りの姿でいて欲しいです!! ……お願いできないでしょうか?」
「構いませんけど……」
声に戸惑いが聞こえるのは、実際のところアノでっかいモフモフ姿は嫌だったと言う事でしょうか?
「いいのか? 幾ら金持ちで才能があるとはいえ、獣と結婚した変人、或いは金目当てと言われるぞ?」
「金目当てと言われるのは嫌なので、まぁ、なんとかして働きます。 変人の方は、むしろかかってこい? ヴァイス様の魅力は私だけが分かればいいので問題ありません」
「うん、それはありがたいけど、人間の姿も私なのですが」
「それは……観賞用にとっておきます」
「……ヴァルツ……マイがオカシイ」
「オマエが気付いていないだけで、ずっとオカシイから安心しろ」
「失礼な人ですね」
結局、姿なんて関係なく、私達は私達な訳で……それから数日後、ヴァイスの両親に婚約の挨拶に出向くこととなる。
ヴァイスが言っていた通り、異常なほどの熱烈歓迎を受け、そのまま爵位譲っちゃえ等と言うから、ヴァイスの弟(普通の人)が凄い顔で睨んでくるから、慌ててお断りしました。
「そういう色んなオプションをつけられると、ヴァイス様が好きだから一緒にいたいという気持ちが、誤解を受けそうなので、ご容赦ください」
ヴァイスは妙に感動していたけど、実際は厄介ごとが面倒だっただけなのは、きっとルツは気付いているだろう。
人とは少し違った形の愛情だったとしても、私はきっと幸せになるに違いない。
終わり。
「才能がある美形は、個人で独占する物ではなく、皆で分かち合うものなので、結婚してはいけないと思います!!」
そう声を大に言えば、未確認生物でも見るような顔をされてしまった……。 未確認生物のような生体を持つ人に……、コレはとても不可解です。
「ですが、マイは、私の事が好きですよね?」
と、美形面で近寄られれば、ジリジリと後ろに逃げ下がるしかなく。
「申し訳ございませんが、私が大好きなヴァイス様と外見が違うので、認識の祖語がおこっておりまして……って、何を、目隠ししてるんですか!!」
この目隠しは、背後に回ったルツによってされ、目隠しを外さないように両腕も軽く縛られた。
「声は一緒なんだから、問題ないだろう?」
「違う、若干違う、いつもはもう少し低い」
「少しぐらい気にするな」
「えっと、話しを続けさせてもらっていいかな?」
そう言ったヴァイスは、私を抱きかかえ多分ソファに座った。
「外見が変わったからといって、そのように態度を変えられると傷つくんですよ?」
「大丈夫です。 むしろ拝み奉って、お布施してもいいです」
「ごめん……何言っているかわかりませんし、私が聞きたいのは、私をどう思っているかだけです。 まぁ、私は聞くまでもないと思っているんですが」
「……アナタ、ヴァイス様ではありませんね!!」
「なんで、そうなるんですか……」
声に含まれるガックリ感が半端ない。
「私のヴァイス様は、もっとこうヘタレ可愛いですから!!」
ルツが必死に笑いを堪えているあたり、別人と言う事ではないらしい……。
「私だって……やる時はやりますよ……。 それに、私はね、アナタに愛されていると思っていますし、愛していますから、引く気はありません」
そっと触れる唇が獣の時と違っていたけれど、遠慮がちに唇を舐めてくる様子は、ヴァイス様だった。
結局、引く気のないヴァイス様と、ヴァイス様を好きな私では、いくら拒絶してみせようと通るはずもなく、通す気もないらしい。
「わかりました観念します。 私はヴァイス様が好きです。 ですが1つ譲れない事があります」
「なんでしょう」
「まず、腕と目隠しをとってください」
「いや、取らない方がいいだろう。 錯乱しそうだし」
「そうですね……このままいきましょう。 それで?」
私はガックリ肩をおとし、溜息をつく。
なんだか、私の知る愛の告白とはズイブンと形が違う。 いえ決してロマンチックなシチュエーションを求めている訳ではありませんよ? むしろ、こういうのもいいよねと思った訳です。
「……出来るならでいいんです。 出来るだけ多くと言うべきか、そのヴァイス様には、なるべく今まで通りの姿でいて欲しいです!! ……お願いできないでしょうか?」
「構いませんけど……」
声に戸惑いが聞こえるのは、実際のところアノでっかいモフモフ姿は嫌だったと言う事でしょうか?
「いいのか? 幾ら金持ちで才能があるとはいえ、獣と結婚した変人、或いは金目当てと言われるぞ?」
「金目当てと言われるのは嫌なので、まぁ、なんとかして働きます。 変人の方は、むしろかかってこい? ヴァイス様の魅力は私だけが分かればいいので問題ありません」
「うん、それはありがたいけど、人間の姿も私なのですが」
「それは……観賞用にとっておきます」
「……ヴァルツ……マイがオカシイ」
「オマエが気付いていないだけで、ずっとオカシイから安心しろ」
「失礼な人ですね」
結局、姿なんて関係なく、私達は私達な訳で……それから数日後、ヴァイスの両親に婚約の挨拶に出向くこととなる。
ヴァイスが言っていた通り、異常なほどの熱烈歓迎を受け、そのまま爵位譲っちゃえ等と言うから、ヴァイスの弟(普通の人)が凄い顔で睨んでくるから、慌ててお断りしました。
「そういう色んなオプションをつけられると、ヴァイス様が好きだから一緒にいたいという気持ちが、誤解を受けそうなので、ご容赦ください」
ヴァイスは妙に感動していたけど、実際は厄介ごとが面倒だっただけなのは、きっとルツは気付いているだろう。
人とは少し違った形の愛情だったとしても、私はきっと幸せになるに違いない。
終わり。
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