31 / 32
3章 ルシッカ伯爵領 中央都市
30.プロポーズ 02
しおりを挟む
何しろ、全裸の褐色白髪金瞳のイケメンが鍛え抜かれた身体に何も着用せず突然に現れたら、普通逃げますよね? いや、逃げないか? いやいや、全裸の時点でやっぱり逃げる!!
扉に向かって走り出そうとすれば、素早い動きで前に回られ通せんぼされた。
「ちょ、待って、待って、落ち着いて、私、私です」
前をきっちり掛け合わせずに、両手をブンブンふるから、色々と見えそうで見えなくて、見えても困るから視線を逸らし、壁に縋りついた。
「マイ、マイ、落ち着いてください」
イケメンの姿がグニャリと歪んだかと思えば、白虎の姿となり、はい? となる。 物理法則を無視した現象が……。 いやいや、白虎が消えて人が現れたなら、ヴァイスだと言う可能性は当然考えるべきだっただろう。
廊下では、私の悲鳴にかけつけたルツが扉をドンドンと叩いていた。 御者さんが来なかったのは幸いと言えるだろう。
ガチャガチャと言う鍵が開く音と共に扉が開かれルツが顔を出し、表情を凍り付かせた。
「まさか、マジで襲ったのか?」
「襲ってない!! 順序が大事だと言うから、人間の姿になって……」
そういうヴァイス様を無視して、ルツは部屋の内部を見回し視線が合った私の元へ来る。
「どうした?」
「とつぜんに、全裸のイケメン出てきてビビった」
「OK、ヴァイスやり直しだ。 外で服を着てからこい。 突然に裸で女性の前にでる男は、只の変質者だ」
「ぁ……、ですが、いつも裸ですし……」
「言い訳は必要ない。 自分で考えろ、美女がオマエの布団の中で全裸待機していた」
「……マイなら嬉しい」
「……絶世の美女が、全裸待機していた」
「逃げます」
微妙にムカついたのは、何故だろう……。
「人間だと言っていなかったか?」
「えっと、聞いてはいましたが、両親が人間という意味で、物理法則を無視するなんて考えてなんかいませんよ!」
「ここは魔法がある世界だ。 割り切れ」
「……OK。boss」
「なんか違うが、まぁ、いい……、で」
「で、とは?」
「プロポーズされたんだろう。 ヴァイスのことが嫌いな訳でもあるまい。 どうせ、真っ当な結婚なんて無理な者同士だ。 一緒になったらどうだ? 金も才能もあるから食いっぱぐれない。 浮気の心配もない。 断る理由はないだろう」
「いえ、ですが……あんなイケメンが、自分の上ではぁはぁするんですよ!! 耐えられません!!」
「意味が理解できるような? できないような? とにかく、言い方なんとかしろ」
「……了解。 ヴァイス様のことは好きですが、今まで虎だと思っていたので、突然にイケメンの姿で押したおされても、認識力がついていきません」
「まぁ、そこは時間をかけて慣れろ」
「慣れるほど、人の姿でいて大丈夫なんですか?」
「……いや、人なんだから問題はない。 アレは人嫌い、拒絶の態度の現れだ。 人の姿でいるのに負担がある訳じゃない。 ただ、一目を集める容姿をしているから、まぁ、人前では厳しいかな」
「だと、人の姿になるのは、人のいないところ? それでは私のモフモフはぁ!」
「TPO関係なくもふってるだろうが」
「いえ、流石に控えますよ……人の姿を見た以上、私、ただの痴女じゃないですか!! 猫買ってくださいよ!! 猫!! この飢えたモフ魂をどうしてくれるんですか!」
「買えと言うなら買うが、ヴァイスは気分よくないだろうな」
苦笑しながら言われればそっぽを向いた。 勢いだけで話をしているだけで、猫がヴァイスの代わりになるなんて思ってはいない。
そして静かにノックが慣らされる。
「あの、入ってもいいでしょうか?」
「オマエの部屋だろうが」
「いえ、ずいぶんと楽しそうに話していたので、お邪魔かなと」
イケメンが妙にオドオドしている。
「ところで、1つ聞きたいんだが」
これは、私に対してではなくヴァイスに向けられたルツの言葉。
「なんでしょうか?」
「オマエ、性欲ってあるの?」
「ななんあななんあなんて事を女性の前で言うんですか?!」
「いや、重要な事だろう。 色々と」
「それは、まぁ……ありますよ……」
「……よく、我慢してきたな」
物凄い複雑な顔でルツが言えば、ヴァイス様が大きな溜息で応じていた。
扉に向かって走り出そうとすれば、素早い動きで前に回られ通せんぼされた。
「ちょ、待って、待って、落ち着いて、私、私です」
前をきっちり掛け合わせずに、両手をブンブンふるから、色々と見えそうで見えなくて、見えても困るから視線を逸らし、壁に縋りついた。
「マイ、マイ、落ち着いてください」
イケメンの姿がグニャリと歪んだかと思えば、白虎の姿となり、はい? となる。 物理法則を無視した現象が……。 いやいや、白虎が消えて人が現れたなら、ヴァイスだと言う可能性は当然考えるべきだっただろう。
廊下では、私の悲鳴にかけつけたルツが扉をドンドンと叩いていた。 御者さんが来なかったのは幸いと言えるだろう。
ガチャガチャと言う鍵が開く音と共に扉が開かれルツが顔を出し、表情を凍り付かせた。
「まさか、マジで襲ったのか?」
「襲ってない!! 順序が大事だと言うから、人間の姿になって……」
そういうヴァイス様を無視して、ルツは部屋の内部を見回し視線が合った私の元へ来る。
「どうした?」
「とつぜんに、全裸のイケメン出てきてビビった」
「OK、ヴァイスやり直しだ。 外で服を着てからこい。 突然に裸で女性の前にでる男は、只の変質者だ」
「ぁ……、ですが、いつも裸ですし……」
「言い訳は必要ない。 自分で考えろ、美女がオマエの布団の中で全裸待機していた」
「……マイなら嬉しい」
「……絶世の美女が、全裸待機していた」
「逃げます」
微妙にムカついたのは、何故だろう……。
「人間だと言っていなかったか?」
「えっと、聞いてはいましたが、両親が人間という意味で、物理法則を無視するなんて考えてなんかいませんよ!」
「ここは魔法がある世界だ。 割り切れ」
「……OK。boss」
「なんか違うが、まぁ、いい……、で」
「で、とは?」
「プロポーズされたんだろう。 ヴァイスのことが嫌いな訳でもあるまい。 どうせ、真っ当な結婚なんて無理な者同士だ。 一緒になったらどうだ? 金も才能もあるから食いっぱぐれない。 浮気の心配もない。 断る理由はないだろう」
「いえ、ですが……あんなイケメンが、自分の上ではぁはぁするんですよ!! 耐えられません!!」
「意味が理解できるような? できないような? とにかく、言い方なんとかしろ」
「……了解。 ヴァイス様のことは好きですが、今まで虎だと思っていたので、突然にイケメンの姿で押したおされても、認識力がついていきません」
「まぁ、そこは時間をかけて慣れろ」
「慣れるほど、人の姿でいて大丈夫なんですか?」
「……いや、人なんだから問題はない。 アレは人嫌い、拒絶の態度の現れだ。 人の姿でいるのに負担がある訳じゃない。 ただ、一目を集める容姿をしているから、まぁ、人前では厳しいかな」
「だと、人の姿になるのは、人のいないところ? それでは私のモフモフはぁ!」
「TPO関係なくもふってるだろうが」
「いえ、流石に控えますよ……人の姿を見た以上、私、ただの痴女じゃないですか!! 猫買ってくださいよ!! 猫!! この飢えたモフ魂をどうしてくれるんですか!」
「買えと言うなら買うが、ヴァイスは気分よくないだろうな」
苦笑しながら言われればそっぽを向いた。 勢いだけで話をしているだけで、猫がヴァイスの代わりになるなんて思ってはいない。
そして静かにノックが慣らされる。
「あの、入ってもいいでしょうか?」
「オマエの部屋だろうが」
「いえ、ずいぶんと楽しそうに話していたので、お邪魔かなと」
イケメンが妙にオドオドしている。
「ところで、1つ聞きたいんだが」
これは、私に対してではなくヴァイスに向けられたルツの言葉。
「なんでしょうか?」
「オマエ、性欲ってあるの?」
「ななんあななんあなんて事を女性の前で言うんですか?!」
「いや、重要な事だろう。 色々と」
「それは、まぁ……ありますよ……」
「……よく、我慢してきたな」
物凄い複雑な顔でルツが言えば、ヴァイス様が大きな溜息で応じていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
679
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる