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22.悪魔公の優先順位
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誓いの契約の翌日。
ファローグ・レイバ辺境伯から、クルト・クヴァンツ公爵の元に魔術通信が送られてきた。 魔術通信には膨大な魔力と、相手の了承、そして通信魔道具が必要となる。 通信魔道具とは使い捨てであるだけでなく、とても高価な品物であり、気安く使えるようなものではない。
レイバ辺境伯は、辺境を守ると言う重要な役目を背負っているからこそ、与えられた魔道具であり私的な事情で使ってよい代物では決してない。
それでも、フラン、フレイの父であるファローグ辺境伯は、フレイの代わりにノエルが送り出されたと知り通信を送ってきたのだ。
無視することもできたが、無視すれば直接来るだけだとクルトは知っていた。 実際にフレイという娘を厄介払いしたいと頼み込んできた時は、本人が直接、何度となくやってきたのだから。
せめて、ノエルが自分でどうしたいかを決めるまでは、守ってやらなくてはいけないだろう。
「手違いが起こった。 娘を返してくれ」
「失礼な言い方だな。 それだとまるで、俺が無理やり奪ったかのような言いようじゃないか」
舌打ちが聞こえた。
情報を開示することなく、穏便に済ませようとしているのだろう。 隠したい内容まで想像できないが、情報を隠そうとするだけの何かがあるからこそ、通信魔道具まで使って連絡してきたことはわかる。
そして、それが自分の言葉一つで台無しにしてしまったのだと思えば、声を出して笑いそうになった。
ファローグ・レイバ辺境伯、そしてクルトの兄である国王陛下は、クルト公爵の数少ない理解者と世間に認識されている。 実際と言えば、力はあるが生きる気力も目的も持たないクルトを当たり前のように利用してきたのだ。
別にソレを不満に思ったことはない。
都合の悪い政敵を殺せと言われれば殺した。 一応、国王陛下である兄はその理由を伝えようとしたが、断れない命令なら何故理由を聞く必要があると言うのだ。
風に木の葉が揺れるように、
水の流れに木の葉が流れるように、
クルトはただ、命じられれば受け入れていた。
それは特に断るほどの理由を感じなかったからというだけの問題であり、相手に敬意を持っているとか、恩義を感じているとかではない。 無気力で無味無臭、そうクルトを知る者が勝手にそう思っていただけなのだ。
だが、今は違う。
守らなければいけない相手がいることが嬉しかった。
逆らおうとする自分が、楽しくて笑えた。
「残念ながら娘は昨晩コチラに到着し、儀式は終えている」
「なんだと!! それがフレイではないと、確認をしなかったのか! それとも確認した上で、息子の婚約者に手を出したのか!! その答えによっては出るところに出させてもらう」
身勝手な言い分にも笑えた。
「断る俺に、儀式をするようにと勧めたのはオマエだろう。 どこの世界に別人を送り込んでくると予想できると言うんだ。 勝手を言うな」
「その娘は、息子の、息子の婚約者だ」
「いいや、俺の妻だ」
「ふざけるな!! 直ぐに迎えに行く!! 待ってろ!!」
ファローグはこの後、憤りのままに一族から双子の存在を抹消すると宣言し、そして王都に向けて旅立ち、フランは自殺未遂を行い、そしてフレイはフランを連れて領地を出たのだった。
ファローグ・レイバ辺境伯から、クルト・クヴァンツ公爵の元に魔術通信が送られてきた。 魔術通信には膨大な魔力と、相手の了承、そして通信魔道具が必要となる。 通信魔道具とは使い捨てであるだけでなく、とても高価な品物であり、気安く使えるようなものではない。
レイバ辺境伯は、辺境を守ると言う重要な役目を背負っているからこそ、与えられた魔道具であり私的な事情で使ってよい代物では決してない。
それでも、フラン、フレイの父であるファローグ辺境伯は、フレイの代わりにノエルが送り出されたと知り通信を送ってきたのだ。
無視することもできたが、無視すれば直接来るだけだとクルトは知っていた。 実際にフレイという娘を厄介払いしたいと頼み込んできた時は、本人が直接、何度となくやってきたのだから。
せめて、ノエルが自分でどうしたいかを決めるまでは、守ってやらなくてはいけないだろう。
「手違いが起こった。 娘を返してくれ」
「失礼な言い方だな。 それだとまるで、俺が無理やり奪ったかのような言いようじゃないか」
舌打ちが聞こえた。
情報を開示することなく、穏便に済ませようとしているのだろう。 隠したい内容まで想像できないが、情報を隠そうとするだけの何かがあるからこそ、通信魔道具まで使って連絡してきたことはわかる。
そして、それが自分の言葉一つで台無しにしてしまったのだと思えば、声を出して笑いそうになった。
ファローグ・レイバ辺境伯、そしてクルトの兄である国王陛下は、クルト公爵の数少ない理解者と世間に認識されている。 実際と言えば、力はあるが生きる気力も目的も持たないクルトを当たり前のように利用してきたのだ。
別にソレを不満に思ったことはない。
都合の悪い政敵を殺せと言われれば殺した。 一応、国王陛下である兄はその理由を伝えようとしたが、断れない命令なら何故理由を聞く必要があると言うのだ。
風に木の葉が揺れるように、
水の流れに木の葉が流れるように、
クルトはただ、命じられれば受け入れていた。
それは特に断るほどの理由を感じなかったからというだけの問題であり、相手に敬意を持っているとか、恩義を感じているとかではない。 無気力で無味無臭、そうクルトを知る者が勝手にそう思っていただけなのだ。
だが、今は違う。
守らなければいけない相手がいることが嬉しかった。
逆らおうとする自分が、楽しくて笑えた。
「残念ながら娘は昨晩コチラに到着し、儀式は終えている」
「なんだと!! それがフレイではないと、確認をしなかったのか! それとも確認した上で、息子の婚約者に手を出したのか!! その答えによっては出るところに出させてもらう」
身勝手な言い分にも笑えた。
「断る俺に、儀式をするようにと勧めたのはオマエだろう。 どこの世界に別人を送り込んでくると予想できると言うんだ。 勝手を言うな」
「その娘は、息子の、息子の婚約者だ」
「いいや、俺の妻だ」
「ふざけるな!! 直ぐに迎えに行く!! 待ってろ!!」
ファローグはこの後、憤りのままに一族から双子の存在を抹消すると宣言し、そして王都に向けて旅立ち、フランは自殺未遂を行い、そしてフレイはフランを連れて領地を出たのだった。
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