化け物と呼ばれた公爵令嬢は愛されている

迷い人

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6章 居場所

55.マーキング

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 ヴェルの空間に戻れば、抱えられたまま風呂へと運ばれる。

「気分じゃないし、考え事に忙しいんだけど?」

「主は、勝手に考え事をしていればいい。 私が洗ってやろう。 今の主は精霊臭くてたまらん」

 失礼な……と思いながら、自分の匂いを嗅いでみたが分からなかった。 別の縄張りに入った獣のような感じなのかな? じっとヴェルを見れば、人のように頬を撫でられる。

「私の匂いで染め上げてしまいたい」

 閨の睦言のような甘い声で、囁かれれば心が震えた。 ダメなのに……今はそんな暇などないのに、必死に心をとどめる。 だけどヴェルは私の気持ちなど知らぬとばかりに、乱暴に口づけてきた。 触れた唇で唇がこじ開けられ舌が入れられる。 口内が舐められ、舌先が絡められ撫でられ擦られる。

「んっ……ふくっ」

 力の入らない手で、服を……彼の力の一部だろう部分に縋りつくように握りしめれば、ゆっくりと唇が離された。 私の濡れた唇の端からは唾液が零れ、ヴェルは赤く明らかに人とは違う長い舌で、私の唾液をぬぐい奪った。

「今は忙しいの!!」

 頬は赤らみ、目は潤んでいると思う……それでも、私は怒ったふりで文句を言う。 まぁ、当然のように相手にされている様子はないのだけど……。

 薄く笑われるだけで、やっぱり私はお風呂場に運ばれ浴室に入ると同時に一瞬で服が消え去った。 一番安全だからと、彼が身にまとう魔力で作り上げた服と同じように、私の服も作りだしたのだから消すことも簡単にできるのだろう。

 彼の力を身にまとうと言うのが、何となく抵抗があったのだけど、自分でやるとゴツゴツの岩のような外皮が服の形をとった挙句、皮膚に密着していた頃より防御力で劣るため使い物にならず、笑いながらヴェルは諦めろと私を着飾ったのだ。

 浴室に入りヴェルは言う。

「さて、洗おうか」

「シーツを洗うかのように言うな」

「まさか、そんな風になど思ってないとも。 我が主よ。 主が望むなら、この手も、口も使う事無く洗って見せるがどうする?」

 洗うのに口ってどういうことよ……。 そっちの方が気になって私は安易に了解してしまった訳だ。

「じゃぁ、それで」

 結論……私は甘かった。



 ぬるりとした赤いリボンのような触手数本がヴェルの影から現れ、石鹸を泡立て始め一瞬のうちに泡に埋もれ……そして私は捕らえられた。

「ちょ」

 腕に足に胴に肩に、身体のあらゆるところに優しく巻きつき身体を浮かせ、身体を洗っていく。 ぬるりとした感触の触手が、石鹸の泡を纏い、身体を滑り、肉を優しく絞るようにマッサージしながら蠢いていく。

「ぁ、っ、ダメ」

 身体の彼方此方が淡い快楽を帯び始めていた。 宙に支えられながら私の身体は快楽に反応してしまう。

「なかなか良い眺めだ」

 湯舟の縁に腰を下ろし、仄かにピンク色に肌を染める私を眺めるヴェルは……薄い笑みを浮かべていた。 身体の彼方此方を容赦なく撫でていく。 背も、脇も、腰も、太腿も、指の間、足の裏、首筋に耳の裏、肌と言う肌全てを撫でては、啄むように触れ、時には意地悪く痛みを与え去っていく。

「うやっ、ぁあ」

 絶頂には全く届かない、じわじわとした快楽に責め立てられ、イケないことが辛くなっていた。 呼吸は荒く短くなり、涙が流れていた。

「ぁ、ああ」

 淡い快楽に身体は、熱を帯び、快楽を示す場所が固く熟れていく。

「ぁあっ、ぁん、んんん」

「どうした主よ。 まさか、触手に身体を洗われ感じている訳などあるまいな。 忙しいからと私の手を拒みながら、触手ごときに快楽を求めようなどとはしていないだろうな」

 声は完全にからかっていて、私は潤んだ瞳で睨んだ。

「わ、私は忙しんだから」

「そうだ、そうだな。 では、頑張るがいい」

 そう言いながらもヴェルは、淡い快楽に焦らされ隆起し固くなった胸の先端を指先で撫でてきた。

「固くなっているようだが?」

 意地悪く摘まみ上げ、擦るように刺激する。

「ぁっあああ」

「こんなものに身体を洗われて、こんなに固くさせるなんて、なんて淫乱な主だ」

 摘まむ指先に力がこめられ、軽くひねられれば、痛みが快楽となり電気が走るかのように私はヒクッと痙攣してしまう。

「んっ、やぁあ」

 息が荒くなるごとに、きっと私の身体からは魔力が漏れ出ているのだろう、触手がソレを楽しむように身体をイヤらしく蠢き始める。

「ぁ、いや、ダメ……。 今は、ダメなの」

「なら、何時だ? 何時ならいい? 何時なら私は許される?」

 胸に触れていた手は下へと降り、期待している自分が嫌だった。 だけど、ヴェルの手が触れた先は太腿で、優しく撫でられるだけ……それでも私は感じていて。

「私の魔力を対価に、父様の状況を教えて!!」

 そう叫んでいた。

 余りにも、身勝手だ……。 それでも、私は耐えられなかった。 絶頂へと導かれず、それでもぬるぬると触れる触手が身体中をまさぐってくると言う状況が。

「なんとも愚かな……だが、私はそんな主も愛している。 未熟で我儘な若木のような主に振り回されるのも悪くはない……。 可愛らしい我が主よ……。 では、頂こうか」

 そんな言葉を合図に、触手は私の両の足を広げさせ、ヴェルの目の前に差し出した。 石鹸の泡は流し落とされ、それでも流れる蜜ばかりは止まることはない。

「ぇ、あ、だめっ!!」

「何を言っている。 可愛らしい中が、味わって欲しいと蜜を溢れさせヒクヒクしているぞ」

 ヴェルは私の両足の間、いやらしく濡れる割れ目に舌を伸ばす。 ヴェルの冷えた体温が熱くなった肉の花弁を分け入り触れれば、それだけで軽く絶頂を迎えしまって、ヴェルは喉の奥で笑いだす。

「ここに、触れて欲しかったのか?」

 ぴちゃりと舐める音が響いた。 肉の花弁に舌を這わせ蜜舐め、熟れた肉の蕾を吸い上げる。 時折愛おしそうに撫でられる太腿までもが、過剰に反応してしまっていた。

「ぁ、ああああ」

「ずいぶんと良い声で鳴く。 心湧き立たせる歌だ、とてもいい。 もっと、私に聞かせてくれ」

 そして、食らいつかんばかりに顔を埋めた。

 私が幾度かの絶頂を迎えるまでは、そう時間はかからず……。 忙しいと言っておきながら、いつの間にか私の意識は閉ざされてしまっていた。
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