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終章
57.その後 04
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健康、寿命、若さ、美貌……ソレは、自分のためであれ家族のためであれ誰もが望むものだろう。 責める事が出来るだろうかと聞かれれば、とても難しい……。 だが、他人の命を犠牲にしてとなれば話は別である。
「コレは人の命そのもの。 ソレを奪った先にある怨嗟……貴方達にはソレが見えないのですか?」
見えない、見たくない。
貴族達の目は随分と都合が良いらしい。
カイルは心の中で舌打ちをする。
他の者が出来なくても、他の者が許されなくても、自分にはその寿命を手にする事が出来る。 そんな思いが手にとるように分かるのだ。 自分には関係ないで済ませるには、カイルは中庸の者と過ごした日々が長かった。
向こうも似たような状況でしょうね。
ナルサスなら、どう怒っているものでしょうか?
そう思えば、少しだけ笑えた。
馬車が来る。
降りて来たのは、皇妃と皇帝。
「何をしているの」
声をかけたのは皇妃の方。
その声は冷ややかで……、それでも甘くねっとりと絡みつくような声をしていた。 グストリア公爵がカイルを見れば、カイルは偽皇帝と視線を合わせたまま一歩下がり、どうぞと言葉に出さず動作で示す。
カイルと偽皇帝は、似た顔と表情で薄く笑いながら睨みあい、貴族達はカイルと偽皇帝の様子に戸惑うが何かを口にする事はなかった。
エリスが、ボソリとどうして? そう呟けば、奥に引っ込んでいるようにと頭を押された。
「危険?」
「いえ、大丈夫ですよ」
小馬鹿にするかのような笑いをカイルは浮かべており、偽皇帝も同じようにカイルを見下し馬鹿にした様子を見せていた。 カイルは偽皇帝から視線を逸らす事なく、グストリア公爵に告げる。
「こちらはお気になさらず」
グストリア公爵は戸惑いつつも予定の言葉を口にした。
「ソナタの罪を、裁きに来た」
「笑える……あはっ、」
皇妃と呼ばれた女は笑っていた。 グストリア公爵に歩み寄り、下からのぞき込むような視線を向け笑う。
「ねぇ、誰が私を裁くと言うの? むしろ、皆が、私を欲しているように見えるわ。 貴方だってそうでしょ? グストリア公爵?」
皇妃は美しい。
例えその身が、怯えながら彼女に報告に行った少年少女の血に濡れていようとも、血に濡れた白いローブを一枚肌に羽織ったまま、化粧一つせずとも美しく、その手がグストリア公爵に差し向けられれば、貴族達は嫉妬の視線を向ける。
ウットリとしたグストリア公爵を見れば、誰が勝者か? いや、勝者と判断されるかエリスにも分かった。
これは失敗なのでは?
エリスはそう考えた。 そう考える事が出来る余裕ある者がいないのが、エリスにとっての恐怖となった。 それでも、救われたのは、ヒューゴが苦々しい表情でカイルの側に控え、皇妃の犠牲者であったはずの2人は威嚇状態となっている事。
カイル、カイルは?
カイル……視線を向けた。 どうするのかと。
カイルの視線は、睨みあう偽皇帝から皇妃へと向けられた。 穏やかな微笑みが浮かべられた。
「カイル?」
「はい」
いつもと変わらぬ声で小さく囁きながら、グストリア公爵に差し出された皇妃の手をカイルが取っていた。
「離しなさい……無礼者が」
不満そうな皇妃の声にカイルは微笑み告げる。
「つれない事を言う。 貴方の夫であった男に対して」
ギョッとした表情が一斉に集まり……そして、カイルは微笑んだまま乱暴に皇妃を包む1枚のローブを奪いとり、その頬に口づけるかのように顔を寄せれた。
「コレは人の命そのもの。 ソレを奪った先にある怨嗟……貴方達にはソレが見えないのですか?」
見えない、見たくない。
貴族達の目は随分と都合が良いらしい。
カイルは心の中で舌打ちをする。
他の者が出来なくても、他の者が許されなくても、自分にはその寿命を手にする事が出来る。 そんな思いが手にとるように分かるのだ。 自分には関係ないで済ませるには、カイルは中庸の者と過ごした日々が長かった。
向こうも似たような状況でしょうね。
ナルサスなら、どう怒っているものでしょうか?
そう思えば、少しだけ笑えた。
馬車が来る。
降りて来たのは、皇妃と皇帝。
「何をしているの」
声をかけたのは皇妃の方。
その声は冷ややかで……、それでも甘くねっとりと絡みつくような声をしていた。 グストリア公爵がカイルを見れば、カイルは偽皇帝と視線を合わせたまま一歩下がり、どうぞと言葉に出さず動作で示す。
カイルと偽皇帝は、似た顔と表情で薄く笑いながら睨みあい、貴族達はカイルと偽皇帝の様子に戸惑うが何かを口にする事はなかった。
エリスが、ボソリとどうして? そう呟けば、奥に引っ込んでいるようにと頭を押された。
「危険?」
「いえ、大丈夫ですよ」
小馬鹿にするかのような笑いをカイルは浮かべており、偽皇帝も同じようにカイルを見下し馬鹿にした様子を見せていた。 カイルは偽皇帝から視線を逸らす事なく、グストリア公爵に告げる。
「こちらはお気になさらず」
グストリア公爵は戸惑いつつも予定の言葉を口にした。
「ソナタの罪を、裁きに来た」
「笑える……あはっ、」
皇妃と呼ばれた女は笑っていた。 グストリア公爵に歩み寄り、下からのぞき込むような視線を向け笑う。
「ねぇ、誰が私を裁くと言うの? むしろ、皆が、私を欲しているように見えるわ。 貴方だってそうでしょ? グストリア公爵?」
皇妃は美しい。
例えその身が、怯えながら彼女に報告に行った少年少女の血に濡れていようとも、血に濡れた白いローブを一枚肌に羽織ったまま、化粧一つせずとも美しく、その手がグストリア公爵に差し向けられれば、貴族達は嫉妬の視線を向ける。
ウットリとしたグストリア公爵を見れば、誰が勝者か? いや、勝者と判断されるかエリスにも分かった。
これは失敗なのでは?
エリスはそう考えた。 そう考える事が出来る余裕ある者がいないのが、エリスにとっての恐怖となった。 それでも、救われたのは、ヒューゴが苦々しい表情でカイルの側に控え、皇妃の犠牲者であったはずの2人は威嚇状態となっている事。
カイル、カイルは?
カイル……視線を向けた。 どうするのかと。
カイルの視線は、睨みあう偽皇帝から皇妃へと向けられた。 穏やかな微笑みが浮かべられた。
「カイル?」
「はい」
いつもと変わらぬ声で小さく囁きながら、グストリア公爵に差し出された皇妃の手をカイルが取っていた。
「離しなさい……無礼者が」
不満そうな皇妃の声にカイルは微笑み告げる。
「つれない事を言う。 貴方の夫であった男に対して」
ギョッとした表情が一斉に集まり……そして、カイルは微笑んだまま乱暴に皇妃を包む1枚のローブを奪いとり、その頬に口づけるかのように顔を寄せれた。
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