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婚約
14.良い子にはご褒美を、悪い子には罰を 02
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豊穣祭と呼ばれる儀式(?)から帰宅してから、私は再び徹底して病を演じる事を決めた。
「王宮からの招きには応じません!! 絶対! 絶対! 絶対にいやぁあああああ!!」
ジャック、使用人の人達も、何も聞かずに風呂の準備をし、着替えを手伝ってくれ、私は布団の中にもぐりこんだ。
「せっかく可愛らしかったのに、もっとゆっくりと拝見したかったものです」
「だって慣れない恰好で疲れたんだもの」
「お疲れでしたね。 良く頑張りました。 飲み物でも準備させましょう」
「ぁ、うん……」
何か食べたいと言おうとすれば、赤い血の海で踊る人達を思い出し、吐きそうになった。
「お嬢様、大丈夫ですか? 医師を呼びましょうか?」
そう聞いたのはジャック。
「そういうので……はないの……ちょっと、気分の悪い出来事があっただけ」
病人を言い訳に王宮からの招きを避けるなら、徹底的に病人を演じるべきだろう。 でも医師を頼れば金がかかる。 それはディック様の負担となると思えば、私は首を横に振った。
「お嬢様は、旦那様にもう少し我儘で良いのではありませんか? あぁ言う可愛らしい服を着て甘えれば、旦那様もきっとお喜びになりますよ」
「公爵様のお金を、無駄遣いしたくない……」
ボソリと言えば苦笑された。
「それに関しては公爵様にも責任があると思いますよ」
「それは、そうですが……割と世間の男性など送られてきた請求書を見て小切手を発行するだけですよ」
これ以上面倒をかけるつもりはない。 もしかして、私が何時までも屋敷に居座っているから帰ってこないのかもしれないし……。 実は、もう陛下の呪いは解けていた事を知っていて呆れたのかもしれない。
「我儘なんて、言えないよ。 でも……」
「どうかなさいましたか?」
公爵様にドレスを送る相手がいたのかと聞きたかったが、聞かなかった。 滅多に会えない相手だ……私はディック様を理想で固めようと考えていた。
不毛なのだと知りながら。
侍女達は世間の噂である贅沢な売れっ子娼婦の娘と言うのを信じていて、だから私の言葉をあっさりと納得してくれた。 微妙な気分ではあるけれど、都合が良い。
私はどうなるのだろう?
陛下は魔法薬師を殲滅したと聞いている。 なら、魔法は隠して領地の繁栄を伝えなければいけない。 どうしよう……どうすればいい? 下手をすれば、機嫌を損ねれば、私も……あんな風に……。
踊り続け、床が血に染まる様子を思い出せば気持ちが悪くなった。
「助けて……どうすればいいか分からないよ……」
「お嬢様何か?」
私は布団の中で大きく首を振った。
怖い……怖いけど、あの人がディック様に命令を下しているなら、私は何処かで妥協しなければならない。 ディック様に帰って来てもらうために……。
そう思う反面……私は逃げたかった。
何もかも捨てて逃げたかった。
どう妥協なんて、
私は、布団にもぐりこみ、丸く寝床を作るようになりながら眠りについた。
翌朝、王宮からの招きは無かったが、王宮から殿下がやってきた。
「食事を食べないと、身体がもちませんよ。 とりあえず甘い物でもどうですか? お茶でもお入れしましょう」
と言うのは、何時もの渋い声ではなく若い青年の声。 どこか、昔のディック様と似ている。
知りたくない知りたくない知りたくない……と、ベッドの中に籠っていれば上掛けごと抱えあげられた。
「やぁ、酷い顔ですね」
「余計なお世話です」
「冷たいなぁ~。 見舞いに来た婚約者に対して」
「業務契約上の婚約でしょ」
「私は、リーリヤの事を好きですよ。 可愛らしいですし」
そう言えばベッドの上に座るような姿勢で降ろされた。
「別にそんな事はどうでもいいです」
「おや、冷たいですねぇ……。 とりあえず菓子を食べましょうか? フルーツもありますよ」
「寝巻姿を見られたくないと言う女心は理解できませんか?」
「役得です!!」
親指を立てられたから、親指をつかんでグキッとした。 ケガをしない程度に。
「いたたたたっ、酷いですねぇ。 でも、好きでもない男に見られてもどうってことないでしょう。 それとも、少しは私の事を好きになってくださいますか?」
ちょっと面倒になって、ベッドの縁に座る殿下に手を伸ばして見せた。
「なんですか?」
顔が寄せられれば、その頬を摘まんでみる。
「えっと?」
「どれぐらいで、怒るかなって……限界点を調べてる」
言えば笑われた。
「私が、貴方に怒る等ありえませんよ。 私は貴方の奴隷だと言ったでしょう?」
「だから、そういうのは嫌い」
殿下は私の言葉に応えることなく、微笑みで誤魔化した。
「怒らない?」
「怒りません」
「陛下は、私も虐める? それとも利用価値があると思っている限りは怒らない?」
「望むものを陛下に提供する限りは、陛下は貴方の望みをかなえようとするでしょう」
答えにならない答えだなと思った。
憂鬱……だと俯いていれば、土産の菓子やフルーツがテーブルに並べられ、殿下はお茶を入れだす。
「殿下は、自身を褒美とされることに不満はないんですか? そんなの普通じゃない」
「……私は、貴方の事が好きですから」
「適当言わないで!!」
「本気ですよ」
そう言いながら、寝起きでわしゃわしゃになっている髪を撫でられ、余計にわしゃわしゃにされた。
「いやぁあああ。 やめてよ」
騒げば笑われ、私は拗ねて見せる。
好きじゃない。
私が好きなのは、王子様は王子様でも、ディック様だ。
「髪、梳いてあげましょう」
「ぐしゃぐしゃにしておいて……」
「ぐしゃぐしゃにしたからですよ」
そんな他愛ない会話が続き、そして殿下はお茶どころか夕食も一緒にして帰って行った。
そして翌日も、翌々日も、その次の日も訪れ他愛ない会話を続けた。
「いいの?」
「王宮からの招きには応じません!! 絶対! 絶対! 絶対にいやぁあああああ!!」
ジャック、使用人の人達も、何も聞かずに風呂の準備をし、着替えを手伝ってくれ、私は布団の中にもぐりこんだ。
「せっかく可愛らしかったのに、もっとゆっくりと拝見したかったものです」
「だって慣れない恰好で疲れたんだもの」
「お疲れでしたね。 良く頑張りました。 飲み物でも準備させましょう」
「ぁ、うん……」
何か食べたいと言おうとすれば、赤い血の海で踊る人達を思い出し、吐きそうになった。
「お嬢様、大丈夫ですか? 医師を呼びましょうか?」
そう聞いたのはジャック。
「そういうので……はないの……ちょっと、気分の悪い出来事があっただけ」
病人を言い訳に王宮からの招きを避けるなら、徹底的に病人を演じるべきだろう。 でも医師を頼れば金がかかる。 それはディック様の負担となると思えば、私は首を横に振った。
「お嬢様は、旦那様にもう少し我儘で良いのではありませんか? あぁ言う可愛らしい服を着て甘えれば、旦那様もきっとお喜びになりますよ」
「公爵様のお金を、無駄遣いしたくない……」
ボソリと言えば苦笑された。
「それに関しては公爵様にも責任があると思いますよ」
「それは、そうですが……割と世間の男性など送られてきた請求書を見て小切手を発行するだけですよ」
これ以上面倒をかけるつもりはない。 もしかして、私が何時までも屋敷に居座っているから帰ってこないのかもしれないし……。 実は、もう陛下の呪いは解けていた事を知っていて呆れたのかもしれない。
「我儘なんて、言えないよ。 でも……」
「どうかなさいましたか?」
公爵様にドレスを送る相手がいたのかと聞きたかったが、聞かなかった。 滅多に会えない相手だ……私はディック様を理想で固めようと考えていた。
不毛なのだと知りながら。
侍女達は世間の噂である贅沢な売れっ子娼婦の娘と言うのを信じていて、だから私の言葉をあっさりと納得してくれた。 微妙な気分ではあるけれど、都合が良い。
私はどうなるのだろう?
陛下は魔法薬師を殲滅したと聞いている。 なら、魔法は隠して領地の繁栄を伝えなければいけない。 どうしよう……どうすればいい? 下手をすれば、機嫌を損ねれば、私も……あんな風に……。
踊り続け、床が血に染まる様子を思い出せば気持ちが悪くなった。
「助けて……どうすればいいか分からないよ……」
「お嬢様何か?」
私は布団の中で大きく首を振った。
怖い……怖いけど、あの人がディック様に命令を下しているなら、私は何処かで妥協しなければならない。 ディック様に帰って来てもらうために……。
そう思う反面……私は逃げたかった。
何もかも捨てて逃げたかった。
どう妥協なんて、
私は、布団にもぐりこみ、丸く寝床を作るようになりながら眠りについた。
翌朝、王宮からの招きは無かったが、王宮から殿下がやってきた。
「食事を食べないと、身体がもちませんよ。 とりあえず甘い物でもどうですか? お茶でもお入れしましょう」
と言うのは、何時もの渋い声ではなく若い青年の声。 どこか、昔のディック様と似ている。
知りたくない知りたくない知りたくない……と、ベッドの中に籠っていれば上掛けごと抱えあげられた。
「やぁ、酷い顔ですね」
「余計なお世話です」
「冷たいなぁ~。 見舞いに来た婚約者に対して」
「業務契約上の婚約でしょ」
「私は、リーリヤの事を好きですよ。 可愛らしいですし」
そう言えばベッドの上に座るような姿勢で降ろされた。
「別にそんな事はどうでもいいです」
「おや、冷たいですねぇ……。 とりあえず菓子を食べましょうか? フルーツもありますよ」
「寝巻姿を見られたくないと言う女心は理解できませんか?」
「役得です!!」
親指を立てられたから、親指をつかんでグキッとした。 ケガをしない程度に。
「いたたたたっ、酷いですねぇ。 でも、好きでもない男に見られてもどうってことないでしょう。 それとも、少しは私の事を好きになってくださいますか?」
ちょっと面倒になって、ベッドの縁に座る殿下に手を伸ばして見せた。
「なんですか?」
顔が寄せられれば、その頬を摘まんでみる。
「えっと?」
「どれぐらいで、怒るかなって……限界点を調べてる」
言えば笑われた。
「私が、貴方に怒る等ありえませんよ。 私は貴方の奴隷だと言ったでしょう?」
「だから、そういうのは嫌い」
殿下は私の言葉に応えることなく、微笑みで誤魔化した。
「怒らない?」
「怒りません」
「陛下は、私も虐める? それとも利用価値があると思っている限りは怒らない?」
「望むものを陛下に提供する限りは、陛下は貴方の望みをかなえようとするでしょう」
答えにならない答えだなと思った。
憂鬱……だと俯いていれば、土産の菓子やフルーツがテーブルに並べられ、殿下はお茶を入れだす。
「殿下は、自身を褒美とされることに不満はないんですか? そんなの普通じゃない」
「……私は、貴方の事が好きですから」
「適当言わないで!!」
「本気ですよ」
そう言いながら、寝起きでわしゃわしゃになっている髪を撫でられ、余計にわしゃわしゃにされた。
「いやぁあああ。 やめてよ」
騒げば笑われ、私は拗ねて見せる。
好きじゃない。
私が好きなのは、王子様は王子様でも、ディック様だ。
「髪、梳いてあげましょう」
「ぐしゃぐしゃにしておいて……」
「ぐしゃぐしゃにしたからですよ」
そんな他愛ない会話が続き、そして殿下はお茶どころか夕食も一緒にして帰って行った。
そして翌日も、翌々日も、その次の日も訪れ他愛ない会話を続けた。
「いいの?」
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