【R18】薬師の魔女は、愛する公爵の愛を信じられない【完結】

迷い人

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19.魔法薬 01

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 王妃様とのお茶会の後の会議。
 
 今年16歳になる私の知識は限りなく偏っている事は私自身知っている。

私は王都とオークランス領以外は知らない。 王都と領地の往復の時に通ったくらい。 だから、その土地がどのような状態であるか? なんて気にしたことはなかった。

私の視野は限りなく狭いからね。

当然ながら、国家的事業として各分野の専門家がグループを組み、国民の生活レベルを回復させるために多くの人が尽力している事実なんて知るはずも無い。

そして、今日参加した会議と言うのが、各分野の報告、質問、検討を行い、エキサイトと共に怒号しあうものらしく、当然混ざる事は出来ず、混ざりたくもない。

「うわぁ……」

 呆れ交じりに言えば、

「今日は見学と言う事で、何をしているのかを知ってもらうのが目的ですから」

 そう言った殿下は、陛下よりも年上の人達が子供のように喧嘩する様子にドン引きする私の手をとり、ポンポンと触れて意識を自分へと向けさせた。





「今まで、魔力が含まれなかった薬草を加工し1トン当たり600万だったものが、既に魔力を含んでいるのに何故50万にしかなっていないとはどういうことですか!! 去年よりも価格が下がっていますよね? これなら自家消費に回させた方がマシじゃないか!!」

 攻めるのは経理課の人、受けるのは経済外交化課。

「ボケが進んだのか? 方向性をもって魔力加工がされる場合と、ただ魔力を帯びているのでは意味が違うんですよ。 同じだけの収入を得たいなら、生産量を増やすべきです」

 魔法課が攻めて、受けるのは土地改良課。

「そんな事よりも、自家消費にした場合の試算は検討されているのですか!!」

 そして土地改良課は、経理課へと話を流す。

「魔力を帯びている動植物と共に生きていくための、生活モデル作成の指示は今作成中です。 もうしばらくお待ちください」

「は~ははははっは、低俗な蛮族め。 検討に出すまでの材料も無いのか?!」



 そう叫んだのは……誰? ってことで、私は殿下の方へと視線を向けた。

「レックス国。 王妃様の甥にあたる方です」

「へぇ……」

 何アレ的に思っていれば視線があって、思わず殿下の後ろに隠れた。



 陛下の側で見たことのある人が、微笑みと共に殿下の従兄に尋ねた。

「それよりもレックスの王宮魔法士の方々は、何か良い案等ございませんか?」

「魔法技術も無い低能な者達が、俺達を分かるのは理解できるが……俺達には、情報を提供するだけの利益が無い。 言い方は気を付けた方がいいのではないかな?」

 私は殿下へとチラリと視線を向ければ、耳元に唇を寄せられ説明王家る。

「母上の生国レックスから王宮魔法士を借りたら付いてきてしまったんです。 色々と資金援助を受けている都合上、人選に文句も言えませんからねぇ~」

「今まで、何も解決できないの?」

「そこの小娘!! 勘違いしてもらっては困る。 ノッカラの王は自らの無能を我が祖父に知られたくないからと、今年に入るまでこの重大な過失を秘密にしていたのだ!! 散々資金援助を受けておいて!! 5年もの間、生産的な考え1つ提示できない者と一緒にするな!!」

「ってことは、最近?」

「そうです。 魔力脈に干渉した魔法使いの捕獲を命じたのも彼等ですよ。 魔力的影響を戻すには、魔力脈への干渉術式がある方が良いからと」

 魔法士は3人。 年齢は60代、40代、20代と言うところだろうか? 若い魔法士と視線があい、馬鹿にしたように笑う20代の魔法士……殿下の従兄に私は舌をだしてみせた。

「こらこら」

 殿下が笑い私をたしなめる。



 年配の魔法士はこう告げる。

「私どもの見解は既にお伝え済です。 魔力脈への干渉術式を調べてくる事の重要性は既に伝えたハズですよ。 ところで、今日は客人が多いようですが? 私達は、道楽のために若い娘さんの見世物になるつもりはないのですが?」

「叔母上がこれほど酷い国に嫁いでいたとは……。 これは解決を求めるよりも、叔母上を連れ戻した方が良いのではありませんか? 5年の間、無力にも子供の喧嘩のような言い合いだけを続けるしかできない者が、国を預かっているとは……。 ねぇ。 まぁ、次の王も期待できそうにないがな」

 自国を馬鹿にされれば、イラっとする。 それは、私のような子供以外であっても同じなのだろう。 魔法士達へと向けられる視線がきつくなり、言葉の無い争いがそこにはあった。

 私は、殿下の袖を引っ張る。

「どうしました?」

「耳」

 はいはいと言葉にせずに私の口元に耳を寄せてくる。 私が求めたのは、魔法士達の調査内容があるなら見たいと言うこと。 魔力的視点と言うやつ? 殿下は無言のまま頷き、そして、睨みあい停止しあう大人達の間を抜けテーブルの上の紙の綴りを手に取り私に見せてくれた。

「ヴァルナ殿下。 我が王の孫とは言え勝手は止めていただきたいのですが?」

「従兄殿は偏狭であらせられる。 それとも、可愛い私の婚約者に嫉妬しているのですか?」

 そんな事を言いながら、殿下はひっそりと私に書類を渡してきて、この場の退屈すぎる喧嘩を引き受けるかのように一歩前に出た。
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