【R18】薬師の魔女は、愛する公爵の愛を信じられない【完結】

迷い人

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18.王家は色々面倒臭い 03

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「ぇ?」

 私の質問の返事としては明らかにオカシイ反応を殿下はした。

「ぇ? って?」

 私は聞き返す訳だ。

「いえ、リーリヤは叔父上の事を余り良く思っていないのかと思っていましたから」

 言われて、あぁ……と思った。 自分の言動が、どう思われるか? 私の行動がディック様にどう影響を及ぼすか、迷惑にならないか、それを考えない日は……時々しかない……。

 私のせいで、迷惑をかけたくない。
 私のせいで、評判を落としたくない。

 そう言う意味では、娼婦の娘と思われているのは本当に都合が良かった。 ディック様のお金を使う事無く、貴族らしい行動をしなくても、大抵は私の生まれが悪いからで収まる。 全てが私に問題があるからで収まるから。

 でも、そういう風に思われてしまうのか……。
 それは、なんだか嫌だなと思った。

「殿下は、公爵様を叔父上と呼ぶのに、今日は王妃、陛下と、ご両親を呼ぶのはどうして?」

 私は質問に質問を重ねる事で、先の会話を無かった事にしようとした。 でも、許されなかった。

「なぜ、リーリヤは、公爵様と呼ぶのですか? 父様や、父上等ではなく」

 じっと見つめられる視線は、そらされる様子はない。 だから私は溜息交じりに言うのだ……また、ディック様を嫌っているだろうと思われても不思議ではない言葉を。

 この言葉を聞いたら、ディック様はどう思うのだろうか? 傷つくのだろうか? 喜ぶのだろうか?

「公爵様を父親だと思っていないから……」

「そうですか。 私はですね。 王妃の感情的で暴走的、自分が正しいと我を通す所を迷惑だと考えているのですよ。迷惑で嫌いなんですよ。 なので、息子として語りたくはありません。 ただ、それだけの事です」

 殿下はニッコリと笑いながら、声を潜め言葉を続ける。

「これは2人だけの秘密ですよ」

 殿下は、王妃様の機嫌を取るのにちょうど良いからと、料理長に作らせたリンゴのミルフィーユケーキをフォークで切り分けて私の口へと運んでくる。

 口にすれば、カラメルの苦さ、リンゴの酸味、砂糖の甘さが口の中に広がり、そのケーキが殿下と似ている……そんな気がした。

「それで、公爵様は? 何処にいるの? どうして帰ってこないの?」

 私は、フォークを武器のように殿下に向けニッコリと笑って見せた。

「教えて」

「仕事ですよ。 東方との戦争は先月の初めに交渉段階に入り、同時に叔父上は別の命令が与えられました。 ただ、叔父上は戦場の要です。 そこにいなくても、いるとしなければ、交渉に影響が出ます。 なので叔父上は東方にいると偽り、次の任務に就いて頂いているのです」

「私、そんな事知らない」

 拗ねたように言えば、

「すみません。 今は東方にいると思わせておく必要があるので大半の人には秘密でしたから。 それに、叔父上他数名にお願いしたのは、5年前、各地の魔力脈に手を加えた魔導師達……の裏にいた者の捕獲で隠密性を必要とします。 リーリヤは、その寂しいのですか?」

「……寂しくなんかないもの。 ただ、変な事ばかりが続くから不安なだけ。 私は、貴族になり切れないから」

「変な事ですか」

 くすっと殿下は笑い、食事の席を立ちお茶を入れる。

「面倒な願い……だからこそ、叔父上でなければ出来ないのです。 寂しい思いをさせ申し訳ありません。 ですが、直ぐに、戻ってきますよ。 叔父上は強い方ですから」



 王妃様とのお茶会は穏便に終わった……のだと思う。 お母さまと小さな子のように謝罪すれば、割と簡単に許してくれた。 まぁ、私は悪くないけど!!

 その後は、職人を呼んでドレスや靴、装飾品も揃えないと。 なんて、ワクワクした様子でご機嫌に言われたのだけど……嫌で……嫌を表に出せば、また怒らせるのかと思い困っていたら殿下が助けてくれた。

「愛する人を着飾る特権は、私のものですよ。 母上」

 ちなみに王妃様の贅沢は、王妃様のご実家である国から送られてくる支援金から賄われているのだそうだ。 大国のお姫様なんだって。 貴族界隈では知っていて当然の事なため、わざわざ私が聞かされることがなかったらしい。

 王妃様は陛下に一目惚れをし、莫大な資産と共に嫁いできたのだと言う。 なので、この国では、王妃様の発言権はかなり大きい。 大きいが陛下に惚れているために、破綻することなく今に至っているのだそうだ。



 なかなか、面倒なお話だね。
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