【R18】薬師の魔女は、愛する公爵の愛を信じられない【完結】

迷い人

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21.接触事故 01

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「じゃ、実験はまた今度!! なんか疲れちゃったし!!」

 と、帰ろうとしたが……。
 囲まれて、追い込まれて、連れ去られた。

 大人達に。

 丁度良い実験場になりそうな領地まで、各課の責任者を伴い行くらしい。 突然に押しかけられるだろう領主に同情せざるを得ない。 なんて思いつつも、私は馬車の中で暴れていた。

「と、突然に外泊って!! 破廉恥です!! 殿下!!」

「なっ、小娘!! お前……結婚もまだな癖に何を考えているんだ!! いやらしい奴め。 やはり娼婦の娘だけあるな!!」

「従兄殿は黙ってください。 ややこしくなりますから。 リーリヤ、破廉恥な事はしませんから安心してください」

「そ、それに急な外泊なんて、うちの者が心配します!!」

「連絡は入れてあるので大丈夫です。 例え、叔父上が帰って来ても、合流できるように伝えてありますから問題ありません」

「それに、お泊りセットもありません」

「今では入手不可能な、魔法薬師が作ったシャンプー、リンスもあります。 パジャマもカワイイ物を準備しましたから、楽しみにしてください」

「あまりに用意周到過ぎて怖い……」

「嫌だなぁ、怖くありませんよ。 母上からも念を押されていますからね。 安心してください」

 何を念押しされたかと言えば、ようするに殿下との間に子供を作る事は許しませんって奴。 王妃様は、

『別に貴方が悪い訳ではないの……この子には少し事情があって、だからね。 お願いだから、子供を作るようなことはしちゃだめよ。 それ以外の事なら、私が出来る事ならどんなお願いも聞いてあげるから!!』

 婚約と言う状況そのものが納得している訳ではないから良いのだけど……。

「小娘!! 人の話を聞いているのか!!」

「大きな声出さなくても聞こえてますよ……」

「ふん、聞こえているならすぐに返事をしろ!! でだ、さっき言っていた魔力移動の術式の話だが」

「いえ、無料で教える訳には……魔法使いの術式は財産ですよ? この国は貧乏なんですから」

「既に莫大な支援をしているんだが?」

 ぎろりと、人相の悪い目で睨まれて私はヒョッって感じで恐怖に小さくなるわけだ。

 声高に脅すように言われれば、魔法王子を無視して私は殿下の袖をつかんで怖いと言うそぶりをして見せる。 怖くないけど……ある意味すっごく怖い……。

「……殿下も王妃様もお願いごとを聞いてくれるって言うのに、口先ばかりだ……」

 私は拗ねて見せる。

「わ、分かった願いごとを聞こう」

 大体予測はしているらしく、私は殿下の肩につかまりバランス悪い馬車の中で、立ち上がりその耳元でボソボソと願う。

「あの怒ってばかりの人を黙らせて」

「ですよねぇ~。 少しばかり協力をしていただけると助かるのですが」

「国家間問題に巻き込まれない事でした、ぁっ……」

 グラリと大きく揺れた馬車は、私の足元をぐらつかせ……そして倒れそうになる私を殿下が支えてくれて、ケガをする事は無かった。

「ど、どうしよう」

 子供を作るようなことはしてはいけないって言われていたのに……!! 陛下のお仕置きも、王妃様の呪い部隊も嫌だ!! いや……魔力的には何とかできそうだけど、2人ともなんか怖いから嫌だ。 そして目の前の人も怖いから嫌だ。

「何してんだ!! 節操なしの娼婦が!!」

 魔法王子の怒鳴り声が耳に痛い……私は凍り付いたように停止する。

「ぇっと、ものすごい顔になっているけどどうしたのですか?」

 と尋ねる殿下と、私の顔色を見ておろおろし始める魔法王子。

「ぉ、おい、大丈夫か?」

 殿下だけでなく魔法王子にまで心配される始末である。

「子供作るようなことをしちゃいけないって言われたのに……」

 たぶん私の顔はすごく情けない顔だったと思う。 別に子供を作るのが嫌な訳じゃない……だから、ディック様相手には自分から積極的にキスをしたし……。 でも、殿下にキスをしてしまっては、生まれてくる子はどちらの子か分からなくなるし、必要のない不況を陛下と王妃様から買う事になる。

「……ぇ?」

 殿下が頓狂な顔をしていた。

「ぁ、アレだ。 ほら、さ、さっき、受け止めた時、お前、き、きき、接触事故を起こしたじゃないか、アレを突き詰めれば、その、あの、まぁ、子供が出来るだろう!!」

 うんうんと私が魔法王子の言葉に大きくうなずいた。

「……」

 殿下の顔がなんか凄い事になっている気がするが、私の気のせいだろうか? ちらりと魔法王子の顔を見れば、

「ま、まぁ、そのなんだ……。 アレはただの接触事故だ。 たぶん、ぎりセーフだ。 気にする必要はあるまい……俺も見なかったことにする」

 と、凄く良い顔で慰められ、私はホッとしたのだった。
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