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19.祖母はツンデレ。
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そんな会話をしているうちに時間は過ぎ、礼儀作法の訓練が行われる事となりました。
祖母は、私を嬉々として叱りつけ、爽やかな気分と、孤独からの開放に、とても素敵な魔力の音色を奏でます。 そして、ソレをニヤニヤと見ながら満足感に満たされる侍女達。
人が𠮟られる様子を喜んでみているなんて、真っ当な使用人は居ないと言うことなのでしょうか? きっとそうなのでしょうね。 皆がそうだったら、絶望的ですわ。
溜息をつけば、
「人前で溜息をつくのは、失礼な行為ですよ。 フィーアさん!」
祖母が威嚇するようにペシペシと馬用の鞭でテーブルを叩く音が響いた。
「申し訳ございません」
「まったく、このような常識すら知らないなんて、魔術師が悪く言われるのも仕方のない事ですわ」
個人主義なんで……という言い訳を私は飲み込んだ。
「申し訳ございません」
嫌味を言われ、頭を下げ謝罪を述べる。 魔術師全体への侮辱を行われたのだと気づいてはいましたが、実際、魔術師ってそういうところがあるので、反論することが出来ずソレこそ溜息しかでてこないのですが、慌てて飲み込めば、ジロリと祖母が私を睨みつける。
「申し訳、ございません」
同じ事を繰り返す機会人形のように私は語り、頭を下げる。 自分に頭を下げる私と言う存在に孤独が癒されていく祖母は、満足、安堵、歓喜で心を満たし、美しい音色を魔力が高らかと奏でていた。
それは、本当に嬉しそうにしていた。
それほどまで躾をしたいのであれば、使用人相手にすればいいと思うのですが、使用人は側にいても見向きもしない。 祖母にとってみれば、使用人は叱る意味もないのか? それとも、私の分からない何かが存在するのでしょうか?
とは言え、老人のわりに張り切りすぎ、余計な説教と動きが多くなるほど、長い礼儀作法の訓練も続かないと言うのです。 そして、30分に1度休憩が取られ、お茶と街で購入してきたらしい小さな焼き菓子や、季節の果物が振る舞われます。
「これは、私が準備したものですから」
念を押すように祖母が言い、私は下手くそな笑みを造る。
「お茶を、お入れ致しましょうか?」
「お茶ぐらいはまともに入れる事が出来るのでしょうね」
幼い頃目の前の祖母自身が幾度となく茶を淹れ菓子をくれたのを覚えています。 それに、最近では出張治療先の貴族屋敷で、幾度かお茶をご馳走になっていますのでそれなりに出来る筈です。 私は沈黙のまま頷いて見せ、どこからともなくお茶のセットを出現させ、テーブルへと並べたのですが……、大きな声が威圧するかのように投げかけられた。
「人殺しの魔術師が、大奥様にお茶を淹れるなんて危険なこと、許されるはずありません!!」
そう言って、テーブルの上のカップを薙ぎ払おうとした侍女がおりましたが、彼女はテーブルに手を触れることもできず、空気の壁に阻まれ少々突き指をなさったらしく、叫び声が響き渡りました。
祖母は正面を見据え私に尋ねる。
「フィーアさん、何をしたんですか?」
「コレは良い茶器なので、守りました」
「そう、そこまでして守るお茶であれば、きっと美味しいのでしょうね。 楽しみですわ」
「大奥様、そのようなアヤシイ飲み物を飲まないでくださいませ。 お茶なら私共が準備いたします。 大奥様もご覧になったでしょう。 そのものはアヤシイ術を使うんです。 気を許すべきではありません」
「なぜ、使用人ごときが私に意見をするのだと思いますか? フィーアさん?」
私に聞くのですか?
これは、私に対処しろと言っているのですか?
これも、授業の一つですか?
私は侍女へと視線を向けます。
「大量虐殺の魔術師と私を呼びながら危害を加えようとする、危険知らずな方々。 きっと、自分の立場を上手く理解できない方なのでしょう。 ねぇ、アナタ、あぁ、違いますわね……アナタ達。 もう少し、命をお大事になさった方が宜しいのではございませんか?」
使用人相手に忠告をすれば、祖母が叱ります。
「もう少し美しい言葉を選んでおつかいなさい」
そう言いますが、祖母様もお叱りの時は相当品が無いですよ? とは流石に言えません。
「申し訳ございません。 ですが、もう少し牽制をさせていただけますか?」
「お好きになさい。 使用人に舐められるようでは、公爵家に嫁いだとしても上手くやっていけるはずはありませんからね」
祖母の言葉に、侍女達は恐怖を覚えたようでした。
恐怖、寒い、不安、困惑、味方だと思っていた相手の反乱。 そのような魔力の音が鬱陶しいほどにかき鳴らされ、私は魔力の耳の制度を少しばかり落とす必要があったほどです。
「このお屋敷を支えているのは祖母様だとお伺い致しました。 もし祖母様が亡くなれば、アナタ達は職を失う事になります。 いくら私に悪意を持っており罠に嵌めたいと考えていたとしても、先々の状況を考える事をお忘れなきようご注意なさいませ。 祖母様に手を出すようなことがあっては本当に許しませんよ。
「私共が、大奥様に危害を加えると!!」
「そんなことをする訳ないじゃないですか!!」
「馬鹿げた事をおっしゃらないで頂戴!!」
必死の叫びでした。
「では、なぜフリーダ様があのような状態に? あぁなるまで、かなりの日数が薬の量が必要だったはずですわ。 あぁなるまで、どうして放置しておりましたの」
音が激しくかき鳴らされる中、私は祖母のためにお茶を淹れており、祖母はその所作を黙って見つめておりました。
「お茶を淹れる姿だけは上手なようですわね」
「ありがとうございます。 祖母様、ミルクと砂糖はどうなさいますか?」
「今日は、そのまま頂きましょう」
そんなこんなで、1日を終えるのですが、昼食時にも食事にはなんらかの薬が混ぜられているようで、私は食事を魔術的空間にしまい込み、勝手にお茶を淹れ、食事替わりとしました。
祖母もエミリー様も、食事を食べなければ身体に悪いとおっしゃられ、使用人を信用しているのか、それともアヤシイ薬で私を苦しめようとしているのか? 悩ましいところでした。
祖母は、私を嬉々として叱りつけ、爽やかな気分と、孤独からの開放に、とても素敵な魔力の音色を奏でます。 そして、ソレをニヤニヤと見ながら満足感に満たされる侍女達。
人が𠮟られる様子を喜んでみているなんて、真っ当な使用人は居ないと言うことなのでしょうか? きっとそうなのでしょうね。 皆がそうだったら、絶望的ですわ。
溜息をつけば、
「人前で溜息をつくのは、失礼な行為ですよ。 フィーアさん!」
祖母が威嚇するようにペシペシと馬用の鞭でテーブルを叩く音が響いた。
「申し訳ございません」
「まったく、このような常識すら知らないなんて、魔術師が悪く言われるのも仕方のない事ですわ」
個人主義なんで……という言い訳を私は飲み込んだ。
「申し訳ございません」
嫌味を言われ、頭を下げ謝罪を述べる。 魔術師全体への侮辱を行われたのだと気づいてはいましたが、実際、魔術師ってそういうところがあるので、反論することが出来ずソレこそ溜息しかでてこないのですが、慌てて飲み込めば、ジロリと祖母が私を睨みつける。
「申し訳、ございません」
同じ事を繰り返す機会人形のように私は語り、頭を下げる。 自分に頭を下げる私と言う存在に孤独が癒されていく祖母は、満足、安堵、歓喜で心を満たし、美しい音色を魔力が高らかと奏でていた。
それは、本当に嬉しそうにしていた。
それほどまで躾をしたいのであれば、使用人相手にすればいいと思うのですが、使用人は側にいても見向きもしない。 祖母にとってみれば、使用人は叱る意味もないのか? それとも、私の分からない何かが存在するのでしょうか?
とは言え、老人のわりに張り切りすぎ、余計な説教と動きが多くなるほど、長い礼儀作法の訓練も続かないと言うのです。 そして、30分に1度休憩が取られ、お茶と街で購入してきたらしい小さな焼き菓子や、季節の果物が振る舞われます。
「これは、私が準備したものですから」
念を押すように祖母が言い、私は下手くそな笑みを造る。
「お茶を、お入れ致しましょうか?」
「お茶ぐらいはまともに入れる事が出来るのでしょうね」
幼い頃目の前の祖母自身が幾度となく茶を淹れ菓子をくれたのを覚えています。 それに、最近では出張治療先の貴族屋敷で、幾度かお茶をご馳走になっていますのでそれなりに出来る筈です。 私は沈黙のまま頷いて見せ、どこからともなくお茶のセットを出現させ、テーブルへと並べたのですが……、大きな声が威圧するかのように投げかけられた。
「人殺しの魔術師が、大奥様にお茶を淹れるなんて危険なこと、許されるはずありません!!」
そう言って、テーブルの上のカップを薙ぎ払おうとした侍女がおりましたが、彼女はテーブルに手を触れることもできず、空気の壁に阻まれ少々突き指をなさったらしく、叫び声が響き渡りました。
祖母は正面を見据え私に尋ねる。
「フィーアさん、何をしたんですか?」
「コレは良い茶器なので、守りました」
「そう、そこまでして守るお茶であれば、きっと美味しいのでしょうね。 楽しみですわ」
「大奥様、そのようなアヤシイ飲み物を飲まないでくださいませ。 お茶なら私共が準備いたします。 大奥様もご覧になったでしょう。 そのものはアヤシイ術を使うんです。 気を許すべきではありません」
「なぜ、使用人ごときが私に意見をするのだと思いますか? フィーアさん?」
私に聞くのですか?
これは、私に対処しろと言っているのですか?
これも、授業の一つですか?
私は侍女へと視線を向けます。
「大量虐殺の魔術師と私を呼びながら危害を加えようとする、危険知らずな方々。 きっと、自分の立場を上手く理解できない方なのでしょう。 ねぇ、アナタ、あぁ、違いますわね……アナタ達。 もう少し、命をお大事になさった方が宜しいのではございませんか?」
使用人相手に忠告をすれば、祖母が叱ります。
「もう少し美しい言葉を選んでおつかいなさい」
そう言いますが、祖母様もお叱りの時は相当品が無いですよ? とは流石に言えません。
「申し訳ございません。 ですが、もう少し牽制をさせていただけますか?」
「お好きになさい。 使用人に舐められるようでは、公爵家に嫁いだとしても上手くやっていけるはずはありませんからね」
祖母の言葉に、侍女達は恐怖を覚えたようでした。
恐怖、寒い、不安、困惑、味方だと思っていた相手の反乱。 そのような魔力の音が鬱陶しいほどにかき鳴らされ、私は魔力の耳の制度を少しばかり落とす必要があったほどです。
「このお屋敷を支えているのは祖母様だとお伺い致しました。 もし祖母様が亡くなれば、アナタ達は職を失う事になります。 いくら私に悪意を持っており罠に嵌めたいと考えていたとしても、先々の状況を考える事をお忘れなきようご注意なさいませ。 祖母様に手を出すようなことがあっては本当に許しませんよ。
「私共が、大奥様に危害を加えると!!」
「そんなことをする訳ないじゃないですか!!」
「馬鹿げた事をおっしゃらないで頂戴!!」
必死の叫びでした。
「では、なぜフリーダ様があのような状態に? あぁなるまで、かなりの日数が薬の量が必要だったはずですわ。 あぁなるまで、どうして放置しておりましたの」
音が激しくかき鳴らされる中、私は祖母のためにお茶を淹れており、祖母はその所作を黙って見つめておりました。
「お茶を淹れる姿だけは上手なようですわね」
「ありがとうございます。 祖母様、ミルクと砂糖はどうなさいますか?」
「今日は、そのまま頂きましょう」
そんなこんなで、1日を終えるのですが、昼食時にも食事にはなんらかの薬が混ぜられているようで、私は食事を魔術的空間にしまい込み、勝手にお茶を淹れ、食事替わりとしました。
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