14 / 14
14.完結
しおりを挟む
ポスポスと言う音と、僅かな衝撃でヴィーゲルトは目を覚ました。
「どうしたどうした」
上体を起こせば、ポスっと身体を預けてきて顔を見上げてくる。
「お腹すいたぁあ」
勝手に食べればいいのに……と言うのとは違うのは容易に分かる。 知り合った頃からシャルの意識は自立傾向が強かったから、それこそ熱があっても人を頼ることなんてない。
「身体、辛いのか?」
よしよしと腹を撫でれば、図星なのか余計に殴ってくる。
「はいはい、無理させて悪かった。 今日は手取り足取り、抱っこもしてお世話しましょう。 何食べたい?」
「抱っこ」
「抱っこかぁ、抱っこでは腹は膨れんぞ~」
笑いながらヴィーゲルトは言う。 今日はずいぶんと甘えん坊ならしいと、ソレはソレで楽しくもあり、腕の中に抱き入れて背を撫でれば、剥き出しの肌にキスをしてくる。
「辞めな、しんどいんだろう?」
「ん~~~」
「こら、噛むな……シャル?」
「ん~~~」
「ご飯作りに行けないんだが?」
「ん~~~」
「お腹すいたんだろう?」
「ん」
ガジガジかじってくるが、痛くはないので無視して背を、髪を撫でる。
「世話をしてくれる人を雇うか?」
「やっ」
「そっかぁ、いやか」
「なら、困った時に助けてもらえるよう、俺の実家近くに引っ越すか?」
「んっ」
「だめかぁ……」
「……」
「ぇ?」
「いいよ」
「どうした?」
「本、実家の本、読み終わったから」
「……マジで、本で断ってたのか?」
コクコクと頷くシャルに、ヴィーゲルトが呆れていた。 シャルは少し拗ねたそぶりをしたが、直ぐに笑みを浮かべて理由を告げる。
「それに最近、王都がきな臭い……、昨日も貴族狙ったテロがあったんでしょう? 私は弱くて、自分を守れるほど強くはないし、この国の頼るべき人達は私には余り優しくないから」
「テロは、未然に防がれたらしいが……いいのか? あんなに嫌がっていたのに」
「別に未練はないよ。 本、読み終わったし、私は安全に研究したいだけ」
そういう面は、彼女は彼女の一族と変わりないのだと、言葉にはせずにヴィーゲルトは納得する。
「安全は約束するが。 好みの獣人いても誑し込むなよ? そう言う面倒は、洒落にならんからな」
猫獣人は延々と飢え続け人を襲い続け、やがて人にかられることになるだろう。 それはただの憶測でしかなかったが、しばらく後にヴィーゲルトが見かけた猫獣人は、濃い血の匂いをその身に纏わせていた。
「わかってます」
返事は良いが……、まぁ、ソレはおいおい身体に教え込めばいいかぁ等と考えるヴィーゲルトの未来は明るく。 そして、この国の未来は仄かに暗いが、ソレはまた別の話である。
「どうしたどうした」
上体を起こせば、ポスっと身体を預けてきて顔を見上げてくる。
「お腹すいたぁあ」
勝手に食べればいいのに……と言うのとは違うのは容易に分かる。 知り合った頃からシャルの意識は自立傾向が強かったから、それこそ熱があっても人を頼ることなんてない。
「身体、辛いのか?」
よしよしと腹を撫でれば、図星なのか余計に殴ってくる。
「はいはい、無理させて悪かった。 今日は手取り足取り、抱っこもしてお世話しましょう。 何食べたい?」
「抱っこ」
「抱っこかぁ、抱っこでは腹は膨れんぞ~」
笑いながらヴィーゲルトは言う。 今日はずいぶんと甘えん坊ならしいと、ソレはソレで楽しくもあり、腕の中に抱き入れて背を撫でれば、剥き出しの肌にキスをしてくる。
「辞めな、しんどいんだろう?」
「ん~~~」
「こら、噛むな……シャル?」
「ん~~~」
「ご飯作りに行けないんだが?」
「ん~~~」
「お腹すいたんだろう?」
「ん」
ガジガジかじってくるが、痛くはないので無視して背を、髪を撫でる。
「世話をしてくれる人を雇うか?」
「やっ」
「そっかぁ、いやか」
「なら、困った時に助けてもらえるよう、俺の実家近くに引っ越すか?」
「んっ」
「だめかぁ……」
「……」
「ぇ?」
「いいよ」
「どうした?」
「本、実家の本、読み終わったから」
「……マジで、本で断ってたのか?」
コクコクと頷くシャルに、ヴィーゲルトが呆れていた。 シャルは少し拗ねたそぶりをしたが、直ぐに笑みを浮かべて理由を告げる。
「それに最近、王都がきな臭い……、昨日も貴族狙ったテロがあったんでしょう? 私は弱くて、自分を守れるほど強くはないし、この国の頼るべき人達は私には余り優しくないから」
「テロは、未然に防がれたらしいが……いいのか? あんなに嫌がっていたのに」
「別に未練はないよ。 本、読み終わったし、私は安全に研究したいだけ」
そういう面は、彼女は彼女の一族と変わりないのだと、言葉にはせずにヴィーゲルトは納得する。
「安全は約束するが。 好みの獣人いても誑し込むなよ? そう言う面倒は、洒落にならんからな」
猫獣人は延々と飢え続け人を襲い続け、やがて人にかられることになるだろう。 それはただの憶測でしかなかったが、しばらく後にヴィーゲルトが見かけた猫獣人は、濃い血の匂いをその身に纏わせていた。
「わかってます」
返事は良いが……、まぁ、ソレはおいおい身体に教え込めばいいかぁ等と考えるヴィーゲルトの未来は明るく。 そして、この国の未来は仄かに暗いが、ソレはまた別の話である。
11
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて
木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。
前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる