悪い女は身勝手で、皇子の心と身体を奪い逃げた先で勝手に幸福を手に入れる

迷い人

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2章 7年後

16.断罪騎士団

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 善人の国は、7年の間に変わっていた。

 最初こそ、

『俺は、王国を王位を守るために、王法が定めた善を守るための力を持ち、王に尽くすための騎士団を作りたい』

 そうフェリクスは語っていた。

 その言葉に国王陛下は喜び、王族を抜けたフェリクスの元にストイックに強さを求める騎士達を集めることを許した。 力を求めると言うことは、彼等は力を正義とする者達である。 彼等にとって力ある者こそが正義であり善である事を王は理解していなかった。

 先々代の王によって定められた法。

『善人の集まる国の民は善人であるべき』

 強迫観念を持って統治された人々は、月日と共に徐々に歪みだす。

 地位や権力は、善なのか? 否!! 支配する者が善であるはずがない。
 金を持つ者は、善なのか? 否!! 贅沢する者が善であるはずない。
 知恵ある者は、善なのか? 否!! 惑わす者が善であるはずない。

 自分達の善を挫く他者の善は無効である。 そのように考える民が徐々に増えてきたのだ。 それはもはや善ではなく屁理屈であり、王族・貴族を恐怖させる内乱へと駆り立てた。

 自分達を捌こうとする騎士は善人か? 民を傷つける騎士が善人であるはずがない。 悪であれば、倒してもいい!! 悪として立ちはだかるなら、倒すべきだ!!

 ルシェ……いや、シェリルがフェリクスに語った言葉をつかえば、

『恐怖を乗り切り、対価を支払う事を覚悟し、安穏たる生活を壊してでも欲しいものを得た』

 という事になるが、実際には……王国軍と民の数を比較して見せて、王政を倒せぬわけがないと誰かが酒場で語り、ソレが広がったに過ぎない。

 国王陛下は、千を超える王都在住の騎士達に告げた。

「国を崩壊させようとする悪を倒せ!!」

 静まりかえる騎士達の中、背の高い美しい金色の髪をし鋼色の瞳をした青年が告げる。

「アレは、悪人ではありませんよ陛下、アレはアナタの民です。 王位を前に恐れ狂うとアナタ方が哀れんでいた庶民ですよ」

 その言葉には、正義も善性も伴わない。

「お前は!! まだ根に持っているのか!! このままでは国が亡びると言うのに!!」

「まさか……彼等と陛下、どちらが善人なのか? 我々は、どちらのために戦うべきなのか? そうほんの少し疑問に思っただけです。 この場で陛下の声に人々が是と出来なかったのは、みな同じように考えたからでしょう」

「まさか……内乱を治めるべく……私を犠牲にしようと言うのか!」

「まさか、彼等は誰もが王のような生活を望み、王が王であることに反乱を起こしているのです。 最初から彼等の望みは破綻しています。 お話になりません。 王の首を与えれば満足するなんて類のものではありません」

「なら、何がいいたい……」

 王の言葉に、ニヤリと魔物のようにフェリクスは笑ったと言う。

「悪を倒せではなく、はっきりと陛下の正義を示してください。 日常に変革をもたらそうとする民は悪であるから殺せと。 民を殺すことが正義であると。 王がソレを正義だから執行せよと言うなら、騎士も、貴族もソレが正義と従うでしょうからねぇ」

 明らかに私怨だった。

 大半の騎士団は民を殺すことは出来なかった。 そんな中『国王陛下の示した正義』と叫びながら人を蹴散らし殺し続けた一団がいた。

 それは、断罪騎士団と呼ばれ恐れられることとなる。


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