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13.心と体のズレ
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厳しい環境で生まれ、幼い頃を過ごしたシルフィは丈夫だった。 王妃宮にいた頃は体調を崩すような経験は一度も無かった。
ベールで顔を隠し、その理由は大きな怪我を追って醜い顔を隠すためと言われていたことが、嗜虐して良い対象として甘やかされて育った貴族令嬢出身の侍女達の憂さ晴らしに使われた。
報告を受けた王妃殿下は多少の暴力は、立場を分からせるために必要な事と許容したが、シエルが勤めていた人目につかない雑務を行う者達には良くしてもらっていた。
幼い子供が哀れだと可愛がってくれた。
それもまた、王妃殿下は必要な事と見て見ぬふりを貫いた。
悪い生活では無かった。
文官達もベールで顔を隠しているシルフィが何物か?等と気にするよりも、真摯に学ぶシルフィに好意を抱き、可愛らしいと、大切にしてくれた。 マーティンの前ではそんな態度は控えられたが、マーティンは滅多に執務室に訪れる事がなかったため、シルフィは楽しく多くの事を学ぶ事が出来た。
大変だったけれど、救いもある。
過去を夢見る。
目覚めて眠って夢を見て……。
なのに……途中で霞がかかる。
初めて巫女宮に訪れた日。
熱っぽい身体は、衣擦れすら敏感で……。
そして熱を出した。
太子宮に来て5日が経過した頃。
なのに、身体が重い……。
気だるさに動くのがシンドイ。
身体が熱い……。
頭が痛い……。
「おはよう、珍しいな寝坊なんて」
「んっ、ごめんなさい。 今日からカーマイン様のお仕事を手伝えるって思うと、楽しみで中々眠れなくて、私、ちゃんとできるかな?」
ずっと忙しく過ごしてきた日々に、退屈だから仕事が欲しいと侍女頭のポーラに纏わりついて回り、世話を焼かせてもらえないポーラがカーマインに訴えたのだ。
カーマイン自身は、シルフィに仕事を手伝って貰うのは良しとしなかったが、シエルに説得され、昨日頭を下げて頼み込んだ所だったのだ。
『何故ですか? 彼女は優秀だと文官達から聞いておりますよ。 一緒に居たいのでしょう? おかしな方ですね』
『……無能を知られたくない……』
『それは、まぁ体質のようなもので無能な訳ではないでしょう。 いえ、そうですね……そう言う一面も含めて、好意を抱いてもらえるよう頑張りましょう』
『なぜ、言い直す』
『それは……貴方の仕事を待つ文官達が可哀そうだからですよ。 せめて文官達に仕事を割り振ればいいものを……』
『書類を割り振るのに、書類を全部確認し理解しないとダメだろうが……』
『最悪、美味しいもので幸福ホルモンを分泌させて、幸福だと誤魔化しましょう』
『ふざけんな、適当言っているだろう』
『ばれまいたか。 とにかく、仕事の山を片付けるために頭を下げて下さい。 私だって宰相見習いとしての仕事があるんですから、貴方の手伝いばかりしてはいられないんですよ』
そんな訳で深く頭を下げ仕事を手伝って貰う事になったのだ。
だけど……。
「シルフィ、大丈夫か顔が赤い」
赤く火照ったかのような肌、潤んだ瞳、うっかり口づけしそうになって……つい近寄れば熱がある事に気付き、そこからは大騒ぎでカーマインが直々医師を迎えに行くほどだった。
「環境の変化に身体が驚いているのでしょう。 ゆっくり身体を休める事を優先してください」
言われてシルフィは頷いた。
自分の何かがオカシイと思いながら。
「……はい」
納得する訳はない……だけど、王宮医が言うのだから、それ以上の言葉を得る事は不可能だろうと思いながらも、やっぱり納得いかなくて、ぐるぐるぐるぐる。
上手く考える事が出来ない……。
そして考える事を諦めた。
シルフィが諦めた頃、カーマインは納得いかないと声を上げる。
「本当に、何処も悪くはないのか!! 精霊の巫女とは言え身体が……」
そんな風に声を荒げるカーマインを見れば不安に……あからさまに顔に出ていたようで、シエルが笑って見せ、そして……カーマインの言葉の途中に無理やり煙草を口の中に突っ込んで、突っ込みきれず、ぐしゃってなる。
「何をしやがる!!」
「いえ、病人の前で騒々しく騒ぎ立てる人には、おしゃぶりが必要かと思っただけです」
シエルの言葉にカーマインは無言で睨み、崩れた煙草はぐしゃりと握りつぶしシエルに突っ返し、新しい煙草を求め、溜息と共にシエルは新しい煙草をカーマインに渡した。
「病人の側で煙草は吸わないで下さい」
そう言ってベランダに出ろとばかりにシエルは外を指差すから、煙草はシエルにまた返された。
「ところで先生、折角ご足労願ったのです。 お茶でもしていってください。 東方の珍しい茶葉と甘いものを準備されていただきました」
「なぜ、お前は人の宮を仕切っている」
不満そうにブツブツと文句を言うカーマインの様子が妙に笑えてしまった。 一応王子様だからと必死に堪えたけれど、見つかってしまって……カーマイン様は誤魔化すように、熱で汗に濡れた髪をわしゃりと掻き混ぜる。
「シルフィ、大人しくしてろ。 精霊の巫女だからって、俺と違って身体が頑丈な訳ではないんだからな」
「丈夫ではなくて、頑丈?」
問い返せば、優しく金の瞳が笑った。
「丈夫でもあるが、とにかく頑丈だな」
「そうそう、剣の鞘でぶん殴っても気を失ってもくれないんですからねぇ~」
「お前はまた、余計な事をペラペラと」
「もっと、お話が聞きたいな」
熱にうかされていたのだと思う……。
王子と未来の宰相に、そんな甘えたことを言うなんて……。
「カーマイン様のネタなら幾らでもありますからね。 寝物語に語って差し上げますよ。 でも、今はご足労頂いた先生を接待しなければいけません。 良い子で待っていてください」
優しく穏やかにシエルの瞳が笑い、カーマインは止める事は無いが苦々しく笑って見せた。
そして、私の側には侍女頭のポーラが付き添い、3人は部屋を出て行った。
「そんなに寂しそうな顔をしないでくださいませ。 殿下が側につききりになって、とても鬱陶しい事になりますよ。 昔シエル様が流行り病にかかった時なんて、大変だったんですから」
そうしてポーラは優しい声で、幼い頃の2人を語りだし、私は気だるい熱の中に静かに沈む。
別室では約束通り珍しい茶と甘い菓子で、医師が持て成されていた。
「それで、何を知りたいのですかな?」
甘い菓子を楽しみ、少しばかり渋みの強い茶を楽しむ医師は尋ねる。
「折角、美味しい菓子を食べているのだから、憂鬱になるようなネタでなければ良いのですがねぇ~」
ボソリとカーマインは俺のが憂鬱だよとボソリ呟くが、さりげに無視されシエルは話を続けた。
「少し前、あの子には複数の薬が盛られました。 一応、その症状における中和剤……のようなもので状況を抑え込んだのですが……」
そうして巫女宮で回収した薬の数々を並べる。
「……薬の効果が抜けきっていないようですな。 なぜ、こんな量を……」
チラリと医師が非難がましくカーマインを見れば、カーマインは焦った様子で首を横に振った。
「違う違う違う、薬で思い通りにしようなんて気はない。 俺はもっとこう……地に足がついたお付き合いを求めている」
「で、本音は?」
「発情の匂いでくらくらして我慢するのも大変なのに、側を離れたくないから困っている」
テーブルに突っ伏し頭を抱え込みカーマインは嘆いた。
「まぁ、頑張って我慢してください。 折角、あの日の事は記憶から飛んでいるのですからね。 変な風に戻って全てカーマイン様が悪いになっては、笑ってしまいますからねぇ~」
「お前はなぁ……」
「記憶が飛んで?」
「えぇ、性的暴行を受けて、その記憶を失っているんです。 そっちの方は戻ってもらわない方がいいので、お話していなかったんですけどね」
「その記憶の欠如も不安定の原因かもしれませんね。 心と身体が正しく機能すれば、熱も収まるかもしれません。 どうしますか?」
医師の問いに、カーマインは間髪入れずに返事を返す。
「俺は、思い出して欲しくなんかない」
走る沈黙。
「それでも、身体に負担が大きいようでしたら、記憶を戻す事も検討したほうが良いでしょうね」
そして医師は、太子宮を後にした。
当たり前のようにシルフィの元に向かうカーマインの首根っこを掴み、仕事へと引きずって行く。 容易くシエルから逃れる事も出来るのだが、そうしないのはこのままでは仕事が溜まるばかりなのは現実問題としてヤバイから。
「頑張って仕事を終わらせてください。 まぁ、無理でしょうけど。 私の方が早く済めば手伝いに行きますよ」
何かと甘いシエルだった。
カーマインが執務室に行けば、そこには一人の美しい女性がいた。
彼女は、最初にカーマインの婚約者候補として挙げられた女性で、一定量の仕事が溜め込まれる頃、現れては仕事を手伝っていく。
今も、シルフィの精霊の巫女の存在を知る者が一部の者に限定されている状況で、誰もがカナカレス侯爵家令嬢エイデンがカーマインの妻の座に就く者だと多くの者が思っている存在。
不快そうな顔を露わにカーマインは口を開いた。
「何しに来た」
「そろそろ仕事が溜まっていると思ったから、手伝いに来てあげたんでしょう。 全く、何時も何時も仕事を溜め込んで懲りないんだから」
向けられる笑みは、私が居ないとダメなんだからと訴えていた。
ベールで顔を隠し、その理由は大きな怪我を追って醜い顔を隠すためと言われていたことが、嗜虐して良い対象として甘やかされて育った貴族令嬢出身の侍女達の憂さ晴らしに使われた。
報告を受けた王妃殿下は多少の暴力は、立場を分からせるために必要な事と許容したが、シエルが勤めていた人目につかない雑務を行う者達には良くしてもらっていた。
幼い子供が哀れだと可愛がってくれた。
それもまた、王妃殿下は必要な事と見て見ぬふりを貫いた。
悪い生活では無かった。
文官達もベールで顔を隠しているシルフィが何物か?等と気にするよりも、真摯に学ぶシルフィに好意を抱き、可愛らしいと、大切にしてくれた。 マーティンの前ではそんな態度は控えられたが、マーティンは滅多に執務室に訪れる事がなかったため、シルフィは楽しく多くの事を学ぶ事が出来た。
大変だったけれど、救いもある。
過去を夢見る。
目覚めて眠って夢を見て……。
なのに……途中で霞がかかる。
初めて巫女宮に訪れた日。
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そして熱を出した。
太子宮に来て5日が経過した頃。
なのに、身体が重い……。
気だるさに動くのがシンドイ。
身体が熱い……。
頭が痛い……。
「おはよう、珍しいな寝坊なんて」
「んっ、ごめんなさい。 今日からカーマイン様のお仕事を手伝えるって思うと、楽しみで中々眠れなくて、私、ちゃんとできるかな?」
ずっと忙しく過ごしてきた日々に、退屈だから仕事が欲しいと侍女頭のポーラに纏わりついて回り、世話を焼かせてもらえないポーラがカーマインに訴えたのだ。
カーマイン自身は、シルフィに仕事を手伝って貰うのは良しとしなかったが、シエルに説得され、昨日頭を下げて頼み込んだ所だったのだ。
『何故ですか? 彼女は優秀だと文官達から聞いておりますよ。 一緒に居たいのでしょう? おかしな方ですね』
『……無能を知られたくない……』
『それは、まぁ体質のようなもので無能な訳ではないでしょう。 いえ、そうですね……そう言う一面も含めて、好意を抱いてもらえるよう頑張りましょう』
『なぜ、言い直す』
『それは……貴方の仕事を待つ文官達が可哀そうだからですよ。 せめて文官達に仕事を割り振ればいいものを……』
『書類を割り振るのに、書類を全部確認し理解しないとダメだろうが……』
『最悪、美味しいもので幸福ホルモンを分泌させて、幸福だと誤魔化しましょう』
『ふざけんな、適当言っているだろう』
『ばれまいたか。 とにかく、仕事の山を片付けるために頭を下げて下さい。 私だって宰相見習いとしての仕事があるんですから、貴方の手伝いばかりしてはいられないんですよ』
そんな訳で深く頭を下げ仕事を手伝って貰う事になったのだ。
だけど……。
「シルフィ、大丈夫か顔が赤い」
赤く火照ったかのような肌、潤んだ瞳、うっかり口づけしそうになって……つい近寄れば熱がある事に気付き、そこからは大騒ぎでカーマインが直々医師を迎えに行くほどだった。
「環境の変化に身体が驚いているのでしょう。 ゆっくり身体を休める事を優先してください」
言われてシルフィは頷いた。
自分の何かがオカシイと思いながら。
「……はい」
納得する訳はない……だけど、王宮医が言うのだから、それ以上の言葉を得る事は不可能だろうと思いながらも、やっぱり納得いかなくて、ぐるぐるぐるぐる。
上手く考える事が出来ない……。
そして考える事を諦めた。
シルフィが諦めた頃、カーマインは納得いかないと声を上げる。
「本当に、何処も悪くはないのか!! 精霊の巫女とは言え身体が……」
そんな風に声を荒げるカーマインを見れば不安に……あからさまに顔に出ていたようで、シエルが笑って見せ、そして……カーマインの言葉の途中に無理やり煙草を口の中に突っ込んで、突っ込みきれず、ぐしゃってなる。
「何をしやがる!!」
「いえ、病人の前で騒々しく騒ぎ立てる人には、おしゃぶりが必要かと思っただけです」
シエルの言葉にカーマインは無言で睨み、崩れた煙草はぐしゃりと握りつぶしシエルに突っ返し、新しい煙草を求め、溜息と共にシエルは新しい煙草をカーマインに渡した。
「病人の側で煙草は吸わないで下さい」
そう言ってベランダに出ろとばかりにシエルは外を指差すから、煙草はシエルにまた返された。
「ところで先生、折角ご足労願ったのです。 お茶でもしていってください。 東方の珍しい茶葉と甘いものを準備されていただきました」
「なぜ、お前は人の宮を仕切っている」
不満そうにブツブツと文句を言うカーマインの様子が妙に笑えてしまった。 一応王子様だからと必死に堪えたけれど、見つかってしまって……カーマイン様は誤魔化すように、熱で汗に濡れた髪をわしゃりと掻き混ぜる。
「シルフィ、大人しくしてろ。 精霊の巫女だからって、俺と違って身体が頑丈な訳ではないんだからな」
「丈夫ではなくて、頑丈?」
問い返せば、優しく金の瞳が笑った。
「丈夫でもあるが、とにかく頑丈だな」
「そうそう、剣の鞘でぶん殴っても気を失ってもくれないんですからねぇ~」
「お前はまた、余計な事をペラペラと」
「もっと、お話が聞きたいな」
熱にうかされていたのだと思う……。
王子と未来の宰相に、そんな甘えたことを言うなんて……。
「カーマイン様のネタなら幾らでもありますからね。 寝物語に語って差し上げますよ。 でも、今はご足労頂いた先生を接待しなければいけません。 良い子で待っていてください」
優しく穏やかにシエルの瞳が笑い、カーマインは止める事は無いが苦々しく笑って見せた。
そして、私の側には侍女頭のポーラが付き添い、3人は部屋を出て行った。
「そんなに寂しそうな顔をしないでくださいませ。 殿下が側につききりになって、とても鬱陶しい事になりますよ。 昔シエル様が流行り病にかかった時なんて、大変だったんですから」
そうしてポーラは優しい声で、幼い頃の2人を語りだし、私は気だるい熱の中に静かに沈む。
別室では約束通り珍しい茶と甘い菓子で、医師が持て成されていた。
「それで、何を知りたいのですかな?」
甘い菓子を楽しみ、少しばかり渋みの強い茶を楽しむ医師は尋ねる。
「折角、美味しい菓子を食べているのだから、憂鬱になるようなネタでなければ良いのですがねぇ~」
ボソリとカーマインは俺のが憂鬱だよとボソリ呟くが、さりげに無視されシエルは話を続けた。
「少し前、あの子には複数の薬が盛られました。 一応、その症状における中和剤……のようなもので状況を抑え込んだのですが……」
そうして巫女宮で回収した薬の数々を並べる。
「……薬の効果が抜けきっていないようですな。 なぜ、こんな量を……」
チラリと医師が非難がましくカーマインを見れば、カーマインは焦った様子で首を横に振った。
「違う違う違う、薬で思い通りにしようなんて気はない。 俺はもっとこう……地に足がついたお付き合いを求めている」
「で、本音は?」
「発情の匂いでくらくらして我慢するのも大変なのに、側を離れたくないから困っている」
テーブルに突っ伏し頭を抱え込みカーマインは嘆いた。
「まぁ、頑張って我慢してください。 折角、あの日の事は記憶から飛んでいるのですからね。 変な風に戻って全てカーマイン様が悪いになっては、笑ってしまいますからねぇ~」
「お前はなぁ……」
「記憶が飛んで?」
「えぇ、性的暴行を受けて、その記憶を失っているんです。 そっちの方は戻ってもらわない方がいいので、お話していなかったんですけどね」
「その記憶の欠如も不安定の原因かもしれませんね。 心と身体が正しく機能すれば、熱も収まるかもしれません。 どうしますか?」
医師の問いに、カーマインは間髪入れずに返事を返す。
「俺は、思い出して欲しくなんかない」
走る沈黙。
「それでも、身体に負担が大きいようでしたら、記憶を戻す事も検討したほうが良いでしょうね」
そして医師は、太子宮を後にした。
当たり前のようにシルフィの元に向かうカーマインの首根っこを掴み、仕事へと引きずって行く。 容易くシエルから逃れる事も出来るのだが、そうしないのはこのままでは仕事が溜まるばかりなのは現実問題としてヤバイから。
「頑張って仕事を終わらせてください。 まぁ、無理でしょうけど。 私の方が早く済めば手伝いに行きますよ」
何かと甘いシエルだった。
カーマインが執務室に行けば、そこには一人の美しい女性がいた。
彼女は、最初にカーマインの婚約者候補として挙げられた女性で、一定量の仕事が溜め込まれる頃、現れては仕事を手伝っていく。
今も、シルフィの精霊の巫女の存在を知る者が一部の者に限定されている状況で、誰もがカナカレス侯爵家令嬢エイデンがカーマインの妻の座に就く者だと多くの者が思っている存在。
不快そうな顔を露わにカーマインは口を開いた。
「何しに来た」
「そろそろ仕事が溜まっていると思ったから、手伝いに来てあげたんでしょう。 全く、何時も何時も仕事を溜め込んで懲りないんだから」
向けられる笑みは、私が居ないとダメなんだからと訴えていた。
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