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14.当たり前との決別
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「カーマイン様、私が必要だと言って下さいますよね?」
赤い唇がニッと上がり不敵な笑みを作り出す。
金色が混ざるブルネットの髪。
血を連想する挑発的な唇。
光りの加減で朱金色となる茶色の瞳。
侯爵家の生まれでありながら、その血は王家に近くパーティで踊る姿は肉食の獣を連想させる圧倒的な存在感。 それがエイデン・カナカレス侯爵令嬢。
勝ち誇ったかのようなエイデンの微笑みにカーマインは苛立ちを覚えるのは何時もの事。そして彼の苛立ちと屈辱を理解しながらエイデンは挑発的な態度を取る。 獣が何方が上かを競いあうように二人は睨み合う。
手にしていたペンを置き扇子を取り出しながら、エイデンはカーマインのデスクから立ち上がり、カツカツと高い音と共にエイデンは入口に棒立ちになるカーマインに近づいて行く。
カーマインは苛立ちを溜息として吐き出し、煙草を取り出しソファに腰を下ろし火をつけようとすれば、ソレを邪魔するように扇子がピシャリとカーマインの手を打った。
「あぁ?」
不満だけを表面に滲ませ会話をする気の無いカーマインの顎を扇子で触れ、力を込めてカーマインの視線を自分へと向けようとしたエイデン。
「ねぇ」
甘味のある酒精の強い酒を連想させるような声は、カーマインに絡みつくように色香をにおわせながら、笑みを浮かべる。
「頭を下げて、協力してくださいお願いしますって言ってみなさいよ。 可愛い可愛い私のワンコちゃん」
クスクスとエイデンに、笑顔で返す事が出来ないカーマインは苛立ちを煙草の煙で隠そうと火をつけた。 2回目の邪魔は無く白い煙を吐き出しながら、視線だけで不愉快だと告げる。
「でも、私が必要でしょう?」
不愉快ではあるが、言葉にせずとも会話が成立する間柄。
何時もであれば追われる仕事をただ処理したいと言う気持ちだけで、
『はいはい、必要ですとも。 で、今回は何をお望みですか女王様』
そう返すのが今までのお決まりだった。
シエルが側使いから宰相候補となった頃から、大体3.4か月に1度、仕事の提出期限が限界に達した頃にやって来て、二人だけの時間を執務室で数日過ごす。
対価とされるのは大抵ドレス一式を購入し、パーティ、観劇等に同伴する事。 そして、シルフィが行った補助金・支援金のごり押しを幾つか突っ込んでいく。 シルフィがそうであったようにエイデンもまた、文官達が許可を出す金額を分かっていて、書類を作って通していく。 当然文官達はその不正行為を理解しているが、未来の王妃候補と考え見て見ぬふりをしている面も少なくはない。
未だ婚約もしていないが、彼女を未来の王妃として認識している者は多い。
彼女の世間での評判はかなり良い。
もし、赤いリンゴをカーマインが黒だと言い、エイデンが白だと言ったとしたなら、その場では全員黒だとカーマインに同意して見せるが、翌日には林檎の色は当たり前のように誰もが白だと言う。 エイデンはそれぐらいに強い影響力を持っていた。
彼女の前ではどんな我侭な令嬢も口を閉ざす。 それは厳しい教育をもって育てられた未来の王妃に対する敬意。
理想的な王妃。
慈悲深く、優しい、そして賢く、公平と言うのがエイデンに対する評価だが、カーマイン相手にだけは違っていた。
「そんなに怯えたような顔をしないで頂戴。 助けて差し上げると言っているのに、無理難題を言っているような気分にさせられるわ」
「誰が怯えているだよ」
「そう? なら……私が居ない未来を想像してみるといいわ」
僅かな間の沈黙。
お茶を淹れ始めるエイデン。
どう?
視線だけで語れば、不機嫌と言う態度で拒否を示す。
カップを手にお茶を口にし、はぁっと息をつき。 そしてエイデンは何処までも一方的な会話を続けた。
「貴方の隣に立てるのは私ぐらいよ。 いい加減にその事実を受け入れてはどうかしら?私の可愛い子犬ちゃん。 ねぇ、愛しているわ、あなたのその愚かさも、狂暴な獣の牙も何もかも。 幾ら私が貴方に甘いからって、何時までもそんな態度をとる貴方を愛し続けるなんて難しい事を理解するべきだわ。 貴方は、私が居なければダメなんだから。 ねぇ、そろそろ約束を頂戴」
煙草の火を消し、溜息と共に白い煙を吐き出しカーマインは素っ気なく言う。
「……もう手助けは必要ない」
「なぁに? お粗末なプライドのために損をするつもりなの?」
「損? 何時だって対価は払っているだろう?」
「どうかしら? それは私が受け取るべき対価の何十分の一。 貴方が婚約者として認めてくれたなら、私のために組まれる予算はもっとあるのだから。 貴方が偉そうに対価を払うなんて言う資格はないわ。 本当、物覚えが悪いんだから。 そう言う所、可愛いって思えるのもそろそろ限界なんだけど? 正しい付き合い方をそろそろしましょう?」
「俺も正しい付き合い方には賛成だ」
「ようやく理解してくれたのね。 婚約の贈り物は後日でいいわ。 今はただその言葉を頂戴」
横に座り身を寄せようとすれば、カーマインは狼の姿に転じた。
「ひぃっ!! 止めて!! って言っているでしょ!! 獣臭いのよ。 毛もつくし最悪。 なに? 未だにコントロールが効かない訳?!」
キーキーと不満を甲高い声で叫びながら距離をとった。
彼女と出会ったのは5歳で、まだ獣の姿と人の姿のコントロールが出来ず、自由に駆け巡るのが楽しくて人の姿でいるのが億劫だったころ。
『え、何この犬っころ。 きたなっ。 向こうにやってよ。 マジ、臭いんだけど!!』
それが初対面の言葉。
それなりにショックを受けた俺は……落ち込むよりも飛び掛かり、彼女のドレスを泥まみれにした。 まぁ、女性にする行為では無かったと思うけれど……その場で、思い切り蹴りを入れられ吹っ飛ばされたのだから、お互い様と言えるだろう。
俺の本能は言っていた。
負けたらやられる。
慌てて止めたのはシエルで、シエルはその場で謝罪し事はおさまったけれど……
『馬鹿な事を言っていないで謝りに行きますよ。 貴方が幾ら子供でも、女性に暴力を働くなんて最低な行為なんですから』
『犬っころなんて言いやがった』
『人の姿を取らないからそのように言われるんですよ』
『だが……俺は俺だ……。 王族はこう言うものだと理解してないアイツは悪くないって言うのか?! 国の始まりを考えたら、俺が何ものか分かっていて当然じゃないか!』
結局……シエルに付き添われ不承不承謝罪した。 それからだ……何時だって上から視線で支配的で……馬鹿にしてくる。
「この俺を受け入れられないなら、王族の妻になるのはそもそも無理と言う奴だ」
「はっ!! 貴方の必要な妻は、貴方を助け、寄り添える人間、私しかいないのよ。 人に戻りなさい!! 人としての尊厳が無いの!! そうやって獣の姿になって本能に身を任せるから、貴方は何時までたっても馬鹿で愚かなのよ!! 現実を考えなさい!!」
「……」
シルフィと一緒に居た事で疼き続けた肉の欲望。 その情熱がすんっと冷めて行った。
「子供じゃないのよ!! そろそろ現実を受け入れ、未来を考えないといけない時期が着ていると分からないの!! 嫌がらせは止めなさい!!」
「王族の持つ始祖の因子を拒否して、王族の妻等なれるわけがないだろう? どっちが現実を見てないのか……。 随分と積極的だが、恰好をつけすぎて金を使い過ぎたのか? あぁ、そうか……ここ数年、戦争が無かったからなぁ……採掘場、鍛冶師組合からの税収が激減、それだけで済まず、技術を残したいなら支援金を寄越せ、他所の領地に行くぞとか言われたのか?」
本能的に身体を動かしたくなるだけで、決して政務が出来ないと言う訳ではない。
扇子で隠した表情は読めないけれど、扇子を持つ手が僅かに震えている。 次の言葉までの間が空き過ぎている所を考えれば図星だったのだろう。
「アンタがその調子なら私にだって考えがあるのよ。 謝るなら今よ?」
「誰が謝るもんか……。 お前は俺を見ていない。 お前が見ているのは都合の良い財布で、奴隷で、権力で……見下せる俺だろう」
「そう、残念だわ。 私の愛がそんな風に思われていたなんて……、謝る気が無いと言うなら……私にも考えがあるわ……。 それに気づいた時、私を恋しがって泣くのは貴方よ。 でも、私を傷つけた貴方を絶対に許してあげないんだから……」
嫌がらせのように机の上の書類を、手でばさっと払い落し、カツカツと甲高い足音と共に去って行った。
カーマインはホッと一息つき、そして人型に戻ってズボンを履きシャツを羽織り窓を開けた。
「熱、ある癖に何をしているんだ? お嬢さん?」
カーマインが十代前半ぐらいの頃、感情に任せてぴょこんと出てしまう耳を隠すために作られたポンチョを身に着けたシルフィがいて、小さな声で囁くように返事する。
「お手伝いするって約束したから来たの」
エイデンが向かった先はマーティンの元。
「最近、サロンで見かけないけど……仕事の手伝いが必要なら、私が手を貸すわよ」
エイデンの言葉にマーティンと側使いは手放しで喜ぶのだった。
赤い唇がニッと上がり不敵な笑みを作り出す。
金色が混ざるブルネットの髪。
血を連想する挑発的な唇。
光りの加減で朱金色となる茶色の瞳。
侯爵家の生まれでありながら、その血は王家に近くパーティで踊る姿は肉食の獣を連想させる圧倒的な存在感。 それがエイデン・カナカレス侯爵令嬢。
勝ち誇ったかのようなエイデンの微笑みにカーマインは苛立ちを覚えるのは何時もの事。そして彼の苛立ちと屈辱を理解しながらエイデンは挑発的な態度を取る。 獣が何方が上かを競いあうように二人は睨み合う。
手にしていたペンを置き扇子を取り出しながら、エイデンはカーマインのデスクから立ち上がり、カツカツと高い音と共にエイデンは入口に棒立ちになるカーマインに近づいて行く。
カーマインは苛立ちを溜息として吐き出し、煙草を取り出しソファに腰を下ろし火をつけようとすれば、ソレを邪魔するように扇子がピシャリとカーマインの手を打った。
「あぁ?」
不満だけを表面に滲ませ会話をする気の無いカーマインの顎を扇子で触れ、力を込めてカーマインの視線を自分へと向けようとしたエイデン。
「ねぇ」
甘味のある酒精の強い酒を連想させるような声は、カーマインに絡みつくように色香をにおわせながら、笑みを浮かべる。
「頭を下げて、協力してくださいお願いしますって言ってみなさいよ。 可愛い可愛い私のワンコちゃん」
クスクスとエイデンに、笑顔で返す事が出来ないカーマインは苛立ちを煙草の煙で隠そうと火をつけた。 2回目の邪魔は無く白い煙を吐き出しながら、視線だけで不愉快だと告げる。
「でも、私が必要でしょう?」
不愉快ではあるが、言葉にせずとも会話が成立する間柄。
何時もであれば追われる仕事をただ処理したいと言う気持ちだけで、
『はいはい、必要ですとも。 で、今回は何をお望みですか女王様』
そう返すのが今までのお決まりだった。
シエルが側使いから宰相候補となった頃から、大体3.4か月に1度、仕事の提出期限が限界に達した頃にやって来て、二人だけの時間を執務室で数日過ごす。
対価とされるのは大抵ドレス一式を購入し、パーティ、観劇等に同伴する事。 そして、シルフィが行った補助金・支援金のごり押しを幾つか突っ込んでいく。 シルフィがそうであったようにエイデンもまた、文官達が許可を出す金額を分かっていて、書類を作って通していく。 当然文官達はその不正行為を理解しているが、未来の王妃候補と考え見て見ぬふりをしている面も少なくはない。
未だ婚約もしていないが、彼女を未来の王妃として認識している者は多い。
彼女の世間での評判はかなり良い。
もし、赤いリンゴをカーマインが黒だと言い、エイデンが白だと言ったとしたなら、その場では全員黒だとカーマインに同意して見せるが、翌日には林檎の色は当たり前のように誰もが白だと言う。 エイデンはそれぐらいに強い影響力を持っていた。
彼女の前ではどんな我侭な令嬢も口を閉ざす。 それは厳しい教育をもって育てられた未来の王妃に対する敬意。
理想的な王妃。
慈悲深く、優しい、そして賢く、公平と言うのがエイデンに対する評価だが、カーマイン相手にだけは違っていた。
「そんなに怯えたような顔をしないで頂戴。 助けて差し上げると言っているのに、無理難題を言っているような気分にさせられるわ」
「誰が怯えているだよ」
「そう? なら……私が居ない未来を想像してみるといいわ」
僅かな間の沈黙。
お茶を淹れ始めるエイデン。
どう?
視線だけで語れば、不機嫌と言う態度で拒否を示す。
カップを手にお茶を口にし、はぁっと息をつき。 そしてエイデンは何処までも一方的な会話を続けた。
「貴方の隣に立てるのは私ぐらいよ。 いい加減にその事実を受け入れてはどうかしら?私の可愛い子犬ちゃん。 ねぇ、愛しているわ、あなたのその愚かさも、狂暴な獣の牙も何もかも。 幾ら私が貴方に甘いからって、何時までもそんな態度をとる貴方を愛し続けるなんて難しい事を理解するべきだわ。 貴方は、私が居なければダメなんだから。 ねぇ、そろそろ約束を頂戴」
煙草の火を消し、溜息と共に白い煙を吐き出しカーマインは素っ気なく言う。
「……もう手助けは必要ない」
「なぁに? お粗末なプライドのために損をするつもりなの?」
「損? 何時だって対価は払っているだろう?」
「どうかしら? それは私が受け取るべき対価の何十分の一。 貴方が婚約者として認めてくれたなら、私のために組まれる予算はもっとあるのだから。 貴方が偉そうに対価を払うなんて言う資格はないわ。 本当、物覚えが悪いんだから。 そう言う所、可愛いって思えるのもそろそろ限界なんだけど? 正しい付き合い方をそろそろしましょう?」
「俺も正しい付き合い方には賛成だ」
「ようやく理解してくれたのね。 婚約の贈り物は後日でいいわ。 今はただその言葉を頂戴」
横に座り身を寄せようとすれば、カーマインは狼の姿に転じた。
「ひぃっ!! 止めて!! って言っているでしょ!! 獣臭いのよ。 毛もつくし最悪。 なに? 未だにコントロールが効かない訳?!」
キーキーと不満を甲高い声で叫びながら距離をとった。
彼女と出会ったのは5歳で、まだ獣の姿と人の姿のコントロールが出来ず、自由に駆け巡るのが楽しくて人の姿でいるのが億劫だったころ。
『え、何この犬っころ。 きたなっ。 向こうにやってよ。 マジ、臭いんだけど!!』
それが初対面の言葉。
それなりにショックを受けた俺は……落ち込むよりも飛び掛かり、彼女のドレスを泥まみれにした。 まぁ、女性にする行為では無かったと思うけれど……その場で、思い切り蹴りを入れられ吹っ飛ばされたのだから、お互い様と言えるだろう。
俺の本能は言っていた。
負けたらやられる。
慌てて止めたのはシエルで、シエルはその場で謝罪し事はおさまったけれど……
『馬鹿な事を言っていないで謝りに行きますよ。 貴方が幾ら子供でも、女性に暴力を働くなんて最低な行為なんですから』
『犬っころなんて言いやがった』
『人の姿を取らないからそのように言われるんですよ』
『だが……俺は俺だ……。 王族はこう言うものだと理解してないアイツは悪くないって言うのか?! 国の始まりを考えたら、俺が何ものか分かっていて当然じゃないか!』
結局……シエルに付き添われ不承不承謝罪した。 それからだ……何時だって上から視線で支配的で……馬鹿にしてくる。
「この俺を受け入れられないなら、王族の妻になるのはそもそも無理と言う奴だ」
「はっ!! 貴方の必要な妻は、貴方を助け、寄り添える人間、私しかいないのよ。 人に戻りなさい!! 人としての尊厳が無いの!! そうやって獣の姿になって本能に身を任せるから、貴方は何時までたっても馬鹿で愚かなのよ!! 現実を考えなさい!!」
「……」
シルフィと一緒に居た事で疼き続けた肉の欲望。 その情熱がすんっと冷めて行った。
「子供じゃないのよ!! そろそろ現実を受け入れ、未来を考えないといけない時期が着ていると分からないの!! 嫌がらせは止めなさい!!」
「王族の持つ始祖の因子を拒否して、王族の妻等なれるわけがないだろう? どっちが現実を見てないのか……。 随分と積極的だが、恰好をつけすぎて金を使い過ぎたのか? あぁ、そうか……ここ数年、戦争が無かったからなぁ……採掘場、鍛冶師組合からの税収が激減、それだけで済まず、技術を残したいなら支援金を寄越せ、他所の領地に行くぞとか言われたのか?」
本能的に身体を動かしたくなるだけで、決して政務が出来ないと言う訳ではない。
扇子で隠した表情は読めないけれど、扇子を持つ手が僅かに震えている。 次の言葉までの間が空き過ぎている所を考えれば図星だったのだろう。
「アンタがその調子なら私にだって考えがあるのよ。 謝るなら今よ?」
「誰が謝るもんか……。 お前は俺を見ていない。 お前が見ているのは都合の良い財布で、奴隷で、権力で……見下せる俺だろう」
「そう、残念だわ。 私の愛がそんな風に思われていたなんて……、謝る気が無いと言うなら……私にも考えがあるわ……。 それに気づいた時、私を恋しがって泣くのは貴方よ。 でも、私を傷つけた貴方を絶対に許してあげないんだから……」
嫌がらせのように机の上の書類を、手でばさっと払い落し、カツカツと甲高い足音と共に去って行った。
カーマインはホッと一息つき、そして人型に戻ってズボンを履きシャツを羽織り窓を開けた。
「熱、ある癖に何をしているんだ? お嬢さん?」
カーマインが十代前半ぐらいの頃、感情に任せてぴょこんと出てしまう耳を隠すために作られたポンチョを身に着けたシルフィがいて、小さな声で囁くように返事する。
「お手伝いするって約束したから来たの」
エイデンが向かった先はマーティンの元。
「最近、サロンで見かけないけど……仕事の手伝いが必要なら、私が手を貸すわよ」
エイデンの言葉にマーティンと側使いは手放しで喜ぶのだった。
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