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02.今の私を作る過去
07.子供の時間
嫌な事は、多忙に身を置けば忘れる。
10歳で知りたくない現実だった。
「次期公爵が、別館にいるってオカシクないかしら?」
そうマロリーに言われた公爵は、マロリーとその息子ユーグを別館から本館へと移し、別館を使用人に使わせ、私とミリヤ様を使用人棟へと追いやった。
本館から遠く離れ、何も見ずに済むと言う点では心穏やかにすごせた。 だが、流石に使用人の1人もいない生活にもかかわらず、公爵代行としての仕事は変わらず押し付けられていたのだから、私が公爵とマロリーのついでにユーグを嫌っても仕方がないと思う。
そこまでされても、ミリヤ様は公爵を愛していたし、実家である侯爵家に助けを求める事は無かった。
ケヴィンがひっそりと事の次第をエヴラール・コルベール元侯爵に語り、助けを求めてくれたおかげで、変わらぬ生活を送れた。
それでも、自分と背中合わせに存在しているかのようなユーグを思えば……憎しみを覚えずにはいられなかった。
そんなある日。
想像もしていなかった人間が、想像もしない願いと共に私に会いに来た。
「お願いします!! ユーグ様を助けて下さい」
涙と鼻水にまみれたふっくらとした少女が私に助けを求めにきた。 その少女には覚えがあった。 入れ替わりの激しいユーグの周囲の中で、唯一幼い頃から変わらず側にいる子だった。
「私が本館に行ってどんな目に合うか想像つくでしょう?」
「すべては私が責任を負うと約束します」
「ミリヤ様だって良く思わないわ」
私だって……思わない。
「お願いします。 お願いします!! 本当に、このままではユーグ様が死んでしまいます」
彼女は私に縋りつく。
「離れてよ。 私に言わなくても、治癒師を呼べばいいでしょう。 公爵はどうなさっていますの? 公爵であれば神殿に治癒師を求める事だって出来るでしょう?」
「……ユーグ様を殺しかけたのは、公爵様です。 この程度の事も出来ずに何が次期公爵だと……。 加護を持たぬユーグ様は、耐性をお持ちにないからと、日々毒に馴染ませながら、その身を鍛えよと剣を振るうのです」
剣と言っても訓練用のものだろう。 それで死にかけるなんて、本気で容赦していないか、毒が身体に馴染みきれていないか……。
敵……でありながら、胸が痛んだ。
その時、私の肩に手が添えられた。 耳元に優しい小さな声が囁いた。
「後悔をするくらいなら、元気になったユーグ様を罵倒すればいい」
ケヴィン……。
「ケヴィン、私とえっと……貴方名前は?」
「サシャです」
「私とサシャを、ユーグの元に運んで!!」
「了解した」
まぁ、別に魔法を使う訳でもなく、私達2人を背負ったまま気配を消し馬で移動するだけなんですけどね。 それでも、ケヴィンの加護の恩恵に入れば、人に見つかるリスクは減る。
案内されたのは、小さな薄暗い部屋。
次期公爵の部屋とは到底思えない。 元使用人の建物を使っている私達の方がマシなのでは? と思えるような場所。 でも、まぁ、掃除位はした方がいいかも……って、これは今言うべき事ではないか……。
私はユーグのケガの具合を見ようと、布団に手をかければ、骨と皮だけの私よりも小さな手が無言で嫌だと拒絶した。
「私が貴方の言う事を聞く訳ないでしょう。 むしろ嫌がる事なら積極的にしてやるわ」
そう声に出し言えば、驚くサシャと、堪えるように笑うケヴィンの声が聞こえた。
無理やり布団をはがせば、私より随分と小さな身体をしたユーグは必死に細い両手で身体を隠していた。 別に見なくても治せるのだけど、余りにも嫌がるから逆に気になったと言うか……。
「剥きなさい」
私はサシャとケヴィンに命じた。
「お願い、見ないで……」
か細い涙ながらの声。
細いと言うにはあんまりな骨と皮だけの身体。 その身体は細いだけでなく、紫色の痣が彼方此方にでき、血が流れ、腐りかけ、酷い匂いがしていた。 ケガと毒のせいでグチャグチャになっていた。 よく……泣きもせずにいられる。
「なぜ……」
こんなひどい事を……。 言葉が出なかった。
掠れた声でユーグは言う。
「僕が不完全だから……」
私は、その治癒の力でユーグの傷を癒し、毒を中和させた。
確かに少量の毒を続けて飲む事で、耐性をつけると言う方法があると書かれた本があったが、毒が体内に残ったまま、次の毒を服用させたのだろう。
馬鹿なの?! いや、もう、どうしようもない馬鹿だよね!! なんで、あんなのが当主な訳? ユーグが余りにも小さすぎて、細すぎて、自分よりもずっと年下な子に思えた私は、殺意すら覚えてしまった。
まぁ……私が出来るのは治癒系、補助系、生活系で、攻撃系を使えば加護を失ってしまうんですけどね……。
「流石に、痩せているのはどうにもできないから、ご飯はちゃんと食べなさい」
「……ありがとう……」
痛々しい身体の割に、顔だけは綺麗だった。 赤い髪と、金色の瞳は……ユーグの母親を連想してむかついて、思わずポコッと殴ってしまったけど。
「な、何っ?」
「治療の代金よ。 帰ろうケヴィン」
「まって!!」
「何よ……」
「また、会ってくれる?」
「会う必要なんてないわ」
後で、ケヴィンに婚約者だろと呆れたように言われたけれど、まぁ、本気でそう思っていたし、たぶんユーグもそれに納得したんだと思う。
彼は、私を引っ張り出すために、自分の身体を痛めつけるように、よりいっそう厳しい特訓をその身にかすようになったとサシャは私に嘆いた。
「別にとったりしないわよ」
私達は大人の目から隠れて、治療をし……そっと隠れ持ち寄った菓子を食べる日を送っていた。 それでも、赤い髪に金色の目をみれば時折むかついて殴っていたけど、ユーグはそれでも笑っていた。
「ラシェル、綺麗な花が咲いていたの。 君の銀色の髪に良く似合うと思うんだ。 少ししゃがんでくれるかな?」
「いやよ」
私はユーグの手から花を奪いとり、ユーグの髪に飾る。
「僕には似合わないよ」
「大丈夫似合っているわ」
「ラシェル、ダンスの練習につきあってよ」
「サシャに頼みなさい。 生憎ダンスは習っていないの」
「なら、僕が教えてあげるよ」
「要らないわよ。 運動は嫌いなの」
「社交界で困るよ? 母様みたいに……」
なんて言われれば、練習するしかないじゃないか。
楽しかった。
それが罪に感じるほどに。
だから、刺繍糸に私の魔力を吸わせ、治療用の紋章を布地に縫い込み、魔石を必要としない治療用の術布を大量に作りユーグに押し付け、会うのを止めた……。
「寂しいって泣くなら、仲良くすればいいだろうが」
呆れたように言いながらケヴィンは何時もよりも優しい声で私を慰めてくれた。 ユーグに会う時間が増えすぎて、ミリヤ様が疑いだし……見つかる限界ギリギリだったのだ。
「ケヴィン、お願いがあるの」
「なんですか?」
「私、両親に会いたい……」
もう少しで私は12歳を迎えようとしていた。
10歳で知りたくない現実だった。
「次期公爵が、別館にいるってオカシクないかしら?」
そうマロリーに言われた公爵は、マロリーとその息子ユーグを別館から本館へと移し、別館を使用人に使わせ、私とミリヤ様を使用人棟へと追いやった。
本館から遠く離れ、何も見ずに済むと言う点では心穏やかにすごせた。 だが、流石に使用人の1人もいない生活にもかかわらず、公爵代行としての仕事は変わらず押し付けられていたのだから、私が公爵とマロリーのついでにユーグを嫌っても仕方がないと思う。
そこまでされても、ミリヤ様は公爵を愛していたし、実家である侯爵家に助けを求める事は無かった。
ケヴィンがひっそりと事の次第をエヴラール・コルベール元侯爵に語り、助けを求めてくれたおかげで、変わらぬ生活を送れた。
それでも、自分と背中合わせに存在しているかのようなユーグを思えば……憎しみを覚えずにはいられなかった。
そんなある日。
想像もしていなかった人間が、想像もしない願いと共に私に会いに来た。
「お願いします!! ユーグ様を助けて下さい」
涙と鼻水にまみれたふっくらとした少女が私に助けを求めにきた。 その少女には覚えがあった。 入れ替わりの激しいユーグの周囲の中で、唯一幼い頃から変わらず側にいる子だった。
「私が本館に行ってどんな目に合うか想像つくでしょう?」
「すべては私が責任を負うと約束します」
「ミリヤ様だって良く思わないわ」
私だって……思わない。
「お願いします。 お願いします!! 本当に、このままではユーグ様が死んでしまいます」
彼女は私に縋りつく。
「離れてよ。 私に言わなくても、治癒師を呼べばいいでしょう。 公爵はどうなさっていますの? 公爵であれば神殿に治癒師を求める事だって出来るでしょう?」
「……ユーグ様を殺しかけたのは、公爵様です。 この程度の事も出来ずに何が次期公爵だと……。 加護を持たぬユーグ様は、耐性をお持ちにないからと、日々毒に馴染ませながら、その身を鍛えよと剣を振るうのです」
剣と言っても訓練用のものだろう。 それで死にかけるなんて、本気で容赦していないか、毒が身体に馴染みきれていないか……。
敵……でありながら、胸が痛んだ。
その時、私の肩に手が添えられた。 耳元に優しい小さな声が囁いた。
「後悔をするくらいなら、元気になったユーグ様を罵倒すればいい」
ケヴィン……。
「ケヴィン、私とえっと……貴方名前は?」
「サシャです」
「私とサシャを、ユーグの元に運んで!!」
「了解した」
まぁ、別に魔法を使う訳でもなく、私達2人を背負ったまま気配を消し馬で移動するだけなんですけどね。 それでも、ケヴィンの加護の恩恵に入れば、人に見つかるリスクは減る。
案内されたのは、小さな薄暗い部屋。
次期公爵の部屋とは到底思えない。 元使用人の建物を使っている私達の方がマシなのでは? と思えるような場所。 でも、まぁ、掃除位はした方がいいかも……って、これは今言うべき事ではないか……。
私はユーグのケガの具合を見ようと、布団に手をかければ、骨と皮だけの私よりも小さな手が無言で嫌だと拒絶した。
「私が貴方の言う事を聞く訳ないでしょう。 むしろ嫌がる事なら積極的にしてやるわ」
そう声に出し言えば、驚くサシャと、堪えるように笑うケヴィンの声が聞こえた。
無理やり布団をはがせば、私より随分と小さな身体をしたユーグは必死に細い両手で身体を隠していた。 別に見なくても治せるのだけど、余りにも嫌がるから逆に気になったと言うか……。
「剥きなさい」
私はサシャとケヴィンに命じた。
「お願い、見ないで……」
か細い涙ながらの声。
細いと言うにはあんまりな骨と皮だけの身体。 その身体は細いだけでなく、紫色の痣が彼方此方にでき、血が流れ、腐りかけ、酷い匂いがしていた。 ケガと毒のせいでグチャグチャになっていた。 よく……泣きもせずにいられる。
「なぜ……」
こんなひどい事を……。 言葉が出なかった。
掠れた声でユーグは言う。
「僕が不完全だから……」
私は、その治癒の力でユーグの傷を癒し、毒を中和させた。
確かに少量の毒を続けて飲む事で、耐性をつけると言う方法があると書かれた本があったが、毒が体内に残ったまま、次の毒を服用させたのだろう。
馬鹿なの?! いや、もう、どうしようもない馬鹿だよね!! なんで、あんなのが当主な訳? ユーグが余りにも小さすぎて、細すぎて、自分よりもずっと年下な子に思えた私は、殺意すら覚えてしまった。
まぁ……私が出来るのは治癒系、補助系、生活系で、攻撃系を使えば加護を失ってしまうんですけどね……。
「流石に、痩せているのはどうにもできないから、ご飯はちゃんと食べなさい」
「……ありがとう……」
痛々しい身体の割に、顔だけは綺麗だった。 赤い髪と、金色の瞳は……ユーグの母親を連想してむかついて、思わずポコッと殴ってしまったけど。
「な、何っ?」
「治療の代金よ。 帰ろうケヴィン」
「まって!!」
「何よ……」
「また、会ってくれる?」
「会う必要なんてないわ」
後で、ケヴィンに婚約者だろと呆れたように言われたけれど、まぁ、本気でそう思っていたし、たぶんユーグもそれに納得したんだと思う。
彼は、私を引っ張り出すために、自分の身体を痛めつけるように、よりいっそう厳しい特訓をその身にかすようになったとサシャは私に嘆いた。
「別にとったりしないわよ」
私達は大人の目から隠れて、治療をし……そっと隠れ持ち寄った菓子を食べる日を送っていた。 それでも、赤い髪に金色の目をみれば時折むかついて殴っていたけど、ユーグはそれでも笑っていた。
「ラシェル、綺麗な花が咲いていたの。 君の銀色の髪に良く似合うと思うんだ。 少ししゃがんでくれるかな?」
「いやよ」
私はユーグの手から花を奪いとり、ユーグの髪に飾る。
「僕には似合わないよ」
「大丈夫似合っているわ」
「ラシェル、ダンスの練習につきあってよ」
「サシャに頼みなさい。 生憎ダンスは習っていないの」
「なら、僕が教えてあげるよ」
「要らないわよ。 運動は嫌いなの」
「社交界で困るよ? 母様みたいに……」
なんて言われれば、練習するしかないじゃないか。
楽しかった。
それが罪に感じるほどに。
だから、刺繍糸に私の魔力を吸わせ、治療用の紋章を布地に縫い込み、魔石を必要としない治療用の術布を大量に作りユーグに押し付け、会うのを止めた……。
「寂しいって泣くなら、仲良くすればいいだろうが」
呆れたように言いながらケヴィンは何時もよりも優しい声で私を慰めてくれた。 ユーグに会う時間が増えすぎて、ミリヤ様が疑いだし……見つかる限界ギリギリだったのだ。
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