23 / 50
03.快楽都市『デショワ』
23.加護と呪い 05
ザラリとした獣の舌は、ラシェルの白く柔らかな肌を擦り傷つけていく。
戸惑うような涙に濡れた金色の瞳が、甘い気遣いが失われたのは、どの瞬間だろうか? 分からないままに、肌に触れる舌先が力を増していた。
血を求めるように肌を擦り、抉り、浅く傷つけ血をにじませる。 何度も何度も白い肌を舐める舌は、血を舐めると同時に肌を抉り傷つけてくる。
「んっ、ぁ、いや、痛いのは、いや……」
声を忍ばせたラシェルの、静かな泣き声には、微かな喘ぎが混ざっていた。 ラシェルの訴えを無視した獣は、何処までも対価を求める呪いと言う本能に忠実で、喉を潤すようにその肌を傷つける。
とは言え、肉を食み、血をすすろうとまでしないのは、正気を失っていてもソコに確かな情があるのだろう。
贄は『情を交わした相手の体液』としたのは、神の悪意ではなく存外優しさだったのかもしれない……。
人の理性は失っていても、獣の心は愛おしさで満ちていた。 愛している、愛している……あぁ、なんて、愛しく、そして美味しいんだろう。
触れる熱に、甘い味に、耳を刺激する声に、獣の心は幸福に満ちた……。
獣の満足感に反して、ラシェルの心は恐怖におびえていた。
浅い傷は、ジリジリとした痛みを与えるし、消えた先から傷がつけられ、舐められ、血を奪おうと強く肌を抉られる。
痛いのは、怖い……。
茶髪の男に噛みつき流れる血を見てラシェルは恐怖した。 治癒の力を持つが、凄惨な傷を見たのはユーグが最初で最後。 治癒の力を求められても、その状態を見る事無く、ラシェルはただ神にその治癒を願うだけ。
ラシェルは弱い人間だから。 本来なら、加護など所有する価値はない人間だから……ラシェルはそう思っている。
自分が傷つくのも、自分以外の人が傷つくのも怖い……自分の痛みも、人の痛みも怖い。
自分に理解できぬ痛みも怖いが、その痛みを自分で背負えるかと言えば自身は無い。 物語に出てくるような聖女様であれば、きっと全てを背負えるのだろう……。 だけど、私は聖女ではなく、むしろ薄情なただの人だから。
ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……。
ラシェルは声に出来ないまま、そう訴えていた。
この先受けるだろう痛みを想像し、痛みを与える獣を想像し、恐怖に震えれば、ミリヤ様の影を喜ばせるだけ。
私は弱い……ラシェルの心は逃げていた。
たすけて……と救いを求めていた。
口内に流される果実の香りに意識が痛みから微かにそれた。 甘すぎる液体にむせながら言われるままに飲み込んだ。 もう、意地をはるような余力はなくて……。
ごめんなさい……。
私は眠りにつき、獣は眠る私を泣きながら食らい犯すのだろうか? 私はソレでいいけれど、彼に救いはあるのだろうか?
そう思えば胸が痛んだ。
ごめんなさい。
ザラリと舐められる肌が鈍くにじむような痛みから、甘い甘い……訳の分からない感覚へと少しずつ変化していく。
「ぁっ、ぅっんん……」
自らの口から漏れ出る声にラシェルは驚いて、自分の腕を噛むように口を塞いだが。 茶髪の男は私の手を取り指を絡め手に口づける。 甘い声は、甘えた子猫のようで……恥ずかしかった。
泣きたくなるように視線を向ければ、優しい緑の瞳が笑っていた。
薄く傷ついた皮膚から血がにじむように、じわじわと快楽が皮膚の奥から熱となって沸き起こる。 感じたことがない、感じた事があるわけないその感触に、鼓動が早まり、呼吸が早まる。
なのに、もっともっとと心が早鐘のように求めてくる。
何よ、コレ……。
甘い甘い、何処までも甘く身体が震えた。 毛1本が触れても身体はビクッと反応し震えてしまう。
「ぁ、ダメ、変なの……」
不安……に、目をキツク閉ざせば、髪がそっと撫でられた。 怯えながら瞳を開き、自分に触れる手を見れば、茶髪の男の緑色の瞳が穏やかに笑い、髪を撫でる。
「大丈夫です……。 貴方が身を任せる事で主は救われるのですから、この行為を嫌悪する事はありません。 逃げる必要もありません。 それに、今まで頑張ってきたのですから、甘えていいんですよ。 身を任せて」
まるで、私の何もかもを知っているような言葉に、私は子供のように泣きそうになれば、黒い獣が私と茶髪の男の間に割って入り、まるで嫉妬するように私の首元に噛みついてきた。 プチッと音を立てて皮膚を裂き牙が食い込むが痛みはなく、むじろ甘い疼きとなってラシェルは身もだえ、震えた。
「んっ、ぁあっ」
痛み、恐怖、死への強迫観念……。 それらを失った私の傷には、治癒は働き難いらしく、獣は溢れる血を舐め、舌で抉り、ぴちゃぴちゃと流れる血に唾液を絡めて舐めとっていく。
与えられるのは快楽。 貪るように奪われているのに、もう恐怖等は存在してなくて……。もっと激しい快楽が欲しいと、頭の奥がジンジンとしてくる。
だけど、ソレを望む事は出来なかった。
これは、対価のための行為なのだから。
乱暴な様子はない……。 血を舐めるごとに、その行為は甘さを増し、愛おしさを増すかのように、優しく優しく肌を撫でるように舐めていく。
「ぁっ、ぁっ、んっ」
ラシェルの口から漏れ出る声は何処までも甘く、切なく甘い、それが恥ずかしくて自分の手で口を覆い隠し、声を閉ざそうとするが余り意味はない。
そんな、ラシェルを宥めるように慰めるように緑の瞳は優しく見つめる。 快楽に悶え、揺れる銀色の髪を愛おしそうに撫でていて……、ユーグの心は人として……激しい嫉妬に揺れた。 獣の意識に落ちて、これほど早く人を取り戻した事があっただろうか?
「お前、邪魔」
憮然と言う獣。
「酷いな、身をていして尽くしているのに」
そう静かに笑いながら緑の瞳が、嬉しそうに未だ獣姿の主を見た。
「あっちにいってろ」
「はいはい。 イジメられたら、すぐに助けてあげるからね」
そんな事を言いながら、ラシェルの額に口づけを落とした男に対し、黒い獣はガウッと威嚇する。 前回と違うのは、その動作が緩く、あくまで威嚇だと言うところ。
茶髪の青年が口づけた額をペロリと舐め、髪を毛づくろいするように舐めようとしているようだが、上手く舐めれていない。 獣は何処までも本気で愛情を示しているのだが、快楽を促す薬を飲ませられているラシェルの身としてはたまらないと言うものだ。
「んっ、やだ……もっと、違ったところに触れて……」
熱っぽい視線、濡れたピンク色の唇。
獣の毛並みが、心が、ゾワリと逆立ち……呪いではなく、雄としての本能が刺激された。
戸惑うような涙に濡れた金色の瞳が、甘い気遣いが失われたのは、どの瞬間だろうか? 分からないままに、肌に触れる舌先が力を増していた。
血を求めるように肌を擦り、抉り、浅く傷つけ血をにじませる。 何度も何度も白い肌を舐める舌は、血を舐めると同時に肌を抉り傷つけてくる。
「んっ、ぁ、いや、痛いのは、いや……」
声を忍ばせたラシェルの、静かな泣き声には、微かな喘ぎが混ざっていた。 ラシェルの訴えを無視した獣は、何処までも対価を求める呪いと言う本能に忠実で、喉を潤すようにその肌を傷つける。
とは言え、肉を食み、血をすすろうとまでしないのは、正気を失っていてもソコに確かな情があるのだろう。
贄は『情を交わした相手の体液』としたのは、神の悪意ではなく存外優しさだったのかもしれない……。
人の理性は失っていても、獣の心は愛おしさで満ちていた。 愛している、愛している……あぁ、なんて、愛しく、そして美味しいんだろう。
触れる熱に、甘い味に、耳を刺激する声に、獣の心は幸福に満ちた……。
獣の満足感に反して、ラシェルの心は恐怖におびえていた。
浅い傷は、ジリジリとした痛みを与えるし、消えた先から傷がつけられ、舐められ、血を奪おうと強く肌を抉られる。
痛いのは、怖い……。
茶髪の男に噛みつき流れる血を見てラシェルは恐怖した。 治癒の力を持つが、凄惨な傷を見たのはユーグが最初で最後。 治癒の力を求められても、その状態を見る事無く、ラシェルはただ神にその治癒を願うだけ。
ラシェルは弱い人間だから。 本来なら、加護など所有する価値はない人間だから……ラシェルはそう思っている。
自分が傷つくのも、自分以外の人が傷つくのも怖い……自分の痛みも、人の痛みも怖い。
自分に理解できぬ痛みも怖いが、その痛みを自分で背負えるかと言えば自身は無い。 物語に出てくるような聖女様であれば、きっと全てを背負えるのだろう……。 だけど、私は聖女ではなく、むしろ薄情なただの人だから。
ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……。
ラシェルは声に出来ないまま、そう訴えていた。
この先受けるだろう痛みを想像し、痛みを与える獣を想像し、恐怖に震えれば、ミリヤ様の影を喜ばせるだけ。
私は弱い……ラシェルの心は逃げていた。
たすけて……と救いを求めていた。
口内に流される果実の香りに意識が痛みから微かにそれた。 甘すぎる液体にむせながら言われるままに飲み込んだ。 もう、意地をはるような余力はなくて……。
ごめんなさい……。
私は眠りにつき、獣は眠る私を泣きながら食らい犯すのだろうか? 私はソレでいいけれど、彼に救いはあるのだろうか?
そう思えば胸が痛んだ。
ごめんなさい。
ザラリと舐められる肌が鈍くにじむような痛みから、甘い甘い……訳の分からない感覚へと少しずつ変化していく。
「ぁっ、ぅっんん……」
自らの口から漏れ出る声にラシェルは驚いて、自分の腕を噛むように口を塞いだが。 茶髪の男は私の手を取り指を絡め手に口づける。 甘い声は、甘えた子猫のようで……恥ずかしかった。
泣きたくなるように視線を向ければ、優しい緑の瞳が笑っていた。
薄く傷ついた皮膚から血がにじむように、じわじわと快楽が皮膚の奥から熱となって沸き起こる。 感じたことがない、感じた事があるわけないその感触に、鼓動が早まり、呼吸が早まる。
なのに、もっともっとと心が早鐘のように求めてくる。
何よ、コレ……。
甘い甘い、何処までも甘く身体が震えた。 毛1本が触れても身体はビクッと反応し震えてしまう。
「ぁ、ダメ、変なの……」
不安……に、目をキツク閉ざせば、髪がそっと撫でられた。 怯えながら瞳を開き、自分に触れる手を見れば、茶髪の男の緑色の瞳が穏やかに笑い、髪を撫でる。
「大丈夫です……。 貴方が身を任せる事で主は救われるのですから、この行為を嫌悪する事はありません。 逃げる必要もありません。 それに、今まで頑張ってきたのですから、甘えていいんですよ。 身を任せて」
まるで、私の何もかもを知っているような言葉に、私は子供のように泣きそうになれば、黒い獣が私と茶髪の男の間に割って入り、まるで嫉妬するように私の首元に噛みついてきた。 プチッと音を立てて皮膚を裂き牙が食い込むが痛みはなく、むじろ甘い疼きとなってラシェルは身もだえ、震えた。
「んっ、ぁあっ」
痛み、恐怖、死への強迫観念……。 それらを失った私の傷には、治癒は働き難いらしく、獣は溢れる血を舐め、舌で抉り、ぴちゃぴちゃと流れる血に唾液を絡めて舐めとっていく。
与えられるのは快楽。 貪るように奪われているのに、もう恐怖等は存在してなくて……。もっと激しい快楽が欲しいと、頭の奥がジンジンとしてくる。
だけど、ソレを望む事は出来なかった。
これは、対価のための行為なのだから。
乱暴な様子はない……。 血を舐めるごとに、その行為は甘さを増し、愛おしさを増すかのように、優しく優しく肌を撫でるように舐めていく。
「ぁっ、ぁっ、んっ」
ラシェルの口から漏れ出る声は何処までも甘く、切なく甘い、それが恥ずかしくて自分の手で口を覆い隠し、声を閉ざそうとするが余り意味はない。
そんな、ラシェルを宥めるように慰めるように緑の瞳は優しく見つめる。 快楽に悶え、揺れる銀色の髪を愛おしそうに撫でていて……、ユーグの心は人として……激しい嫉妬に揺れた。 獣の意識に落ちて、これほど早く人を取り戻した事があっただろうか?
「お前、邪魔」
憮然と言う獣。
「酷いな、身をていして尽くしているのに」
そう静かに笑いながら緑の瞳が、嬉しそうに未だ獣姿の主を見た。
「あっちにいってろ」
「はいはい。 イジメられたら、すぐに助けてあげるからね」
そんな事を言いながら、ラシェルの額に口づけを落とした男に対し、黒い獣はガウッと威嚇する。 前回と違うのは、その動作が緩く、あくまで威嚇だと言うところ。
茶髪の青年が口づけた額をペロリと舐め、髪を毛づくろいするように舐めようとしているようだが、上手く舐めれていない。 獣は何処までも本気で愛情を示しているのだが、快楽を促す薬を飲ませられているラシェルの身としてはたまらないと言うものだ。
「んっ、やだ……もっと、違ったところに触れて……」
熱っぽい視線、濡れたピンク色の唇。
獣の毛並みが、心が、ゾワリと逆立ち……呪いではなく、雄としての本能が刺激された。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
愛を知った私は、もう二度と跪きません
阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。
家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。
「呪われた男にでも喰われてこい」
そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。
彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。
その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。
「エカテリーナ様、どうかお助けを!」
かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!