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05.終章
49.国王陛下 02
王都には、闇に隠れるように戻り、王宮へと向かった。
ユーグもラシェルも多くを語らなかった。
これから起こるだろう事を、計画を聞かせられれば……自分達を騙し、利用していた者が処分される事への安堵よりも、国王陛下への恐怖が先だったから……。
「ユーグ……」
ラシェルは縋る……。
彼以外に頼る者は無い事を理解しているから。
「大丈夫、俺が守るから」
そして、ユーグが覚悟を決める。
ラシェルのために、国王にとって、優れた公爵を務めあげると……。
王宮では、多くの貴族が集められていた。
事前の告知なく、あわただしく集められたにしては、その貴族達の数は決して少ないとは言えなかった。
彼等は、自分達が招致を受ける理由を理解していたが、自分だけでない事に安堵していた。
彼等は、他国に国を売った、売ろうとした、裏切り者であるが横の繋がりと言うものはなかったから。 だが、あえて不安を述べるなら、エヴラール・コルベールの存在だった。 他国の要人を彼等に紹介したのは彼だったから。
薄暗く明かりの落とした広間。
周囲を囲む王族親衛隊。
「これはどういう事だ……」
「陛下は何をお考えなのだ」
「おふざけが過ぎると思っておったが、これほどとは……」
国王としては年若い、そして何よりも道化を演じる彼等の国王陛下を侮る者は少なくはなく、そしてここにいる者はその最たるものだと言えるだろう。
国を支える公爵家が力を失った今、他国の先兵として国を取り、新たな領地を夢見る集団。 何の繋がりもないが、彼等は大きな野望を胸に抱いていた。 それはコルベール侯爵家の者達も同様である。
薄暗く光は落とされているが、美しく豪華、権威の象徴ともいえる広間に、場違いな1組の男女が2つの木箱と共に入ってきた。 大きな騒めきは起こるが、この集まりが何か聞かされていないだけに追い出そうと声を荒げる者はない。
「アレは誰だ?」
そう囁かれるだけ。
5年の間幼かった2人は成長していたし、何よりも薄汚れたローブを身に着けており、エヴラール・コルベールすら2人を認識していない。
「ユーグ、良く戻った」
良く通る若い声が、まるで2人を待っていたと言わんばかりに響いた。
沈黙のまま、国王陛下に礼を取るユーグとラシェル。
「戦後の疲れを癒す間もなく、よく僕の勅命を受けてくれた。 その成果見せてもらおうか?」
場違いなほどに明るい国王陛下の声に無言でうなずくユーグは、その腰に帯びた剣を振るい、目の前においた大小の木箱を破壊した。 硬化した胴と、転げ落ちる硬化した首。
ソレを見たエヴラールは、わずかに顔を顰めた。
「どうかしましたか? エヴラール殿」
「いいえ、何でもございません」
「彼に覚えは?」
「いいえ」
「彼は、エヴラール殿の元で、気密性の高い仕事についていたと伺っていますが?」
「私も年ですから。 古くからの付き合いの者であればいざ知らず、若い者の顔を覚えるのはなかなか難しい。 そんな相手に重要な仕事など渡す訳ありませんな」
「なるほど……エヴラール殿の言い分ももっともだ。 だが、一方だけの意見を聞いていては公平ではない。 治癒の姫君。 その哀れな男を癒してやってくれるかい?」
「……はい……」
息苦しい空気の中、ラシェルは短く答えれば、ユーグがケヴィンの首を持ち身体の上に掲げた。 元より殺すなと言われていた。 硬化の力を使われていたのは予想外ではあったが、なんの支障等ない。
ラシェルが力を使えば、硬化は解け、首と胴が一体となり、意識を取り戻す頃には国王陛下はケヴィンのすぐ目の前に立っており、ユーグとラシェルは数歩下がった。 正気を取り戻したケヴィンが最初に見たのは国王陛下の不思議な採光を放つ瞳。
「お前は誰だ?」
「ケヴィン。 ケヴィン・バルゲリー。 バルゲリー公爵家を継ぐものだ……」
眠そうな瞳は淡々と告げるが、わずかの時間で彼は目を覚ます。
「バルゲリー公爵はソコにいる男だと、僕は認識しているんだが?」
国王は一人の男を指させば、ケヴィンは笑った。 声を上げ、オカシクて仕方がないと言うように。
「公爵家の力を持たぬ癖に何が公爵だ。 私こそが正式な血統をついだ公爵だ!!」
「君はスラムで育ったと聞いているが、そんなものが公爵に相応しいとは思えないのだけれどね。 何より、君は下品だ。 僕の配下に相応しいとは思えない」
「はっ、前公爵を失ってからの、この国のあり様……私は知っているぞ? お前には私が必要だと、先の戦は勝てたが、他の領主達に戦をするだけの力も財力もない。 なぜか? それはバルゲリー公爵家が正当な公爵を立てていないからだ。 違うか?」
「これは……まいったね。 否定のしようがない」
飄々とした様子で国王は言い、そして国王は続ける。
「君にそんな知恵を与えたのは、誰か聞いていいかな? バルゲリー公爵の血統を維持されていた事は大変喜ばしい事だし、その礼をしなくてはいけないからね」
「それは、エヴラール・コルベール様だ」
「なるほど……良く、話してくれた。 でも、君に公爵の地位を与える訳にはいかない。 君はやり過ぎたから。 君の人格を知った上で、どうして公爵家の権限を与えようと思える? 僕には絶対無理だ。 だって、とても恐ろしいからねぇ……だから、考えた」
「ふざけんな!!」
叫ぶケヴィンの身体は、ロープでぐるぐる巻きにされており、ケヴィンはソレを硬化の力で解除しようとした。 だが、それよりも早く、国王陛下はケヴィンの顔面を左手でつかんだ。
「王家にもね。 血統加護があるんだよ。 それも全能神の……。 ユーグ、僕たちの敵を見極め食い殺せ」
冷徹で冷ややかな命令だった。
ユーグの足元から影が伸び、それはゆらゆらと揺れる死神の形を取り、死神の持つ大鎌は振るわれる。 裏切り者、罪ある者には死を……。 そうでない者には恐怖を……。 ユーグはラシェルを抱きしめ、その目を塞ぎ国王陛下の代わりに刑を執行する。
広間は血に濡れたが、悲鳴を上げる者はいなかった。
悲鳴をあげ、怒りを買う事すら恐れたから。
「なんて、素敵な加護だ。 これからも僕のために務めてくれるよねユーグ」
ゆったりとした優雅な様子で国王陛下は語る。
「勿体ないお言葉でございます」
ユーグは、抱きしめたラシェルを手放す事無く礼を述べた。
ふんっと国王陛下は不機嫌そうに鼻をならし、カクンと床に座り込むケヴィンに声をかけた。
「君、大丈夫かい?」
「ぇ、ぁ、はい……うぅうううあわぁwぁあわわわああ」
流れる血に絶叫が響く。
「静かに」
絶叫にかき消されるような声にも関わらず、ケヴィンは黙った。
「ぁあああ、あぁ、はい……」
「君が怯える必要等ない。 アレは悪者だからね。 そう、君を狙っていた悪だ。 可哀そうにアレらのせいで、君は記憶をなくしたんだ。 何か覚えていることはあるかい?」
「ぇ、」
ケヴィンは、ボンヤリと国王陛下を眺め考え込み、首を横に振った。
「そう、ソレは困ったね。 だけど、安心するといい。 僕は、とても優しく親切な男だから」
国王陛下が手を差し出せば、ケヴィンは無意識で国王の手を取った。
ユーグもラシェルも多くを語らなかった。
これから起こるだろう事を、計画を聞かせられれば……自分達を騙し、利用していた者が処分される事への安堵よりも、国王陛下への恐怖が先だったから……。
「ユーグ……」
ラシェルは縋る……。
彼以外に頼る者は無い事を理解しているから。
「大丈夫、俺が守るから」
そして、ユーグが覚悟を決める。
ラシェルのために、国王にとって、優れた公爵を務めあげると……。
王宮では、多くの貴族が集められていた。
事前の告知なく、あわただしく集められたにしては、その貴族達の数は決して少ないとは言えなかった。
彼等は、自分達が招致を受ける理由を理解していたが、自分だけでない事に安堵していた。
彼等は、他国に国を売った、売ろうとした、裏切り者であるが横の繋がりと言うものはなかったから。 だが、あえて不安を述べるなら、エヴラール・コルベールの存在だった。 他国の要人を彼等に紹介したのは彼だったから。
薄暗く明かりの落とした広間。
周囲を囲む王族親衛隊。
「これはどういう事だ……」
「陛下は何をお考えなのだ」
「おふざけが過ぎると思っておったが、これほどとは……」
国王としては年若い、そして何よりも道化を演じる彼等の国王陛下を侮る者は少なくはなく、そしてここにいる者はその最たるものだと言えるだろう。
国を支える公爵家が力を失った今、他国の先兵として国を取り、新たな領地を夢見る集団。 何の繋がりもないが、彼等は大きな野望を胸に抱いていた。 それはコルベール侯爵家の者達も同様である。
薄暗く光は落とされているが、美しく豪華、権威の象徴ともいえる広間に、場違いな1組の男女が2つの木箱と共に入ってきた。 大きな騒めきは起こるが、この集まりが何か聞かされていないだけに追い出そうと声を荒げる者はない。
「アレは誰だ?」
そう囁かれるだけ。
5年の間幼かった2人は成長していたし、何よりも薄汚れたローブを身に着けており、エヴラール・コルベールすら2人を認識していない。
「ユーグ、良く戻った」
良く通る若い声が、まるで2人を待っていたと言わんばかりに響いた。
沈黙のまま、国王陛下に礼を取るユーグとラシェル。
「戦後の疲れを癒す間もなく、よく僕の勅命を受けてくれた。 その成果見せてもらおうか?」
場違いなほどに明るい国王陛下の声に無言でうなずくユーグは、その腰に帯びた剣を振るい、目の前においた大小の木箱を破壊した。 硬化した胴と、転げ落ちる硬化した首。
ソレを見たエヴラールは、わずかに顔を顰めた。
「どうかしましたか? エヴラール殿」
「いいえ、何でもございません」
「彼に覚えは?」
「いいえ」
「彼は、エヴラール殿の元で、気密性の高い仕事についていたと伺っていますが?」
「私も年ですから。 古くからの付き合いの者であればいざ知らず、若い者の顔を覚えるのはなかなか難しい。 そんな相手に重要な仕事など渡す訳ありませんな」
「なるほど……エヴラール殿の言い分ももっともだ。 だが、一方だけの意見を聞いていては公平ではない。 治癒の姫君。 その哀れな男を癒してやってくれるかい?」
「……はい……」
息苦しい空気の中、ラシェルは短く答えれば、ユーグがケヴィンの首を持ち身体の上に掲げた。 元より殺すなと言われていた。 硬化の力を使われていたのは予想外ではあったが、なんの支障等ない。
ラシェルが力を使えば、硬化は解け、首と胴が一体となり、意識を取り戻す頃には国王陛下はケヴィンのすぐ目の前に立っており、ユーグとラシェルは数歩下がった。 正気を取り戻したケヴィンが最初に見たのは国王陛下の不思議な採光を放つ瞳。
「お前は誰だ?」
「ケヴィン。 ケヴィン・バルゲリー。 バルゲリー公爵家を継ぐものだ……」
眠そうな瞳は淡々と告げるが、わずかの時間で彼は目を覚ます。
「バルゲリー公爵はソコにいる男だと、僕は認識しているんだが?」
国王は一人の男を指させば、ケヴィンは笑った。 声を上げ、オカシクて仕方がないと言うように。
「公爵家の力を持たぬ癖に何が公爵だ。 私こそが正式な血統をついだ公爵だ!!」
「君はスラムで育ったと聞いているが、そんなものが公爵に相応しいとは思えないのだけれどね。 何より、君は下品だ。 僕の配下に相応しいとは思えない」
「はっ、前公爵を失ってからの、この国のあり様……私は知っているぞ? お前には私が必要だと、先の戦は勝てたが、他の領主達に戦をするだけの力も財力もない。 なぜか? それはバルゲリー公爵家が正当な公爵を立てていないからだ。 違うか?」
「これは……まいったね。 否定のしようがない」
飄々とした様子で国王は言い、そして国王は続ける。
「君にそんな知恵を与えたのは、誰か聞いていいかな? バルゲリー公爵の血統を維持されていた事は大変喜ばしい事だし、その礼をしなくてはいけないからね」
「それは、エヴラール・コルベール様だ」
「なるほど……良く、話してくれた。 でも、君に公爵の地位を与える訳にはいかない。 君はやり過ぎたから。 君の人格を知った上で、どうして公爵家の権限を与えようと思える? 僕には絶対無理だ。 だって、とても恐ろしいからねぇ……だから、考えた」
「ふざけんな!!」
叫ぶケヴィンの身体は、ロープでぐるぐる巻きにされており、ケヴィンはソレを硬化の力で解除しようとした。 だが、それよりも早く、国王陛下はケヴィンの顔面を左手でつかんだ。
「王家にもね。 血統加護があるんだよ。 それも全能神の……。 ユーグ、僕たちの敵を見極め食い殺せ」
冷徹で冷ややかな命令だった。
ユーグの足元から影が伸び、それはゆらゆらと揺れる死神の形を取り、死神の持つ大鎌は振るわれる。 裏切り者、罪ある者には死を……。 そうでない者には恐怖を……。 ユーグはラシェルを抱きしめ、その目を塞ぎ国王陛下の代わりに刑を執行する。
広間は血に濡れたが、悲鳴を上げる者はいなかった。
悲鳴をあげ、怒りを買う事すら恐れたから。
「なんて、素敵な加護だ。 これからも僕のために務めてくれるよねユーグ」
ゆったりとした優雅な様子で国王陛下は語る。
「勿体ないお言葉でございます」
ユーグは、抱きしめたラシェルを手放す事無く礼を述べた。
ふんっと国王陛下は不機嫌そうに鼻をならし、カクンと床に座り込むケヴィンに声をかけた。
「君、大丈夫かい?」
「ぇ、ぁ、はい……うぅうううあわぁwぁあわわわああ」
流れる血に絶叫が響く。
「静かに」
絶叫にかき消されるような声にも関わらず、ケヴィンは黙った。
「ぁあああ、あぁ、はい……」
「君が怯える必要等ない。 アレは悪者だからね。 そう、君を狙っていた悪だ。 可哀そうにアレらのせいで、君は記憶をなくしたんだ。 何か覚えていることはあるかい?」
「ぇ、」
ケヴィンは、ボンヤリと国王陛下を眺め考え込み、首を横に振った。
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