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1章
01.恋する第二皇子
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ラファルグ国はかつてない栄光を前にしていた。
この世界は古い宗教書で『ケガレの地』と記されるほどの不浄の世界。 定期的に空から『神の汚物』と呼ばれる不浄なるものが落ちてくる。 そんな厳しい世界であるがゆえに、神は人に救済を与えた。 それが『ギフト』である。
この国の栄光が約束されていると言うのは、まだ幼い三皇子にあった。
第一皇子は『教皇のギフト』アレクシス様
第二皇子は『王者のギフト』アンセラム様
第三皇子は『賢者のギフト』アシュリー様
全ての人はギフトを得るのだけれど世界の90%は、人に話すのもためらわれるようなギフトだ。
ジャンケンの勝率が8割になるギフト。
スープを鼻から飲むギフト。
美しいヒップが人を魅了せずにいられないギフト。
ジャガイモの皮を高速で剥くギフト。
人の服が見えないギフト。
余りにも訳の分からないギフトが存在し、その大半は秘匿されている。 そんな中、三皇子のギフトは異例中の異例であり、三皇子がいれば世界を統べる事すらできるのでは? 等と言われている。
そんな三皇子の婚約者を決めるお茶会が開かれていた。
王宮には皇子達と年の近い令嬢達が集められている。 すでに十数回と回数を重ねた茶会ではあるが、未だ三皇子の誰一人として婚約者が決まらない。
10歳、7歳、5歳では、仕方がないと諦めながらも、皇子たちの側付きの者達は、皇子の好奇心、好意を一時たりとも見逃すまいと目を光らせていた。
「リリアは来ていないのか!!」
不機嫌そうに第二皇子が側使いの者に聞けば、会場を走り回っていた護衛の1人が目的である人物を発見したと伝えに来た。
「よし、よくやった。 ところで、今日の俺はどうだ?」
ニチャリと皇子は笑って見せる。
「大変素敵でございます。 金色の淡い髪はサラリと風になびき、白くきめ細かな肌は柔らかく滑らか、晴天の空のような瞳は人を射るように厳しく、微笑む口元は甘く、白い歯が煌めき、まるで天上人のようでございます」
「それは言い過ぎだ。 我らに恵みを与えたもう神が御不快になられるぞ。 今すぐ神殿で神に詫びに行くがいい」
「はっ、申し訳ございませんでした!!」
今しがたアンセラムを褒め称えた側仕えの者が神殿に走り出すのを、ヤレヤレと大人びた様子で見送った。
「やれやれ、神に頼る世界で神よりも皇子を讃えるとは、神の機嫌を損ねたらどうしてくれるつもりなんだ」
そう言いながらも、皇子はニヨニヨとご機嫌な笑みを浮かべ、ぽむぽむと柔らかな音を立て、目的のリリアに向かい第二皇子アンセラムが歩き出す。
大人達はほっこりとしながら、
「お可愛らしい方だ」
そう、褒め称えていた。
この世界は古い宗教書で『ケガレの地』と記されるほどの不浄の世界。 定期的に空から『神の汚物』と呼ばれる不浄なるものが落ちてくる。 そんな厳しい世界であるがゆえに、神は人に救済を与えた。 それが『ギフト』である。
この国の栄光が約束されていると言うのは、まだ幼い三皇子にあった。
第一皇子は『教皇のギフト』アレクシス様
第二皇子は『王者のギフト』アンセラム様
第三皇子は『賢者のギフト』アシュリー様
全ての人はギフトを得るのだけれど世界の90%は、人に話すのもためらわれるようなギフトだ。
ジャンケンの勝率が8割になるギフト。
スープを鼻から飲むギフト。
美しいヒップが人を魅了せずにいられないギフト。
ジャガイモの皮を高速で剥くギフト。
人の服が見えないギフト。
余りにも訳の分からないギフトが存在し、その大半は秘匿されている。 そんな中、三皇子のギフトは異例中の異例であり、三皇子がいれば世界を統べる事すらできるのでは? 等と言われている。
そんな三皇子の婚約者を決めるお茶会が開かれていた。
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「リリアは来ていないのか!!」
不機嫌そうに第二皇子が側使いの者に聞けば、会場を走り回っていた護衛の1人が目的である人物を発見したと伝えに来た。
「よし、よくやった。 ところで、今日の俺はどうだ?」
ニチャリと皇子は笑って見せる。
「大変素敵でございます。 金色の淡い髪はサラリと風になびき、白くきめ細かな肌は柔らかく滑らか、晴天の空のような瞳は人を射るように厳しく、微笑む口元は甘く、白い歯が煌めき、まるで天上人のようでございます」
「それは言い過ぎだ。 我らに恵みを与えたもう神が御不快になられるぞ。 今すぐ神殿で神に詫びに行くがいい」
「はっ、申し訳ございませんでした!!」
今しがたアンセラムを褒め称えた側仕えの者が神殿に走り出すのを、ヤレヤレと大人びた様子で見送った。
「やれやれ、神に頼る世界で神よりも皇子を讃えるとは、神の機嫌を損ねたらどうしてくれるつもりなんだ」
そう言いながらも、皇子はニヨニヨとご機嫌な笑みを浮かべ、ぽむぽむと柔らかな音を立て、目的のリリアに向かい第二皇子アンセラムが歩き出す。
大人達はほっこりとしながら、
「お可愛らしい方だ」
そう、褒め称えていた。
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